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妄想彼氏を連れ帰る

企画展の会場の先には、ミュージアムショップがあった。


私はつい、ポストカードのコーナーに向かう。

彼を連れて帰りたかったのだ。


しかし、彼の姿はない。

かなりの大物であったはずだが、ポストカードになっていないのだろうか。


ポストカー、ド以外の商品も眺めたが、やはり彼はいない。


私は仕方なく一度ミュージアムショップを後にした。

常設展や美術館の内部も気になっていたのだ。

しかし、どの作品を見ても、彼のことが妙に頭にこびりついていた。


結局、私は再びミュージアムショップを覗いた。

もう一度ポストカードを一つ一つ見ていく。




そこに、彼がいた。




私は狂喜した。すぐに手を伸ばしかけたが、あたりを見てやめた。

周りの人混みが私の心の内を知っていて、聖人である彼に対して私が妙な感情を抱いていることを大声で弾劾しようとしているように思えた。


私は一度ポストカードコーナーを離れ、なんとなく文房具コーナーやお菓子コーナーを回った。

しかし、頭の中では必死に「彼をどうやって連れて帰るか」を考えていた。


なんども行ったり来たりした結果、私は他の有名な作品のポストカード2枚に紛れ込ませて、購入すrことに成功した。500円もかからなかった。






私は喜々として美術館を後にした。私は腹ごしらえをするために、近くにあるカフェに向かいながら、彼を私の「妄想彼氏」にすることにした。


先日みた恋愛関連の記事に「妄想彼氏を作ることで、自分の意識が改善され、生活なども変わり、本当に彼氏ができる」「しかも妄想だから迷惑も掛からない」というものがあったのを思い出した。

そもそも人を好きになれないので、妄想でもどんな彼氏にすればいいかわからなかったし、具体的な想像もわかなかったので、その時は何もしなかったが……。


彼は適任だ。

忙しさに追われて充実しつつも物足りない生活が変わればいい。


絵の中の人間に恋い焦がれるのは不安だが、あくまで妄想だ。自分のための。



こうして私は、「洗礼者ヨハネ」を、私の彼氏にした。







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