旅立ち
泣き崩れるエリーをそのままにし、ギルドに行く。
ギルドに着き中に入るとまだ沢山の冒険者で盛り上がっている。
辺りを見回すがケビンの姿は見えなかった。
「なぁ、ケビンの姿が見えないんだか居ないのか?」
近くに居た奴に聞くとどうやらケビンはダンジョンに潜っているみたいだ。
「ケビンに何か用でも在ったのか?」
「いや、少し話がしたかっただけだ。Aランクに成ったみたいだからな。」
「そうか、でも俺はケビンよりライルの方が先にAランクに成ると思ってたぜ。」
「まぁ、俺は基本ソロだからな。ソロにはダンジョンは向かないさ。それに俺はそこまでランクを上げようとは思わないしな。」
「勿体ねぇ。俺はケビンよりライルの方が強いと思うぜ。ライルならソロでダンジョンの20階層位行けるんじゃないのか?」
「やれなくはないと思うが実際ソロで何か在ったらおしまいだからな。無茶はしないよ。」
冒険者の男と喋っていると受付嬢に呼ばれる。
「あっ、ライルさん良いとこに居ました。」
「なんだ何か用か?」
「え~とですね。ギルマスがライルさんを呼んでるんですよ。一緒に来てもらってもいいですか?」
「ギルマスが俺を?分かった行くよ。」
ラグラのギルマスは190の大柄で紅い髪を俺の様に後ろで縛っている四十代の男だ。
受付嬢の案内で二階にあるギルマスの部屋まで行く。
コン、コン。
「ギルマス、ライルさんをお連れしましたよ。」
「中に入ってくれ。」
ギルマスの許可が出たので部屋に入る。
「では中にどうぞ、後でお茶をお持ちしますので。」
「あぁ、ありがとう。」
部屋に入ると書類の山が目に入る。
「悪いな、そこのソファーにでも座って待っててくれ。すぐに終わらせるからよ。」
ギルマスに言われソファーで待っていると、ノックされる。
「ギルマス、お茶をお持ちしました。」
「入ってくれ。」
先程の受付嬢がお茶を持って来て俺にお茶を出してくれる。
「ふぅ~、待たせたな。ってミア俺のお茶は?」
「ギルマス。書類は終わりましたか?」
「あ~、後少しで終わらせるからよ。怖い顔するなよ。可愛い顔が台無しだぞ。」
「ギルマスがちゃんと仕事をしてくれれば、怖い顔なんてしません。私いつも言ってますよね。」
二人で言い合い?を始める、っていうか受付嬢の名前はミアって言うのか。
三年も居るのに全然知らなかった。この三年間は我武者羅にやって来たので余り人の名前を覚えてなかった事に気付き、ミアを良く見てみる。
ミアは160位で小柄な体格、金髪でショートボブだ。
「え~とミア、ギルマスが忙しいなら出直すぞ?」
「あっ、ライルさん初めて私の名前を呼んでくれましたね。ギルマスの事は気にしないで下さい。いつも仕事サボってるからバチが当たったんですよ。」
「なぁ~ミア少しは俺の事も労ってくれよ。」
「自業自得です。反省してこれからはちゃんと仕事してください。」
肩を落とし落ち込むギルマス。
「ギルマスがライルさんを呼んだんですから、落ち込んでないで早く話を進めてください。」
「分かったよ。急に呼んで悪かったなライル。っとミアは下がっていいぞ。大事な話だからな。」
「はぁ~、分かりました。これで失礼します。」
ミアが部屋を出るのを確認してから喋り出すギルマス。
「でな、ライル。ケビンがAランクに成ったのは知ってるな?」
「あぁ、下の連中に聞きましたよ。それが何か?」
「なんだよライルその喋り方は前みたいに喋れよ。俺とお前の仲じゃないか。」
「はぁ~。分かったよディル師匠。これでいいか?」
俺は昔と同じように呼ぶと楽しそうにする師匠。
師匠とは10年前に出会った。その時の俺は孤児で教会の世話に為っていた。その教会にたまたま来て居た当時現役だった師匠に頼んで弟子にしてもらった。
俺は早く教会を出て小さな子達がちゃんと食べれるようにしたかったから、師匠が教会に来て俺を弟子にしてくれて本当に感謝している。
神父とシスターは子供が気にしなくてもいいと言われだがその時にはエリーと結婚の約束したから早く冒険者に成って金を稼ぎたかったんだ。
「よし。で本題なんだかな?ライルAランクの試験受けないか?」
「なんで?」
「ライル、お前は俺が鍛えた弟子だ。お前の力はわかってるつもりだ、
俺はお前なら試験合格してくれると思っている。」
真剣な顔で試験を進めてくる師匠に疑問が浮かぶ。
「で、本音は?」
「ったく、弟子はやりづれぇな。全く、なんかよリスロのギルマスから
お前を推薦するから試験を受けさせろって言われたんだよ。ライル何かしたか?」
「いや、なにもとは言わないがオーガのクエストを受けてリスロには行ったが
それだけだぞ。」
「まぁいいや、でどうする?受けるか?」
「何日かしたら旅に出ようと考えてるから辞めておくよ。」
「はぁ?急に旅に出るなんて?エリーはどうすんだ?」
「何も聞かないでくれよ。ディル師匠。それとBランクの冒険者が減って悪いな。」
「分かったよ。何が在ったのか聞かねぇよ。お前一人居なくてもギルドには関係ないから、気にすんな。それにAランクに上がったケビンに頑張ってもらうさ。何処に行くのか決めてあるのか?」
「あぁ、リスロに行こうと思う。」
「そうか、気を付けて行けよ。旅に飽きたら戻ってこいよ。」
「飽きたらな。」
ディル師匠の部屋から出ていくとミアが此方に寄ってくる。
「ライルさんギルマスとなんの話をしてたんですか?」
「ちょっとした世間話をしただけさ。じゃあ、元気にやれよミア。」
ギルドを後にして旅に必要な物を買いに行った。
10日が経ち俺は馬車に乗る。
馬車には旅に必要な物をか買って乗せてある。馬車は中古で良いのが在ったので
即判断して買った。一人用の中古だが馬と合わせると稼いだ金が僅かにしか残らなかったが俺は満足している。旅に出る事で少し興奮している。
まぁ、最初の目的地は何度か行ったことがあるリスロだが旅の道中をゆっくりと楽しもうと思う。
「よし。のんびり旅を楽しむか。」
ブックマークが100件越えました。ありがとうございます。
感想等も頂きそれを励みに書いていこうと思います。
これで1章を終わりにし次から2章な突入します。