新人研修3
翌日。
エマ、ライラ、エミリーを連れて修練場に来ている。
「え~と、今日はギルマスのソルシャがおまえ達の修行を手伝ってくれることになった。挨拶するように。」
「はい、僕はライラです。よろしくお願いします。」
「わ、私はエミリーです。よ、よろしくお願いします。」
「エマです。よろしくお願いします。」
「うむ。ギルマスのソルシャだ。今日はよろしく頼む。」
「ソルシャ。エマとエミリーを頼むよ。魔力制御を見てやってくれ。後で俺もそっちを見に行くから。」
「分かった。任せてくれ。」
エマとエミリーをソルシャに任せ、魔力制御の邪魔にならない様にライラと離れた所で勉強する。
「さて、昨日俺が言った事は覚えてるな?」
「うん、覚えてるよ。味方の位置を気にしろって事だよね♪」
「そうだ、ライラ。弓使いにはそれが一番大事だ。戦闘中に味方を誤って射ったら洒落にならないからな?他に何か気付いたことはあるか?」
「う~ん?なんだろう?」
「昨日の模擬戦でエマがやられた時ライラはその場で俺に矢を射とうとして俺に近付かれギブアップしただろ?」
「うん、ライルさんが速いもんだから射つのが間に合わなかったよ。」
「元々の速さは有るがライラの次の動作が遅いんだよ。そういう時は射ったら直ぐに動いて距離を確保しろ。近付かれたら終わりだと解ってるんだから。走りながら正確に射てればなお良い。」
「え~!走りながらだと正確に射てないよ~。」
「じゃあ、今からその練習な。強くなりたいんだろ?」
「う、うん。頑張ってみるよ!」
ライラには走りながらでも正確に射てるように練習の指示をしてエマとエミリーの方を見に行くと伝えてライラから離れる。
「ソルシャ。エマとエミリーはどうだ?」
「そうだな。今の所はちゃんと出来てるぞ。」
「そうか。」
エマとエミリーを見るとソルシャの言う通りちゃんと出来てるようだ。
二人に一旦、魔力制御を止めさせて話を聞いてみる。
「エマどうだ?ちゃんと自分の魔力制御出来てるか?」
「うん。難しいけど、なんとか。」
「エミリーはどうだ?」
「わ、私もなんとか。や、やれてると思います。」
「これからは寝る前に必ず魔力制御をやれよ。それで少しずつ魔力が増えていくから。後エマに聞きたいんだが?」
「何を聞きたいの?スリーサイズ?それとも彼氏がいるか聞きたいの?」
「えっ、ライル。そ、そうなのか?」
エマの冗談に反応するなよ。俺がそんな事を聞くとでも思ってるのか?
「違う。エマも揶揄うな!炎の矢は最大で何本出せる?模擬戦で見せたのが最大か?」
「そう、三本が限界。それ以上撃とうとすると発動しない。ライルは何本?」
「俺か?俺は20が限界だな。エマは詠唱を省略出来ないのか?」
「いや、ライル。詠唱を省略って簡単に言ってるけど、高等技術だぞ?
Eランクに成り立てのエマに出来ることじゃないぞ?」
そうなのか?俺が師匠に習った時は冒険者なら出来て当たり前と言われたのだが?その事をソルシャに言うと。
「んなわけあるか‼️冒険者なら出来て当たり前っておかしいだろ?ライル。その師匠の名前は?」
「ん?師匠の名前か?ディルって言うんだが。」
「ディルって大柄で赤い髪のディルか?」
師匠の名前を教えたら、ソルシャが怒りながら確認してくる。
「そうだが、それがどうした?」
「アイツか!」
「ソルシャ、師匠を知ってるのか?」
「知ってるぞ!アイツとは何回か組んでクエストをやったからな。その度に滅茶苦茶にらされたぞ。思い出しただけでも腹が立つ。」
「そ、そうか。ソルシャと組んでたなら、師匠もAランクか?」
「そうだ。ディルは私と同じAランクだった。奴は怒ると顔を真っ赤にしてたから、私達は影で赤鬼のディルって呼んでやっていたよ。確か奴は引退してどこかでギルマスをやっていると聞いたが?」
「そうだな。今はラグラでギルマスをやってるよ。にしても師匠がAランクとはな。初めて聞いたよ。自分の事はあまり言わない人だったからな。しっかし、赤鬼のディルって!はっははは。は、腹が痛てー。確かに、どう見ても赤鬼だな。」
師匠の二つ名が可笑しくて笑いが止まらない。俺が笑っているとライラも練習を止めて、こちらに来て俺を見ている事に気付くと急に恥ずかしくなってきた。
「あ~。なんだ、急に笑いだして悪かったな。」
取り敢えず謝って皆を見ると、ぼっーと俺を見て動かない。
「おい。どうした?」
訊ねると全員、ビクッと動き慌てたライラが。
「な、何でもないよ?ね?」
「は、はい。な、何でもないです。」
「う、うん。何でもない。」
「そ、そうだな。うん、何でもないないぞ!」
全員が何でもないと言ってるが本当か?何か誤魔化してる気がしているとエリックとイーサンが帰ってくる。
「ライルさんクエストやって来ましたよ。滅茶苦茶疲れましたよ。なぁ、イーサン。」
「あぁ、かなり疲れた。この後に模擬戦と思うと嫌になりますよ。」
「まぁ、そう言うなよ。おまえ達二人は前衛なんだから、体をもう少し鍛えろ。魔力で身体強化しても地力が低いと効果が低いからな。」
「えっ。俺とイーサン、身体強化出来ないですよ?」
「何?出来ないのか?冒険者にとって身体強化は基本だぞ?」
「ほ、本当ですか?ギルマス。」
何故ソルシャに聞く。師匠は身体強化位やれないで冒険者に成れるかといつも言っていた。全く最近の新人は常識を知らないらしい。
「普通のEランク冒険者は使えないからな。ライル、お前の常識と私達の常識は違うからな?」
「っ!?いや、師匠は普通だと言っていたぞ?」
「お前の師匠はおかしいぞ!」
師匠がおかしい?何て事だ、午後からは模擬戦をやって鍛えようとしたのに身体強化も出来ないなんて。これは身体強化を先に教えた方が良さそうだな。
「よし分かった。午後からの模擬戦は止めて全員で身体強化を覚えるぞ!」
全員に身体強化を覚えさせるのに残りの5日を使ってしまい、他の事を教えることが出来ずに新人研修が終わってしまった。
終わりの日は何故か全員泣いて喜んでいた。
全員、身体強化が使えるようになったのが嬉しかったんだな。
第9話で瞑想と使っていましたが、瞑想から魔力制御に替えました。
誤字脱字が多くて申し訳ありません。こんな作者ですが、これからも読んでもらえると嬉しいです。面白いと思ったら評価とブックマークお願いします。




