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婚約者に裏切られたので諦める事にした  作者: 東海さん
リヴィア編
29/39

ソルシャの居ない日常ー迫る悪意

遅くなってすみません。なるべく投稿していきますが、前の様に毎日投稿出来ないかもしれません。

 ソルシャがリヴィアを出てから2週間が経った。


「ねぇ、ねぇライル。ソルシャはそろそろ帰ってくるの?」

「まだ、帰って来れないぞ。今頃はリスロに着いたぐらいじゃないか?」

「そうなの……まだ帰ってこれないの。」


何時もはソルシャを揶揄って楽しんでいるキュウが最近になるとソルシャの事を良く聞いてくる様になった。なんだかんだ言ってキュウはソルシャが居ない事を寂しがっている様だ。


「ライルは今日はどうするの?ギルドでクエストを受けるの?」

「今日もクエストを受けにギルドに行くつもりだ。キュウはどうする?ティアナと遊んできてもいいぞ?」

「ティアナとは昨日も遊んだから、キュウはライルに付いていくの。」


ライルはキュウを連れてギルドに向かう。最近のキュウは街を人の姿で出掛ける様になった。街の人々は最初は驚いていたが、キュウの天真爛漫な姿を見て、受けいられていった。


ギルドに入って直ぐに受付嬢が笑顔で近付いてくる。


「ライルさん、今日もクエストですか?たまには休んで、どっかに遊びにいきませんか?」

「ライルにはキュウが居るから大丈夫なの!余計なお世話なの。」


キュウの一言に笑顔を引き攣る。


「キ、キュウちゃん、私はライルさんに聞いてるんで、キュウちゃんには聞いてないのよ?」

「聞かなくても、キュウはライルの事は分かるの。」


挟んで言葉の応酬が始まってしまい、ライルは二人の側から静かに離れて掲示板を見に行く。


「兄さんモテモテだな。羨ましい事だ。」 「出来れば、替わって欲しいよ。」

「贅沢な悩みだぜ。はぁ、俺。カレンの事狙ってたのに。」

「あの受付嬢の名前はカレンって言うのか。今、知ったよ。」


冒険者から受付嬢の名前が出て、知ったライルに周りの冒険者から殺気が籠った視線が集まるが、ライルの顔を見て自分の顔を思い出すと、殺気立った視線が霧散して、トボトボとギルドを出ていく。


「急に人が居なくなったな?どうしたんだ?」

「お前なんて知らねぇよ。」


捨て台詞?吐いて隣に居た男が走ってギルドを出ていき、意味が分からないライルは気にせずにクエストを探そうとする。


「ライルさん、キュウちゃんに言ってやってください!」

「ライルも言ってやるの!」


二人は並んで目の前に来て、お互いの体で押し合いしながら、問い掛けてきた。


「まだ、やってたのか?えーと、カレンだったな。悪いが今からはクエストを受けるから、その話はまた今度な。」

「ライルさん、私の名前覚えてくれてたんですね♪分かりました!邪魔者が居ない時に話しましょう。」


名前を呼ぶと喜んで仕事に戻っていったが、邪魔者という言葉にキュウが反応して飛び掛かろうとするので、後から左腕で抱き上げて止める。


「ライル、離してなの!あの女に目に物見せてくれるの!」 

「ほら、落ち着けって。早くクエストを決めるぞ。」


腕の中で暴れるキュウの頭を撫でながら言い聞かせると怒りが治まったみたいで、暴れるのを止めたので離してやる。


「落ち着いたか?あまりギルドで暴れるなよ?」

「キュウは暴れるつもりはないの!あの女がライルに近寄るから悪いの!」

「はぁ~。まぁ、いい。さくっとクエストを決めるぞ。」


キュウの意見を聞きながら決めて、クエストを淡々とこなしていく。

ソルシャがラグラに旅立ってからは、そんな日々を過ごしていた。




その頃のソルシャは、リスロに着いていた。


「リスロを出てそんなに経ってないのに、懐かしく感じるわね。」


リスロの街並みを感慨深く見て回っていると、ライルとよくクエストを受けていた悠久の絆のメンバーを見つけた。


「久し振りね。元気にしてた?」


声を掛けるとメンバー全員が振り返る。


「ギルマスじゃないですか!ライルさんと旅に行ったって聞いてましたけど、戻って来たんですね。ライルさんは?」

「エリック、私はもうギルマスじゃないわよ。只の冒険者よ。ライルとは今、別行動中よ。」

「ソルシャさん、喋り方変えた?」 「ちょっとね、可笑しいかしら?」

「そんな事無いよ。僕はいいと思う。ね!」


エミリーとエマに訪ねると二人はライラと同じ様に答える。


「何でソルシャさんだけ別行動、何ですか?」

「ラグラで調べたい事があったのよ。あなた達は今日はクエストを受けてないの?」

「エリックと話して、今日は休みにしたんですよ。ラグラには直ぐに行くんですか?」

「今日はリスロで休んで明日には向かうつもりよ。今から宿屋に行って部屋を借りたらギルドに行こうと思ってるの。」 

 

まだ宿で部屋を借りてないソルシャを引き留めて話を続けている事に気付いたエリック達は申し訳なく思いソルシャに挨拶をして去っていった。


「そんなに気を使わなくて良かったのに。」


去っていったエリック達の後ろ姿を見送ってから、宿で部屋を借りてギルドに

向かった。


ギルドに着き、中に入って行くソルシャを見た冒険者達が口々にギルマスと囁いて見ていた。自分はもうギルマスでは無いのに、皆にギルマスと言われて気まずくなって受付にいるヘレンに声を掛けに行く。


「ヘレン、久し振りね。元気だった?」

「ソルシャさん。お久し振りです、元気ですよ。今日はどうしたんですか?」

「ヘレンとパーカーに挨拶をしようと思ってね。パーカーはどう?」

「ギルマスはよくやってると思いますよ。呼んでくるので、待っててください。」


ヘレンはパーカーを呼びに二階に上がって行った。その場で待っていると二階から二人が降りて来て、ソルシャに話し掛けた。


「ギルマス……じゃなかった。ソルシャ、久し振りだな。」


若干疲れが見えるパーカーが手を上げて挨拶をしてくる。ヘレンはパーカーが疲れているのを気付いていたので、ソルシャと話して少しでも気分転換になればいいと思い、二人の邪魔をしない様に後ろで見守る事にした。


「パーカー、疲れてるわね。ごめんなさい、私がいきなりギルマスを辞めたいなんて言い出したから。」

「ソルシャさんだけのせいじゃありませんよ。私も協力しましたし。」


ヘレンとソルシャは疲れているパーカーを見て申し訳ない気持ちになり、俯いてしまう。


「ソルシャにヘレン、気にするなよ。まぁ、ギルマスの仕事がまだ馴れてないだけだ。二人が俯いたままだと、他の奴等の視線が痛いから、顔を上げてくれ。」


二人が顔を上げて周りを見ると慌てて違う方を向く冒険者達を見て、二人は思わず笑ってしまう。パーカーは落ち着いて話をする為の部屋をヘレンに言って用意してもらい、三人で話すことにした。


「ソルシャはどうして戻ってきたんだ?ライルに振られたのか?」

「違うわよ!ちょっとラグラまで調べ物があったから、私だけ戻ってきたのよ!」

「パーカーさん、ソルシャさんを揶揄わないでください。」


怒鳴ってくるソルシャを笑っていると、すかさず横からヘレンが声を掛け、止めると自分が揶揄われていたのだと、気付いて顔を真っ赤にして怒る。


「悪いな。まぁ、そう怒るな。ソルシャが帰ってきて嬉しくてな。」

「帰ってきたんじゃないわ、リスロにはただ寄っただけよ。」

「ソルシャさんは何時までリスロに?」

「明日にはラグラに行くつもりよ。それがどうかしたの?」


ソルシャとパーカー話に割って入ってきたヘレンに予定を聞かれて答えると、考える素振りをしてヘレンが話し掛けてくる。


「実はですね。少し前にキュウちゃんを探してる感じの二人組がこのリスロに居たんです。なんか怪しい感じがしたので、ソルシャさんに伝えておこうと思って。」

「そう、キュウを探してる二人組ね。その二人組はまだリスロに居るの?」

「今はもうリスロにはいない様です。最近は二人組の話を聞かないので。」


話を聞いて少し心配になったので手紙を書いてライル達に送る様にヘレンに頼んで、ギルドを後にした。







「ここがリスロで聞いたキュウと呼ばれた魔物を連れた冒険者が向かった場所ね。まだ居るのかしら?」

「どうでしょうね。まぁ、それはゆっくりと探せばいいでしょう。ねぇ。」


男が話掛けて顔を見ると、怨念籠った目で街を睨んでいた。


「ここにライルが‼️」



フードを被った三人組がリヴィアに着いたのをリスロに居るソルシャには知る由もなかった。




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