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決別

木に寄りかかって座り込む。エリーがケビンの名を呼ぶ声を思い出すと吐き気がしてきた。どうしてこうなったのか?考えても分からないエリーの事を愛していた。俺の気持ちを分かってくれていた筈だ。


「エリーは俺の事は愛してくれてなかったのか?」


言葉に出すと自然と涙が出てきた。周りは森に囲まれて人など居やしない。

俺一人しか居ないと思い気の済むまで泣き叫んだ。


一頻り泣き叫んだ後。


「どうでも良くなってきたな、眠いし、このまま森の中で寝て魔物に喰われて終わるのもいいだろ。」


此処まで走って来て泣き叫んだ事で疲れが出て俺はそのまま眠った。





「うーん。朝か?」


顔を照らす朝日で目が覚める。


「生きてるな、死んでもいいと思った時には魔物がでないなんて。」


死んでも良かったのだがこうして生きているのも運がいいのだろ、ならば運が尽きるまでは生きてやろう。


「今は街に戻ってこれからの事を考えよう。」


街の門まで戻ってくると昨日急に出ていったので何かあったのかを聞かれる。


「昨日はどうしたんだ?様子が可笑しかったぞ!何か在ったのか?」

「悪いな、昨日は嫌な事が在って街に居たくなかったんでな、森の中で頭を冷やしてきたんだ。」

「おいおい、幾らBランクでも夜の森は危ないだろ?詳しくは聞かないけど無茶はするなよ。」

「聞かないでくれると助かる。心配してくれてありがとな。」

「森に居たってんなら、疲れてるだろ。早いとこ家に帰った方が良いぞ?」

「あ、あぁそうだな。そうするよ。」


門番に街に入れてもらいまずは宿に行く。


「いらっしゃいってライルじゃないか。どうした?」

「どうしたもないだろ?宿に来たんだ部屋を借りに来たに決まってるだろ?」

「いや、お前さん自分の家があるだろ?そんな奴が宿に来ても借りに来たとは思わないだろ?」

「それもそうだな。少し気分を変えたくてな。で、部屋は空いてるか?」

「あぁ、空いてるぞ。どれくらい借りるんだ?」

「じゃあ金貨二枚分で頼む。」

「おいおい、金貨二枚だと10日になるぞ?そんなに家を開けていいのか?」

「大丈夫だろうよ。兎に角それで頼む。」

「わ、分かった。ほれ部屋の鍵だ。」


鍵を受け取り部屋に行き落ち着いた所で考える。


「幾ら考えてもエリーのした事を許せそうにもないな。ケビンの奴と好きにやればいいだろ。一先ず家に戻って自分の荷物を持ってくるか。その前にギルドに顔を出すかな。」


直ぐに考えが纏まったのでギルドに行く事にした。

ギルドに着き中に入ると昼なのに、結構人が居た。

俺は近くに居た新人冒険者になにかあったのかを聞く。


「なぁ、昼間なのに結構人数が居るんだかなにかあったのか?」

「あっライルさん聞いてくださいよ。ケビンさんがAランクに昇格したんですよ。今までラグラにはAランクの冒険者が居なかったから皆喜んで騒いでるですよ。」


ケビンがAランクだって?アイツは最近ダンジョンにしか行ってなかった筈だ。


「ケビンはどうやって昇格したんだ?」

「何でもダンジョンを一人で潜って20階層迄到達した事が認められて昇格って事らしいですよ。凄いですよね。普通はパーティーを組んでダンジョン攻略するのに一人で20階層到達ってAランクに成る人は違いますね。」


嬉しそうに教えてくる。

ケビンの奴は腕は良いと思うが一人だと精々10階が限界の筈だ。

確かギルド証にはダンジョンに潜ると自動的に何処までの階層迄行ったのか記憶されるが一人で入ったとは確認できない筈だか?


「一人でって誰か見たのか?」

「ライルさん何言ってるんですか?今ダンジョンの入り口前で入る人をチェックするんですよ。」

「そうか、今はそんな風になってるのか。」

「えぇ、何でも腕も無いのに挑戦して命を落とす奴が沢山居るって事で今年からそうなったみたいですよ。」


今年からか、俺が冒険者に成ったのが15の時はそんなもの無かったのにあれから三年しか経ってないのに変われば変わるもんだな。


まぁ、もうケビンには興味が無いので話も聞けたし屋台で何か買って家に戻るか。


屋台で串焼きやらスープ等で腹を満たして家に戻って行くと玄関の前でエリーが居た。


「あっ、ラ、ライル。お、お帰りなさい。今日帰ってきたの?」


俺がいつ帰ってきたのか。気になるみたいだな。

喋らず軽く頷くと明らかにホッとした様子。

そのエリーの様子を見るとあんな大好きだった筈なのに俺の中で一気に冷めていくのを感じる。エリーの横を通り家の中に入ると直ぐに後ろから着いてくる。


「どうしたの?何か在ったの、様子が変よ?」

「何でもないよ。しいて言えばケビンがな」

「えっ、ケ、ケビンがなに?」

「何でもAランクに成ったそうだぞ。」

「へ、へぇーそうなんだ。先を越されちゃったね。でもライルも直ぐにAランクに成れるよ。」


ケビンの名前を出すと途端に慌て出す。

やはりエリーの事はどうでも良くなってきたので、さっさと別れ話を切り出す事にした。


「なぁ、婚約を解消しよう。」

「えっ、なんで?私何か悪い事した?」


こいつがその言葉を言うのか?ならこいつにとって昨日の事は悪い事にならないらしい。俺はこいつの何処を気に入って好きになったんだろ?今じゃあ全然分からない。


「ねぇ、何か言ってよ。言ってくれれば直すから!」

「いや、直さなくてもいいさ。」

「なら、なんでそんな事言うの?」

「君を幸せにするのは俺じゃなくてもいいと思っただけだ。」

「ひどい。私はライルと一緒に幸せになりたのに。」

「はぁー、Bランクの俺よりAランクのケビンの方がいいんじゃないのか?アイツなら俺より稼げるぞ。AランクとBランクじゃあ報酬額が違うしな。」


プルプル震え顔面蒼白なる。


「な、なんで。ケ、ケビンがで、出てくるの?」

「そんだけ動揺していたら、しらないふりしたって意味がないぞ。昨日家に帰ってきてみればな。」

「ち、違うの、ご、誤解よ。ケビンとは何もないわ。信じて。」

「兎に角俺はもう君に興味が無くなった。家に来たのも自分の荷物を取りに来ただけだがなんだかどうでもいい気分だ。部屋に有るのはそのままにして行くよ。売るなり捨てるなり好きにしてくれ。この家も君にあげるよ。」

「ま、待ってライル。ごめんなさい。反省してます。赦して下さい。こんな事二度としないから!ねぇ、君じゃなくて名前で呼んでお願い。」

「あぁ、そうだな。」


返事をして頷くとホッとするエリー。


「さようならエリー愛してたよ。」




後ろで泣き崩れるエリーをおいて、家を出てもう一度ギルドに行く。









一話より短めでしたがエリーで終わらせるのが切りが良いと思ったので此処までにしてみました。ケビンをどうすか考え中。気に入って貰えたら幸いです。感想なども宜しくお願いします。

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