ライルはキュウが守るの!
朝、ライルが起きて食堂に行くと、ソルシャが先に来ていた。
「おはよう、ライル。よく眠れた?」
「おはよう、ソルシャ。キュウが居なかったから、よく眠れたよ。」
「今の言葉、キュウが聞いたら怒るわよ?てっきり私とキュウが居ないから、寂しいと思ったのに。」
戯けるソルシャに苦笑いを浮かべて、席に着く。
「そうだな、キュウが俺の横で寝て、それを見たソルシャが怒り散らかす所が見れなかったのは残念だと思うよ。」
「もう、何よそれ!私だって、何時もキュウに怒ってる訳じゃないのよ!」
ライルの言葉に反応して、怒り出す。
「そんなに怒るなよ?朝食を食べたら、直ぐに出るのか?」
「はぁ〰️、まだ準備が出来てないから、昼過ぎになると思う。キュウにも今一度、釘を刺さないと駄目だしね。」
「食べたらキュウを迎えにティアナの家に行くか。ティアナにも出掛ける事は言っておいた方がいいだろ?」
「そうね、そうしましょう。」
二人は朝食を食べ終えるとティアナの家に向かった。
一方、ティアナの家にいるキュウは朝食を食べ終えて、ティアナとお喋りを楽しんでいた。
「キュウちゃんはライルお兄ちゃんの事が好きなの?」
「キュウはライルの事が大好きなの!ライルもキュウの事が大好きなの!」
「えっ!そうなの?二人は相思相愛ってやつなの?でも、キュウちゃんは私と同じで、まだ子供だよね?」
キュウは周りをキョロキョロ見渡して、ティアナの耳元で誰にも聞こえないように喋る。
「友達のティアナだから、教えてあげるの。キュウの今の姿は仮なの。本当のキュウはソルシャに負けないパーフェクトボディなの♪」
「え~、そうなの!何時になったら、本当の姿になるの?」
胸を張って威張っているキュウにティアナから鋭い質問が飛ぶと視線を泳がせて答える。
「そ、それは、まだ力が戻らないからまだ先の話なの。」
「ふーん、そうなんだ。早く戻れるといいね♪キュウちゃんが大きくなっても、友達でいてくれる?」
「勿論なの!ティアナとキュウは心の友と書いて心友なの♪」
「心友ってなぁに?普通の友達と違うの?」
ちっちっと指先を振ってティアナに教える。
「心の友は普通の友達と違うの!普通の友達よりも心の友の方が10倍は凄いの!」
「へぇ~、そうなんだ。じゃあ、私とキュウちゃんは心友だね♪」
ティアナとキュウが心の友を熱く語っていると、ライルとソルシャが家に訪れる。
「あっ、いらっしゃい。ライルお兄ちゃん、ソルシャお姉ちゃん。」
「あぁ、ティアナ。お邪魔するよ。」
「お邪魔するわね。」 「邪魔するなら、ソルシャだけ帰ってもいいの!」
「キュウ!私はそう言う事を言ってるんじゃないのよ!」
ソルシャにだけ、帰ってもいいと言うキュウを追いかけ回す。キュウは笑いながら捕まらない様に逃げ出す。
「こら、キュウ。人の家で暴れるな。ソルシャも。」
「だって、キュウが。」 「分かったの。」
言われてキュウを追い掛けるのを渋々やめた。
「キュウは今日はティアナと一緒に遊ぶのか?」
「ん~、そのつもりなの。」 「本当!?やったー!」
「そうか。なら、今日はソルシャの旅の準備でも手伝うか。」
「ん、ソルシャお姉ちゃんどっかに行くの?」
「えぇ、でも、ちゃんと帰ってくるわよ。折角ティアナと仲良くなったんですもの。」
ティアナに帰ってきたら、遊びましょう。と伝えて旅の準備をする為に、ソルシャはティアナにお別れを言って、ライルと一緒に家を後にする。
「ソルシャお姉ちゃん、無事に帰ってくるといいね。」
「ソルシャなら心配はいらないから、大丈夫なの♪」
ソルシャの実力を知っているキュウは心配はいらないとティアナに言って、二人は仲良くライルをどう攻めるのか。を話し合った。
ティアナの家を出て、少し行くと背筋に寒気を感じたライル。
「どうかしたの?」
「急に寒気がした、風邪でも引いたんだろうか?」
「大丈夫?無理して私に付き合わずに、宿で寝てたら?」
「まぁ、大丈夫だろ。何処から回るんだ?」
「食料を買って道具屋かしら、後は雑貨屋でちょっと物を買うだけね。」
「じゃあ、行くか。」 「無理しなくていいからね。」
ソルシャの準備の買い物に付き合い店を回っていく。
「大体の物は買えたわね。ありがとう、ライル。」
「気にするな。気を付けて行ってこいよ。」
「大丈夫よ。私はこれでもAランクの冒険者なんだから♪」
「そうだな、俺よりも凄腕の冒険者だったな。」
「ライル、此処まででいいわ。」 「門まで送るぞ?」
首を振って断るソルシャに分かったと、言って手を出すライル。
その手を掴んで別れの挨拶をして二人は別れた。ライルが宿に戻って行く背中を眺める。
「これ以上一緒に居たら、決心が鈍ってしまうわね。ラグラに行ったら、ディルを捕まえて話を聞けばいいわね。」
1人呟いてソルシャは馬車を操り、リヴィアを離れていった。
ソルシャと別れて、今から受けれるクエストが無いかを探しにギルドに向かうのだった。
「この時間に来ても、やっぱりいいクエストは無いな。しょうがない、キュウを迎えにでも行くか。」
「ライルさん、ま、待って下さい。」
ギルドを出ようとすると呼び止められ、振り返ると受付嬢が慌てて走ってくる。
「何か用か?」
「えーと、ソルシャさんが見えませんが、何処に?」
「ソルシャは用事でリヴィアを離れてるよ。」
後ろを向いて小さくガッツポーズを決める受付嬢。
「そうなんですか。あのですね、良かったら今日の夜一緒に食事でもしませんか?」
「あ~、悪いな。今日はちょっと用事があるんだ。」
「そ、そうですか。」
ライルが断ると、トボトボと戻っていった。ライルに用事など無かったが、断る理由が思い付かなくて適当に用事があると嘘を言ってギルドを足早に去っていく。
「受付嬢に食事に誘われるなんて、今まで無かったのに何で今日に限って誘ってくるんだ?」
ギルドに来る時は何時も隣にソルシャが居たため、声を掛けれなかったのだが、今日はソルシャが居なかった為に声を掛けられた事にライルはきづかなかった。
ギルドを出て、ティアナの家に向かって歩いていくと様々な女性から食事に誘われる。その度に用事があると断って、ティアナの家に急いだ。
その頃、ティアナの家では。
「ねぇ、キュウちゃん?ライルお兄ちゃんを一人にして大丈夫かな?」
「ん?どう言うことなの?」
「だって、ライルお兄ちゃんはカッコいいでしょ!色んな女の人が狙ってると思うんだぁ。しかもだよ!今まで隣にはソルシャお姉ちゃんという壁が在ったのに今はないでしょ?」
「はっ!それは確かになの!ライルの貞操が危ないの!」
ティアナに言われて、慌て出すキュウの頭を後から叩くライル。
「何処でそんな言葉を覚えてくるんだ。」
「ライルお兄ちゃん、貞操って何?」
「ほら見ろ!ティアナが聞いてきたじゃないか!どうするんだ?キュウ。」
「ティアナ、貞操って言うのは男女の性……むーんー」
キュウの口を慌てて押さえて喋れないようにする。
「お前はティアナに何を言う気だ!ティアナが覚えるにはまだ早いから気にしちゃ駄目だ。」
「何で、何で早いの?キュウちゃんは知ってるのに。」
「キュウはこう見えてティアナより歳がいってるからいいんだよ。」
「こう見えては余計なの。キュウはピチピチなの!」
「兎に角、ティアナにはまだ早いから。いいね!」
「うん、分かった。」 「いい子だ。」
納得してくれたティアナの頭を撫でるとキュウが直ぐ様反応する。
「キュウも、キュウも頭を撫でてほしいの!キュウもいい子なの!」
「あんまりティアナに余計な事は言うなよ?」 「分かったの!」
ティアナの頭を撫でるのをやめてキュウの頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細める。
「ライルお兄ちゃん、私も、私も、もっと撫でて!」
「分かった、分かった。」
右手でキュウを左手でティアナを撫でると、家の主人であるアッシュが帰って来た。
「帰ったぞ~。」
帰って来たアッシュは頭を撫でられて、幸せそうにしている愛娘のティアナが目に入る。
「ティナ、ティアナの頭を気安く撫でてるアイツは誰だ?」
「キュウちゃんの仲間のライルさんよ。ティアナが凄く懐ついちゃったのよ。」
「あれは、懐ついたってレベルじゃないだろ?おい、あんた。家のティアナを気安く撫でないでもらおうか!」
アッシュに言われたので、ティアナを撫でるのをやめてはアッシュに挨拶をする。
「悪いな、これからはやめるよ。」
「次は無いぞ?ティアナ、こっちにおいで。」
呼んでも近寄らずにライルの腰に抱き付き、アッシュを睨む。
「ど、どうして、お父さんを睨むんだ?そんなよく知らない男に近寄っちゃ駄目だ。」
「そんな事無いもん、キュウちゃんにライルお兄ちゃんの事一杯聞いたもん。ライルお兄ちゃんをイジメるお父さん何て大嫌い!」
今までティアナに大嫌いなど言われた事が無かったアッシュはライルを睨み付ける。
「クソッ、お前にティアナはやらんぞ!表に出ろ。」
「止めなさい!ティアナも言い過ぎよ!お父さんが可哀想でしょ!すいませんライルさん、見苦しい所を見せてしまって。」
「いや、気にしないでくれ。旦那さんは正しい事を言ってるだけだから、女の子の頭を気安く撫でるのは良くないからな。いつまでも居ると旦那さんに悪いから、今日は帰るよ。」
「何のお構いも出来なくてすみません。」
「本当に大丈夫だから、キュウ、帰るぞ?」
「分かったの。ティアナ、キュウは帰るから、また遊ぶの。バイバイなの♪」
「キュウちゃん、また遊びに来てね♪バイバイ。」
キュウを連れてティアナの家を出ていく。。
「ライルが一人の時に他の女の人に声を掛けられなかったの?」
「あぁ、今日はやたらと声を掛けられたよ。今まで声を掛けられなかったのに。」
「やっぱりなの!ライルはキュウが守るの!」
「なんだそれは?自分の身くらい、自分で守れるぞ?」
「ライルは何も分かってないの!キュウに任せておけばいいの!」
ライルの腕に抱き付き、辺りを威嚇しながら宿へ帰って行く。
キュウのお陰なのか、分からないが宿に戻る途中は誰からも、声が掛けられる事は無かった。
面白いと思ったら、評価とブックマークお願いします。




