第1話
ネットが主となる話を書くのは初めてなのでおかしなところ等あると思いますが、読んでいただけたら幸いです。
『じゃあ、また明日ね』
携帯の画面に写る1行の文。
『うん、おやすみ』
送信してすぐに、私は携帯の電源を切り、放り投げた。
私の名前は榊凛桜。華の高校1年生だ。容姿、平凡。学力、平凡。全てにおいて普通の学生である。
私は寝間着姿で背中からベットに倒れこみ、うつ伏せになりながら傍らにある目覚まし時計を手に取った。
━━━━━━23時47分。やば、もうこんな時間なのか。母が来る前に寝なきゃ。
私は目覚まし時計をセットして小さな棚の上に置き、静かに眠りについた。
〈ジリリリリリリ〉
目覚まし時計が音をたてる。
「んん~...」
寝っ転がったまま時計を手に取る。
6時30分か。もう起きなきゃな。
ベットから降り、学校の制服に着替えて部屋を出た。
「あら、おはよう」
エプロン姿の母がキッチンでお玉を持ちながら私の方を見た。
「ご飯できてるわよ」
私は母が立っているオープンキッチンの向かいのテーブルにめを向け、白ご飯と味噌汁が置いてある席に無言でついた。
母が私の向かいに座り、テーブルに肘をつき、長い指を交差させ話しかけてきた。
「最近学校、どう?楽しい?」
「...普通」
素っ気なくそう一言告げると、食べ終わって空になった食器を持って席を立つ。
「...そう」
「ごちそうさま」
母に背を向けて食器を流し台まで運んだ。
母がどんな顔をしているかなんて、わからなかった。
学校に向かう途中、歩きながら1人で考え事をしていた。
(今日も、また退屈な1日が始まるな)
勉強はついていくのに必死であまり余裕はない。友達なんていないしむしろ私はのけ者だ。学校が楽しいなんて考えたこともない。
それでも、私はここでやって行かなければならない。
私は持っていた鞄の中にある携帯をチラっと見た。
ネットがなければ、私の足は完全に止まっていただろう。
(あの人がいなきゃ、絶対に今のような生活していない)
頭に浮かんだのはネットで仲良くなった、いわばネッ友と呼ばれる人の1人。
あの人に会えたことで、世界が一変したと言っても過言ではないだろう。 退屈なモノクロの世界に「色」という概念を持って来てくれたのは紛れもなく、あの人なのだ。
ネット上での名前で「ペトラ」、私を変えた人だ。
顔を上げると、そこは高校の下駄箱だった。
(考え込みすぎちゃったみたいだな)
いつの間に正門をこえたのか覚えてない。また、悪い癖が出ていたようだ。
私は乱暴にローファーをしまうと、シューズに履き替え教室に向かった。
教室には、いつものメンバー4、5人がいつもと同じようにたむろってて、私が入った瞬間笑い声がひそひそ話に変わる。
「あいついつも1人だよね」
「友達いないんじゃない?」
小さく笑いが起きる。
私はあいつらに聞こえない大きさで舌打ちした。
ほんと、ひそひそ話するんだったらもっと声小さくしてよね。というか私は1人が好きなだけなの。友達なんていらない。私にはネットがあるから。
そいつらを素通りして自分の席につく。
窓側の1番後ろの席は私にはとても心地良い席。日当たり良好であったかい。
でも私が特に気に入ってるのは窓から広がる学校の中庭。この席だと、中庭の様子がよくわかる。たくさんの木々と小さな池に、花壇。花壇にはピンクと白のコスモスが咲いている。
この席から中庭を見るのが好きで、私の1番好きな時間。
(また、写真撮ってSNSに上げておこうかな)
私は、静かに微笑んだ。
『学校のコスモスが綺麗に咲いてます♪』
《返信が来ました》
『綺麗だねぇ〜うちの学校にも綺麗な花が欲しいよ全く...』
『そっちにはないの?』
《返信が来ました》
『男子校なんざ花壇荒らされて終わりよ...やれやれだぜ』
『それならペトラが育ててみたらいいんじゃない?w』
《返信が来ました》
『確かに!今度センコーに頼んでみよっと』
『本当に育てるんだw』
《返信が来ました》
『あたりめぇだろ!育ったら写真送ってやるから待ってろよ!』
『うん、楽しみに待ってるね!』
自分は、みなさんに恋の形は1つではないことを知っていただきたくこの話を書かせていただいています。
文字から受け取れる優しさ、文字だけでのやり取りの不安、焦りなどが感じ取れるように頑張っていきます。