散財3
今回はかなり短いです。ごめんなさい。
「ん~。」
服は着ておらず、眠たそうにもぞもぞ動く。
慌てて布団を被せる。
(キュウはどこ行った?なぜ隣で知らない娘が寝ているんだ?)
悩んでると少女は上半身を起こしてキョロキョロして眠たそうな目で俺を見つめる。
「えーと、君は誰だい?どうやってこの部屋に入ったんだい?」
「ん~と。キュウはキュウなの。最初から部屋に居たの。」
「えっ?キュウ?」
「そうなの。キュウなの!」
キュウと名乗った少女は明色の髪を肩程の長さで前髪から見える眼は紫。
確かにキュウの特徴が残っていた。
「キュウ?前と違うが今の姿はなんだ?」
「前は力が足りなくてあの姿で今の姿も仮なの。本当のキュウはもっと大きいの。大きくてナイスバディなの。」
本来の自分を思い浮かべたのか、胸を張る。
「そ、そうか。今の姿になったのは力が戻ったって事か?」
「うーん?少し力が戻ったけど、この姿を維持するのは難しいの。」
今の姿を保つのは難しいとキュウが言うと。ボン!と軽い音がなると同時に煙が上がりキュウの姿が元に戻る。
「キュ!?キュウ~。」
何処か悔しいそうな声を出す。
「あ~。力が足りなくて維持が出来なかったのか?」
「キュウ、キュウ。」
「そんな泣くなよ?少しずつ力を取り戻せばいいから。この後、キュウの事を心配してるエリック達を安心させるためにギルドに顔を出してくるから、今日大人しく休んでな。」
「キュ~。」
宿で休むように言ってギルドに向かった。
(前の姿に戻ってくれて助かった。あんな小さい子を連れてギルドに行ったら、ヘレンに何を言われるか分かったもんじゃない。)
ギルドに着くとエリック達とソルシャが近付いて来た。
皆、第一声がキュウの事を聞き心配してくれていた。
キュウは今、大事を取って宿に休ませている事を伝えると安心してくれた。
「ライルさん。キュウのお見舞い行ってもいいですか?」
「わ、私もい、行きたいです。だ、駄目ですか?」
「僕も、僕も行くよ。」 「私も行く。」
「私は止めとくよ。何かあったら言ってくれ。力になるから。」
ソルシャはそう言ってくれたのでお礼を言い、エリック達にはお見舞いに来てくれる様に頼む。
エリック達はお見舞いにキュウが喜ぶであろう食べ物を買って来て一緒に宿に戻る。
「エリック。部屋は二階の奥だ。先に行っててくれ。俺は宿の主人に宿泊の延長を言ってくるから。それまでキュウの相手をしてやってくれ。」
「はい、分かりました。先に行って待ってますね。」
エリック達と別れて宿の主人に延長を頼んでから二階にある部屋に戻ると、部屋の前でエリック達が固まっていた。
「エリックどうした?部屋の前で固まって?」
「ラ、ラ、ライルさん。この子は?」
エリックが言った「この子は」っと言う言葉に血の気が引く。
エリックを退けて部屋を覗くと裸のまま寝転がっている少女【キュウ】が居た。
ライラ、エマ、エミリーから冷たい眼差しで見られた。
(終わった。俺の人生が。)
膝から崩れ落ちて両手を地面に着けて項垂れる。
「ライル。お帰りなの。エリック達はいらっしゃいなの。」
「えっ?なんで俺の名前を知ってるの?」
キュウが名前を呼んだことに驚き俺を見てくる。
取り敢えずキュウにはシーツを巻いて貰っている。誤解を解きたい俺は必死に説明をした、合間にキュウ自身にも説明させると
エリック達は納得してくれた。
「キュウがこんな可愛い子になるなんて吃驚ですね。」
「えっ?イーサンもしかして?」
「やめろよ、エリック。違うから、本当に違うから。」
「うーん、なんか必死過ぎて、逆に怪しいかも?」
「い、言い過ぎだよ。ライラ。」
「ライラの言ってることは分かる。」
皆に言われて落ち込むイーサン。
「冗談はこれくらいにして、キュウちゃんがこんなに可愛いなんて。言ってくれれば良かったのに。」
「俺も今日の朝に知ったんだよ。キュウ、今の姿維持できるようになったのか?」
「まだ難しいの。今、維持できるように練習中なの。」
「そ、そうか。頼むから人前でその姿になってくれるなよ?」
「嫌なの。練習してライルと一緒に遊ぶの。」
「そっか~。ライルさんと一緒に遊びたいんだね。でも今の格好で遊ぶのは無理かな?」
「なんでなの?」
「人は服を着てるものだから。」
「そ、そうだよ、は、裸では、あ、遊ばないから。」
「そうなの?ライル。」
首を傾げて見上げてくるキュウにそうだと伝えておく。
「だからね。キュウちゃん私達と一緒に服を買いに行こう?で服を着たらライルさんと遊べるからね。」
「分かったの。買いに行くの!」
「という訳でライルさん一緒に行くよね?」
「俺も行かないと駄目か?」
「駄目に決まっている。」
「そ、そうですよ。」
「「あの~俺達は?」」
「「「帰っていいよ❗」」」
エリック達はホッとした様子で部屋を出ていく。その際に頑張って下さいと言われて顔を見ると憐れんだ目で見られていた。
ライラが自分達の宿に一旦戻りキュウが着れるような服を持って来て着替えさせると服屋巡りを付き合わせられる。エリックとイーサンが言いたかったのはこの事だと思い、道連れにすれば良かったと後悔した。
「なぁ、俺居ないと駄目か?」
「「「「ダメ!(なの)」」」」
4人?言われてたじろいでしまう。何だかんだでキュウも楽しんでいるようだ。
この後、キュウの服と下着等を買わされて結構お金が飛んでいく。このままでは次に旅に出れるのは何時になるのか。
軽くなった財布を見てため息が出る。
「はぁ~、本当に頑張ろ。」
短くて申し訳ありません。これからもよろしくお願いします。




