閑話 エリーの気持ち。
今回はエリーの話になります。賛否両論別れると思いますが楽しんで頂ければ幸いです。
エリー視点
ライルが家を出てから二週間が過ぎ、こうなったのも自業自得と思って気持ちを落ち着かせている。
「ライル。」
ふとした瞬間にライルの事を思い出し涙が出てくると、ライルを裏切り傷付けてしまった自分が情けなくて死にたくなる。でも自分で死ぬ勇気もなく、こうして生きている。
「死にたいと思ってもお腹は空くのね。」
家には食べるのが無いので市場に買いに行く。
市場を歩いてると馴染みのおばさんに声を掛けられた。
「おや、エリーじゃないか!あんた大丈夫かい?」
おばさんに大丈夫なのか?と心配されて考えてしまう。私は心配される様な人間じゃ無いのに何故?おばさんは続けて話掛けてくる。
「あんたも大変だと思うけど、頑張りな。ライルが居なくても気持ちをしっかりとしな。」
ライルの名前が出て泣きそうになるが、堪えて頷く。
「なんでライルもエリーを置いて、命の保障が無い仕事を受けちまったんだろうね?」
おばさんの言葉の意味が解らなかった。
「えっ、ライルが?」
「なんだい?ライルはエリーに何も言わずに別れたのかい?その方がいいと思ったのかねぇ?」
今思えば、街の人は私を蔑む目で見てなかった、むしろ慈愛に満ちた目で見守ってくれてた気がする。
「そ、それは誰に聞いたの?」
「ライル本人だよ。ライルが仕事に出る為に色々と買い物をしていてね。その時にライルに聞いたんだよ。困ってる人が居るから仕事を受けたらしいんだけどね?かなり危険で命の保障は出来ないらしいよ?だからエリーには何も言わずに出て行ったんだろうね。」
嘘だ。確かにライルは困ってる人が居ると、その人を助ける為にクエストを受けていた。それは街の人もよく知っているから納得出来るかもしれないが、私はライルが出て行ってしまったのは間違いなく私がライルを裏切って傷付けたからに違いないのに。どうしてそんな嘘をついたのか解らない!?
「そ、それは街の皆知っているの?」
「あぁ、知ってるとも。ライルが別れた理由を聴かれて、そう答えていたからね。」
私はおばさんに挨拶をしてその場を離れる。頭の中では何故ライルがそんな事をするのか、考えていたが全然解らなかったがライルには幸せになってもらいたい、私は一生独り身で生きていこうと思って家に帰る途中で声を掛けられる。
「よぉ、エリー。会いたかったぜ。」
それはケビンの声だった。振り返るとケビンは笑顔で話し掛けてくる。
「ライルの奴は命の保障が無いクエストを受けて、エリーと別れたって聞いたがライルは居ないし本当だったんだな。」
ライルにバレたとは思ってないようだ。ライルの話を鵜呑みにしているのが物語っていた。
「何?何か用?」
「なんだよエリー、冷たいじゃないか?ライルとは別れたんだろ?俺と付き合わないか?俺はエリーの事が好きなんだ。」
ケビンは何を言ってるだろう?意味が解らない。ケビンと過ちを犯してしまって、ライルと別れる事になってしまったのに。ケビンだけが悪いわけじゃないのは、解っているけど。それでもケビンと付き合うのは嫌だった。
「私はライルと別れてしまったけど、ケビンと付き合う気は無いわ。」
自分で別れたと口に出すと、涙が溢れてしまうがケビンに涙を見せたくなくて我慢する。
「な、何言ってるんだ?エリー落ち着けよ。」
ケビンが焦って話し掛けてくる。その時、頭が靄に包まれたがライルの事を考えると靄が晴れていく。
「私は落ち着いてるわ、ケビン。もう私に構わないで。」
それだけを言ってケビンから離れる。後ろでケビンが何か言っていたが、よく聞こえなかった。私はライルが本当にそんなクエストを受けたのかギルドに居るディルさんに聴きに行くことにした。嘘だと思ってるけど、もし本当にそんなクエストを受けていたらライルは私のせいで死んでしまうかも知れないと考えると恐くて仕方なかった。
「あの~、すいません、ディルさんに会いたいのですが会えますか?」
「え~と、どちら様ですか?」
「私、エリーって言います。」
「エリーさんですね。分かりました。直ぐにギルマスの部屋に案内しますね。」
「えっ、いいんですか?急に来て会って貰えるんですか?」
「はい、ギルマスにエリーと名乗る女の人が来たら通すように言われてますから。では、此方にどうぞ。」
受付嬢のミアと名乗った女性に案内される。
コン、コン。
「なんだ?」
「ミアです。エリーさんがギルマスを訪ねて来られましたので、案内してきました。入っていいですか?」
「あぁ、入ってくれ。」
ディルさんが許可を出したので、入ると部屋の中にあるソファーに案内され座る。
「よく来たなエリー。暫く見ない内にいい女になったな。ミア、ここはいいから戻っていいぞ。後、お茶は持ってこなくていいぞ。」
「はい、分かりました。エリーさんお茶も出さないギルマスですがゆっくりどうぞ。」
「おい、ミア茶化すんじゃねぇよ!大事な話をするから聞かれたく無いから出せないだけだ。」
「分かってます。冗談です♪」
「お前な~。おっ、漸く笑ったな。」
ディルさんに言われ自分が笑っている事に気が付く。
「街の皆心配してたぞ。勿論俺も心配したんだぞ?ライルと別れてから笑わなくなったってな。」
「わ、わた、私はし、心配される様な人間じゃ無いんです!」
心配されて私は泣いてしまう。いくら腕で拭っても涙は止まってくれなかった。
私の状態を見てミアさんは部屋から出て行く。
「どうしたエリー?」
「わ、わた、私はラ、ライルをう、裏切ってしまったんです。」
「そうか。ライルから何も聞かなかったのか?アイツもエリーと顔を会わせずらかったんだな。」
「えっ、ヒック、な、何がですか?」
「俺はエリーとケビンの事をライルから聞いたんだよ。アイツがラグラを出る前日に会って一緒に酒を飲んだ時に師匠権限で無理矢理に聞いてな。こう言っていたよ。」
ディルさんがライルと話した話を聞かせてくれた。
「なぁ、ライル?」
「なんだ師匠?」
「エリーと何があって別れた?お前は小さい頃からエリーを大事にしてただろ?師匠の命令だ、話せ!」
「くっ!?わ、分かったよ。」
そこからライルは私とケビンの事を話したそうだ。
「それは本当か?あのエリーが信じられないんだが!?」
「あぁ、本当だ。だから別れた。」
「そうか、それでこの街を出るのか。」
「ただ俺が街を出ると、皆は何故俺と別れたのか?理由を聞くことだろう。」
「それはそうだろ?皆、おまえ達の仲を知ってるんだから。」
「この話が広まればエリーは暮らして行けなくなる。」
「おい、ライル。お前はそうさせる為に街を出るのか?」
この時ディルさんは怒る所だったと笑って言っている。
「そうじゃないよ、師匠。俺は旅に出るのに必要な物を買った時に馴染みの人に理由を話した。」
それは私が聞いた話の事だったそうだ。ディルさんも協力してくれたそうだ。
「お前、そこまでエリーの事を考えれるなら、やり直せるんじゃ無いのか?」
ディルさんが言ったその言葉を聞いて私は期待してしまった。
「それは無理だ。ただエリーは一度、心から愛した女性だから俺の事は気にせずに幸せになってもらいたいと思ってるよ。まぁ、最初はエリーを許せなかったが、時間を置いて考えたらエリーの事は許せる様になったよ。」
ライルが答えた「無理だ。」の言葉で何を期待してるんだと思い、その後の話を聞くとライルが私の事を許すと言ったと聞いて、また涙が溢れて止まらなくなった。
ごめんね。ライル。許してくれてありがとう。でも私に幸せになる権利なんて無いよ。私は一人で大丈夫だから。別れた今でも貴方の事を愛し続けるから。
私の事なんて気にしないで幸せになって!
いかがでしたでしょうか?私的にはエリーもケビンの被害者と思っているので、なんとかエリーも幸せになってもらいたいです。面白かったと思ったら評価とブックマークお願いします。




