表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に裏切られたので諦める事にした  作者: 東海さん
リヴィア編
32/39

遅くなってすみません。暫く更新が遅くなると思います。

 宿の部屋に戻って来たセイラはドアをゆっくりと開けて中を覗きながら中に入っていく。


「何をしているのですか?」

「ひっ!ち、ちょっといきなり後から声を掛けられたらビックリするじゃないの。」


 怪しい行動に問い掛けた事を怒られる。


「普通に入って来れば後から声を掛けたりしませんよ? で何がしたいんですかセイラは?」

「べ、別に、何かしたい訳じゃないわ。えーと、そう、セイルが寝てたら悪いと思ってゆっくり入って来てあげたのよ」

「お昼なのに寝てる訳ないでしょう。」

「お昼寝してるかもって思って………」


 言い訳に溜め息をつくと顔を俯かせるセイラ。


「はぁ、言いたく無いなら言わなくてもいいですよ。私は昼から情報集めしますから、夜には戻るので部屋で待機していてください」


 セイラに追及するのを止めて部屋で大人しくしている様に伝えると部屋を出ていく。


「ふぅ、何とか誤魔化せたわね。対象の人物と仲良くなったなんて言える訳無いじゃない」 


 セイルが出て行って張っていた気が弛んでベッドに倒れ込むとそのまま寝てしまう。

 ドアから出たセイルは直ぐに離れずセイラの独り言を聞いていた。


「成る程。そう言う訳ですか。これは事を進める時はセイラを外した方が良さそうですね」


 そう言ってドアから離れて情報を集める為にギルドに向かう。




 その頃のライルとキュウも受けたクエストをやり終えてギルドに向かっていた。


「今日の所はこんなもんだな。キュウ、ギルドに行って報告したら街を見て回ろうと思うがどうする?」

「賛成なの♪ ふふ……これはデートなの。やっぱりライルはキュウが一番なの」 


 デートではないと言いたかったが喜んでるキュウに水を差す事もないと思い直して訂正するのを止める。

 ギルドに入り受付嬢のカレンに討伐証明の部位を渡して金を受け取る。


「ライルさんはAランクの試験は受けないんですか? ライルさん程の腕があれば受かると思うんですけど?」

「うーん、今のランクで十分だと思ってるからな。受けようとは思わないんだ」

「勿体ないですね。」

「まぁ、気が向いたら受けてみるさ。じゃあな」


 ギルドを出て行くライルとキュウ。その後ろ姿を見ていたセイルはカレンに近寄り話を聞く事にする。


「すいません。ちょっとお聞きしてもいいですか?」

「はい、どうぞ。クエストの発注ですか? 何でも聞いてください」


 笑顔で答えるカレンにクエストの発注ではない事を伝えて今、出ていったライル達の事を聞く。聞く際に首飾りを使って思考を誘導して怪しまれない様に注意を払う。

 話を聞いていく内に標的で間違いないと確信を持ち、セイラをどうやって外すかを考える。


「ここで考えても纏まりませんね。宿に戻るとしますか」


 宿の部屋に戻るとベッドで眠っていたので、直ぐに部屋を出てケビンがいる部屋を訪れる。


「ケビンさん。情報を集めてきましたよ。」

「ライルはこの街に居るのか? どうなんだ」


 部屋に入ると詰め寄ってきたので集めた情報を伝えると暗い笑顔を浮かべて喜ぶ、自分が負けるとは微塵も思ってない。


「それでですね、私が偽のクエストを発注するのでその冒険者の事はケビンさんにお任せしたいんですが、よろしいですよね?」

「あぁ、俺に任せろ。待ちに待ったんだからな。」

「呉々も冒険者だけお願いしますね? 連れている人物には手出し無用でお願いします。」


 頷いて返事を返し、細かい打ち合わせをしてセイルは自分が借りている部屋に戻る。

 部屋に戻るとセイラはベッドで寝ていたので起こさない様に椅子に腰を掛けてセイラを引き離す方法を考える。


「さて、どうしたものですかね。クエストは二、三日以内に出すとして、どうやってセイラを誤魔化すか」


 暫く考えているとセイラが目を覚ます。


「セイル帰ってたのね。」

「えぇ、少し前にね。明日からセイラはどうするつもりですか? 私は明日も情報を集めに行きますが?」

「そうね、私も情報集めかしらね。」

「そうですか、私一人でも大丈夫だと思うのですが、セイラにもやって貰った方が効率がいいのでしょうね」

「そうよ、私だって情報集め位簡単よ。」


 得意気に胸を張るセイラを見て、どうしてこんなに自信があるのか不思議に思うセイル。

 クエストを発注して対象を誘き出す予定の日にセイラが動き回るのは不味いと考えて、明日は好きなように動いてもらってクエストを発注したら、適当に理由をつけて部屋で大人しくさせるしかないと考えるセイル。


「頼りにしてますよ。」


 



 翌朝、セイラは起きて朝食を食べて直ぐに出て行った。

 セイルはセイラを見送ってからギルドに向かう。



 ギルドに着いて中に入ると溢れている人混みを通ってクエストを受け付けているカウンターに行き、偽のクエストを発注する。受付嬢に首飾りを使い、自分の印象が残らない様にしておく。

 クエストは今日からではなく、明日を指定し、クエストの内容は採取をするのに護衛として発注した。

 

「こんなものですかね」


 ギルドを出ると入れ違いにライルが入って行くのを確認して宿に戻って行く。



「あぁ、ライルさん。指名が入りましたよ」


 ギルドに入るとカレンから声が掛かる。 


「指名、俺にか? どんな内容だ?」

「え~と、ですね。明日になるんですが西にある森で採取をしに行くので、護衛として付いてきて貰いたいそうですよ」

「明日か……分かった。引き受けよう」

「では、依頼人は鐘2つ頃に門で待っているとの事なので宜しくお願いしますね。」

「分かった。」


 今日はクエストを受けずに宿に戻り、明日に備える事にする。

 

「キュウ、明日は護衛のクエストを受けたがどうする?」

「勿論、一緒に行くの」

「そうか、街の人には受け入れられてるけど、見た目子供のキュウを連れていくのは体裁が悪いから、明日は前の姿に為ってもらっていいか?」

「キュウはちゃんとした大人なの、でもライルが言うならそうするの」


 キュウが納得してくれたのでホッとするライル。

 明日の為にポーション等を街に買いに出る。





 その頃、セイルはライルがクエストを受けたのを確認して宿に戻り、ケビンに明日は西の森に行くので待機する様に伝えていた。



「何か聞きたい事はありますか?」

「いや、ねぇな。明日か。くっくく、明日が楽しみだ」


 ケビンには連れている人物に手を出さない様に念を押して自分の部屋に戻って行った。

 部屋に戻り、情報を紙に書いているとセイラが帰って来る。


「お帰りなさい。どうでしたか? 何かいい情報は掴めましたか?」

「そ、そうね。特にこれと言ったのは無かったわね。セイルは?」

「私の方はそれらしき人物の話を聞いてきましたよ。今はそれを紙に書いているところですよ」

「へ、へぇ~、そうなの。それで実際に会って確かめたの?」


 セイルの言葉を聞き、動揺を隠して訪ねてくる。


「いいえ、会ってないですよ。今は情報を集めた方がいいでしょうからね。それでですね、明日も私は街に情報を集めに行くのですがセイラには私が書いている事を纏めて置いて欲しいのです」

「え~、それなら私が街に出るからセイルが纏めれはいいじゃない」

「本来ならそうしたいんですよ? ですが私が行かないと駄目な場所があるんですよ。だからセイラにお願いしているんです。」


 セイルが行かなければいけない場所と聞いて如何わしい店を考えるセイラ。


「はぁ~、セイラが考えてる様な場所じゃないですからね」 

「そ、そんな事言っても誤魔化されないんだからね!」

「明日はケビンさんを連れて行くのでセイラが考える事はないですよ」

「うっ、何でアイツなんかと行くのよ?」


 ケビンの名前を出すと不機嫌になるセイラ。  


「少しやりたい事が出来ましてね。そのお手伝いをしてもらうのですよ」


 話ながら聞いて集めた情報を紙に書いていく、セイラがチラッと見るとかなりの量になっていた。


「こんなに書く程、情報を集めたの?」

「えぇ、細かい所まで書いていたら結構な量になりましたね。明日は頼みましたよ、セイラ」


 反論は許さないとばかりに語気を強めて名を呼ぶとセイラも観念して了承する。

 了承したのを確認すると筆を止めてお茶を入れてセイラに出す。


「まぁ、ゆっくりやってくれていいですからね」

「分かったわよ」


 涙目になりながらお茶を受け取る。



「さて、明日は忙しくなりそうですね」

「セイルのせいでしょ!」



 明日のクエストの事を考えて言った言葉に反応して怒ってくるセイラを見て笑いながら宥める。



「本当に明日は忙しくなりそうだ」



セイラには聞こえない程に小さな声で呟く。


面白かった。と思って頂けたら評価とブックマークお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ