オーク退治2
街から出てオーク3体の目撃情報があった森に来ている。ここは街道から外れて中に入った場所だ。
「ここら辺ですね。何か見えるか?」
上を見上げ、木に登っているライラに聞くエリック。
「特に何も見えないよ。もう降りてもいい?」
「そうだな。一旦降りてきてくれ。イーサンは一応周りを警戒しててくれ。」
「分かった。」
木から降りてきたライラに労いの言葉を掛けてメンバーで痕跡が無いか探す。
俺はそれを後ろで見て、いつでもフォローに入れる位置で見守る。
痕跡は見付かるが、どれも日が経っている物ばかりで有用な情報が得られなかった。エリックがどうすればいいのかを考えてみるとイーサンが。
「どうすればいいですか?」
「そうだな。エマは感知魔法は出来ないのか?」
「私は攻撃しかできない。他は習って無いから。」
「そうか、なら俺が教えてやるよ。出来るようになればこの先も役に立つからな。」
「そ、そんな直ぐにで、出来るんですか?」
「身体強化よりも割りと簡単だぞ。」
俺が言うと皆で顔を合わせ苦笑いを浮かべている。感知魔法は自分の魔力を薄くイメージし、それを拡げる事で敵を感知する魔法だ。
「て言うことだ、エマ。やってみな。」
エマは目を閉じて、少し考えてから目を開ける。
「やってみる。」
「よーくイメージしろよ?エマなら出来るはずだ。」
エマの魔力はまだ薄いイメージが出来てなかったが、ある程度は形になっている。範囲は大体100メートルってとこだな。
「どうだ、分かるか?」
「うん、分かるよ。魔力が薄く出来なくて広範囲を感知する事が出来ない。」
「まぁ、そこは慣れだな。慣れたら広範囲を感知する事が出来るようになるさ。」
「ライルさんはどれくらいの範囲を感知できるの?」
どれくらいの範囲を索敵出来るのか気になって俺の裾を引っ張って聞いてくる。
「俺で大体700メートルだな。今回は俺がやるからエマはまた今度練習しとけよ?」
「うん、練習する。」
エリック達に周りを警戒してもらい感知魔法を使う。
感知魔法を使うと目撃情報よりも更に奥に入った場所でオークを感知する。
「此方だな。距離は大体500ってとこか。感知できた数は3体、目撃情報通りだな。」
「役割はどうしますか、ライルさん?」
「そう言うエリックはどう考えてる?お前達で相手出来るなら見守るが?」
「お、俺達だけですか?さ、流石に俺達だけってのは無理ですね。よくて1体が限界ですね。」
無茶な事は言わず、冷静に判断をする。
(まぁ、格上相手だから、其ぐらいが妥当だろ。)
エリックの判断に感心して役割を決めていく。
エリックが一体を相手をし、ライラが木の上で援護、エマとエミリーは後衛で援護し、イーサンはその二人を守る事で決まる。
俺は2体を受け持ち、フォロー出来るようにポーチで寝ているキュウを起こす。
キュウはポーチから顔だけを出して俺を見る。
「キュウ、俺もフォロー出来るように動くが何が起きるか分からないから、エリック達の事を頼んでいいか?」
「キュ?キュウ!」
手で胸を叩き、任せろと言わんばかりだ。
ポーチから出たキュウはエリック達の元へ行く。
「あれ、キュウ。どうした?」
「エリック、キュウにはお前達のフォローをお願いしたんだ。」
「えっ、いいんですか?キュウが居ないとライルさん一人になっちゃいますよ?」
「そ、そうだよ。危ないよ。」
「うん、危険だと思う。」
「そ、そうですよ。」
「俺達は大丈夫ですからキュウはライルさんが連れて行った方がいいですよ。なぁ、エリック。」
「あ、あぁ、ライルさん俺達の事は気にしないで下さいよ。」
俺が2体のオークを相手するのに、キュウが自分達の所に来て大丈夫なのか?と心配して言ってくれる。
「お前達こそ気にするな。オーク2体なら俺一人でやれるから気にするな。」
「で、でも。」
尚も食い下がろうとするので、エリック達が倒し終わってから手伝ってくれればいいと言って渋々納得させる。
納得させた所でオークを感知した場所に向かった。
「よし、ここで一旦止まるぞ。」
オークが視認できる距離で止まる、まだ俺達には気付かれてない様だ。
オーク達は手に棍棒の様な物を持って、辺りを見回しながら歩いている。
「いいか?エリック達は気付かれないようにここで待機しろ。俺はオークの背後に回るから、俺に向かってきたら後ろに居るオーク頼む。」
「わ、分かりました。よし、今のうちにライラは木の上に、エマとエミリーは俺が飛び出すから後衛だ。イーサン二人を頼むぞ?」
「うん、分かったよ。」
「は、はい。分かりました。」
「うん、分かった。」
「あぁ、分かった。」
他のメンバーに素早く指示を出すエリックに先走るなと伝えてオークの後方に回る。後方に回り終わって身体強化、風魔法でのスピードアップを掛けて一気に駆け寄るとオーク達が気付き向かってくる。
「プギャ!?ブギャー。」
「よし、いい感じだ。」
オーク達が俺に気を取られていると後ろに居たオークにライラの矢が飛んで行き、エリックが飛び出す。
「オラァー。」
「プギャ!?」
急にエリックが飛び出してきたので混乱するオークにエリックが袈裟斬りをする。俺はその隙を突いてオークの懐に飛び込み胸をひと突きするとオークは膝から崩れ落ち倒れる。もう一体のオークは後ろから振り下ろしてくるので、その場を離れて声を掛ける。
「エリック。大丈夫か?」
「は、はい大丈夫です。」
エリックの言う通り袈裟斬りされたオークは斬られた場所からかなり出血して動きが鈍い。動きが鈍ったオークの攻撃を盾でいなしていると、オークの右目に矢が突き刺さる。
「ブギャー!」
矢が刺さった場所を押さえて叫ぶオークにエマの風の矢が棍棒を持っている腕に当たる。風の矢で腕を軽く抉られ棍棒を落とすオーク。
(エリック達は大丈夫そうだな。何かあってもキュウがなんとかしてくれるだろう。)
もう一体のオークは俺に向かって棍棒を振り回しながら近付いてくるので、手を翳して風刃を放つ。
「風よ。」
放たれた風刃はオークの棍棒を持った腕を切り落とす。
「ブギャ、ブギャー!」
腕を落とされ叫ぶオークに近付き首を跳ねる。後ろを振り返り見るとエリックがオークの首を斬り裂いてオークが倒れているところだった。
「はぁ、はぁ、や、やったぞ。」
息を切らせて俺の方に駆け寄ろうとするエリック。
だが、オークはまだ死んでおらず、起き上がり棍棒をエリックに振り下ろそうとする。
「エリック!後ろだ!」
「エリックー!」
「きゃあーーー‼️」
「後ろ、エリック‼️」
イーサン達が叫び、振り返ったエリックが振り下ろされる棍棒を見て固まった。
急いで風刃をオークに放つが間に合いそうにない!
「キュウ!」
今年最後の投稿になります。来年は元日に投稿できる様にしようと思ってます。来年も宜しくお願いします。
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