キュウの友達。
更新が遅れてすみませんでした。
キュウがティアナの家に行く時まで、時間を遡る。
「キュウちゃん、ここが私の家だよ。」
「キュウ。」
ティアナの肩に乗せられて、連れてきてもらったキュウが見た家は港がある場所から離れていて、煉瓦で作られた家が建ち並ぶ内の一つだった。
ティアナと一緒に家の中に入ると、ティアナの母親が台所に向かっていく。
「いまから夕食を作るから、キュウちゃんはティアナと遊んであげてね。」
「キュ~。」
「キュウちゃん、こっちに来て遊ぼ。」
キュウがティアナと遊んでいるとティアナの父親が帰ってきた。
「今、帰ったぞ。」
「お父さんお帰りなさい。」
帰ってきた父親に飛び付くティアナ、キュウはお邪魔してますと言ってる様に軽く頭を下げる。
「ん?この生き物はなんだ?」
「この子はキュウちゃんっていうの。私がお母さんと逸れた時に助けてくれたの。」
「へぇ~、そうなのか。ティアナを助けてくれて、ありがとな。」
「キュ、キュ、キュウ。」
顔を横にむけながら、左手を頭に乗せ、右手を振る。
「な、中々、芸が細かいな。」
「キュウちゃん凄いでしょ!それに凄く可愛いの!」
「キュ、キュ~。」
誉められて満更ではないキュウはティアナに頬擦りをして喜びを表現する。
「あっははは、やったな♪仕返しだぁ。」
「キュ!?キュ、キュウ~、キュ。」
娘とキュウが戯れて居る姿を暖かく見守る。
暫く眺めていると母親から夕食の支度が出来たと言われて二人はテーブルに座る。
「ほら、キュウちゃんこっちにおいでよ。お母さん、キュウちゃんは私の横で食べてもらうから。」
「ハイハイ♪キュウちゃん、テーブルの上に乗って食べていいからね?ティアナの横で食べてあげてね。」
「キュ?キュ~ウ?」
自分の手足を見て戸惑うキュウ。
「キュウって言ったな。気にする事はねぇよ。ティアナを助けてくれた恩人?……恩動物?まぁ、どっちでもいいか。そんなキュウが遠慮する事ねぇさ。なぁ、ティナ?」
「えぇ。遠慮なんかしないでいいのよ?アッシュもこう言ってくれたしね♪」
ティナとアッシュ、二人して遠慮するな。と言うのでテーブルの上に飛び乗り、恐る恐るティアナの横に歩いてく。
その様子を見て二人は顔を見合わせて、互いに笑ってしまう。
「キュウちゃんは良い子ね。本当に気にしなくていいんだからね?」
「なんか、人みたいだな。ん?キュウが首に付けてる首輪って、従魔に付ける首輪じゃないのか?」
「あら?本当ね。キュウちゃん、今日は本当に家に泊まっていっても大丈夫なの?あなたの主人が心配してるんじゃないかしら?」
「キュ、キュ、キュウ。」
ライルと自分は対等だと考えてるキュウは心配はないと、右手を腰に当てて、左手の人差し指?を振る。
「そ、そうなの。明日は帰らないと駄目よ?心配してる筈よ。」
「えっ!キュウちゃん、明日は帰っちゃうの?帰っちゃヤだ!」
「キュウ~。」
明日にはキュウが帰ってしまう事を嫌がるティアナはキュウ抱き締めて泣きそうになる。
「ティアナ。キュウちゃんには帰りを待ってる人が居るのよ?そんな我が儘を言っては駄目よ?」
「ティアナ。我が儘ばかり言っているとキュウに嫌われるぞ?今日は泊まって行ってくれるんだから、また遊びにきてもらえばいいだろ?」
ティナとアッシュが優しくティアナに言い聞かせる。
二人に言われて、キュウを両手で持ち上げて、顔を見つめる。
「うぅ、ひっく、ギュウぢゃん、まだ家にあぞびにきてぐれる?」
「キュウ♪」
泣いてるティアナの顔に両手を広げて抱きつきながら鼻を舐めてやる。
キュウの顔をじっと見て、やがて笑顔になる。
「ありがとう、キュウちゃん。絶対に遊びに来てね♪約束だよ?」
「キュ、キュ、キュウ♪」
「今日は一緒に寝ようね♪お母さん、お父さん。いいでしょ?」
「えぇ、いいわよ。今日は私達とキュウちゃんで寝ましょ。」
「俺もいいぞ。」
「ありがとう。お母さんもお父さんも大好き♪」
「キュウ?」
自分は?と言いたげに鳴き、ティアナを見つめる。
「ふふ、勿論キュウちゃんも大好きだよ♪」
「キュウ、キュウ♪」
ティアナの機嫌も良くなって食事が終わる。
ティナとアッシュは後片付けをするからとティアナとキュウを寝室に行って寝る準備をしておくように言っておく。
二人が後片付けを終えて寝室に行くと、ティアナは夢の中に旅立っていた。キュウも、そんなティアナの横で丸まって寝ていた。
「なんだ、もう寝ちゃたのか?」
「そうね。ティアナは今日一杯歩いたから、疲れちゃたのね。キュウちゃんもティアナと遊んで疲れてしまったのよ。」
ティアナとキュウの寝顔を見て微笑ましい感じて暫くそっとしておく事にして、二人はテーブルへと戻り会話を楽しんでから、眠りについた。
朝になってキュウが起きると、ティナとアッシュの姿は見えなかった。
ティアナを見るとまだ良く寝ていたので、こそっと起き出して台所を覗きに行く。
「あら、キュウちゃん。おはよう♪まだ寝てて良かったのに。」
「キュウ、キュ、キュ、キュ。」
右手を上げて朝の挨拶を返し、いつまでも寝ていられないと首を振る。
ティナはキュウに朝ごはんを用意するので、ティアナを起こしてほしいとお願いする。
「キュ!」
直ぐ様寝室に行き、ティアナのかおを舐めて起こしに掛かる。
「う~ん?朝?ふぁ、おはよう。キュウちゃん。」
まだ完全に起きてないティアナを擽り、眼を覚まさせる。
「あっはははは、キュウちゃん、やめて、わかった。もう眼が覚めたから、擽らなくてもいいよ。」
「キュ、キュ、キュウ。」
ティアナの反応を見て調子に乗ったキュウは擽るのをやめずに居ると、ティナが呼びに来た。
「あら?楽しそうね♪キュウちゃん、ティアナを起こしてくれてありがとうね。」
「お母さん、助けて。キュウちゃんが擽ってくるの。やめてくれないの。」
「キュウ。キュ、キュ。」
ティナが来た事で擽るのをやめる。ティアナが起きて着替えると寝室を出て、朝食を食べに行く。
「もう、キュウちゃんったら意地悪なんだから。」
「キュ、キュウ。」
「中々起きないティアナが悪いのよ?まぁ、キュウちゃんも調子に乗ってしまったわね♪」
「キュ、キュ~。」
罰が悪そうに顔を掻いて、視線を逸らす。朝食を食べ終わるまで、そんな些細な話で盛り上がった。
「ごちそうさまでした。」
「キュ、キュ、キュウ。」
「はい、お粗末様でした。」
ティナが朝食の後片付けを始める。
「お母さん、私今からキュウちゃんと一緒にキュウちゃんのご主人様に挨拶してくるね♪」
「ティアナ、待って。お母さんも言っては行かせてくれる?」
「なんで?お母さんが来るの?」
「キュウちゃんのご主人様に娘を助けてくれてありがとう、と伝えたいのよ。」
顎に手を当てて首を傾げる。
そのポーズを見て、キュウを見ると隣で同じ様にポーズをしている。
「う~ん?じゃあ、待ってるから早くしてね。」
「キュウ、キュ。」
「直ぐに終わらせるからね。」
後片付けを終えて、二人と一匹は家を出る。
「ティアナ、どこに探しに行くの?」
「うーんとね、キュウちゃんと会ったのが、港の屋台がある所だから、そこに行けば会えると思う。」
「そうね、キュウちゃんもご主人様に何も言わずに来てしまったから、探してるでしょうね。」
「でしょ!キュウちゃんも、そう思うよね?」
「キュ。」
会話を楽しんでいると港に着く。
「キュ、キュ、キュウ。キュ、キュ、キュウ。」
「わぁ♪楽しそうだね、キュウちゃん。」
「本当ね、気分が明るくなるようなメロディね。」
港までキュウを探しに来ていた、ライル達は聞き覚えのある声に気付く。
「ソルシャ今、キュウの声が聞こえなかったか?」
「あぁ、楽しそうな感じの鳴き方に聞こえたな。こっちから聞こえたぞ?」」
キュウの鳴き声を頼りにキュウを探し始める。
「お母さん、キュウちゃん、楽しいね♪」
「キュウ、キュウ♪」
「えぇ、楽しいわね♪」
キュウのテーマ曲を聞いて楽しむ二人は後から声を掛けられ振り返る。
「あ~、ちょっといいか?キュウの名前が聞こえたんだか知らないか?」
「うん?お兄ちゃん誰?」
「キュウ♪」
ティアナが訊ねると同時にキュウが声を上げ、ライル肩に飛び付き頬擦りをする。そのキュウの行動を見て、ティナはこの人がキュウのご主人様だと気付く。
「キュウちゃん、どうしたの?」
「え~とな、キュウは俺の仲間なんだよ。君はどうしてキュウと居るのかな?」
「横からすいません。ちょっとよろしいですか?」
「あなたは?」
「この子の母親でティナと言います。キュウちゃんは迷子になった娘を助けてくれたんです。それで昨日は娘がキュウちゃんを気に入ってしまって、無理を言って家に泊まって貰ったんです。心配させてごめんなさい。」
「成る程、そう言う事か。分かった、別に気にしないでくれ。キュウが考えて、そうしたのなら俺が何かを言う事はないから。」
ティアナは母親とライルの会話を隣でじぃーっと見ている。ライルの横に居るソルシャは母親をじぃーっと見ていた。
「ねぇ、お兄ちゃんはキュウちゃんのご主人様なの?」
「いや、違うよ。さっきも言ったけど、キュウは仲間だよ。仲間って分かるか?」
「仲間って友達の事?」
「そんな感じだ。君とキュウみたいな感じだよ。」
「私、キュウちゃんの友達なの?」
「キュ〰️。」
膝?をつき、右腕で目元を隠して左手で地面(ライルの肩)を叩く。
「そうだな、少なくともキュウは君の事を友達だと思ってるみたいだ。君はどうかな?」
「私はキュウちゃんの友達になりたい。」
「そうか、なら君とキュウは今日から友達だ。なぁ、キュウ?」
「キュウ♪」
「わぁーい。キュウちゃん、これからも一杯遊ぼうね♪」「キュウ♪」
キュウがティアナに飛び付き笑いながら、戯れる。
その様子を見て、ティアナとキュウが仲良くなって少し寂しさを感じたが、それでも、キュウに友達が出来た事を喜ぶ。
「ライル、寂しいなら、私が慰めてやるぞ?」
ライルの背中に哀愁を見たソルシャから、キュウに火を着ける言葉が吐かれる。
「キュ!キュ、キュウ!」
「わゎ、どうしたのキュウちゃん?」
ソルシャの言葉を聞いて怒ったキュウがソルシャに飛び掛かる。
ソルシャは飛び掛かってきたキュウを迎え撃つ構えを取る。
そのまま一人と一匹はライルに止められるまで、争い続けた。
因みにティナとティアナはキュウの様子をぽかーんと眺めていた。
毎日の更新がきつくなってきたので、二、三日ペースになるかもしれません。なるべく毎日更新を目指しますが出来なかったらごめんなさい。
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