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界外の契約者(コール)  作者: 瀬木御ゆうや
邪神の躍動
71/88

Please@屋上なう

どうも瀬木御 ゆうやです。

最近ゲームやりすぎてて本当に執筆が遅れています。

ダークソウルIIIと艦これの二刀流でちょっと何言ってるかわからないプレイしてます。


仕事も結構入ってたりしてて、残業中に一行書くような生活でした。

ちょっとバラバラとした文ですが、次は頑張りますので応援の方宜しくお願いします。

平日の昼休み。

学校の屋上ではいつものようにお弁当を食べる生徒の姿があった。

仲良く話しながらお弁当を食べて雑談する姿は微笑ましくも青春の1ページにでも載っていそうなものだが、違和感が存在していた。


一部の者の制服が違う点だった。そして私服の生徒が2人居たことだ。


「そこで俺はこのウィンナーに切れ目を入れてタコさん風に焼いてサッと冷やした後に、切れた割れ目にプチトマトを置きつつ裂けたウィンナーの切れ端に海苔と薄焼き卵を敷いてみたのさ。意味不明な作だが、充実感はあるぞ」


「スッゲー!流石ダンナだ!」

「ちょっと、あたいの作った弁当も褒めてよ!」

「キャラ弁好きなおれ的にはこんな解説が毎度聞ける方が俺は嬉しいけどね」

「うぜえ……」


学校指定のカーディガンを羽織りながらお弁当を片手に自慢げに話す者。それを聞きながら目をきらめかせる私服の男女。


「そんで朝登校するときに妹に弁当渡されそうになったんだ」

「『なったんだ』じゃないわよ。なんで学校に持ってくんのよ」

「うっわ、なんで動いてるのこれきめぇ。これって錬金術の類なんじゃないの?」


弁当を膝に置いて広げつつも、蠢くそれに顔色を悪くし箸を持つ手を震わす世界に1人だけの神格者。

そしてお弁当を相手に警戒しつつ、彼から離れる小柄な天才界外術師の少女とそれより少し背の大きいクトゥルフ神話の主神と呼ばれる者。


「やっぱり可愛い……」

「ふもももも!!ンーンマイ!!お弁当の王道であるシャケ弁当を持ってくるぅとは、やっぱりアイドルって凄いですぅ!」

「アイドルとお弁当の二つに接点があるとは思えないけど、うん!やっぱりこっくりさんって可愛いね!」

「もぐもぐもぐ……もっとくらはい!」

「うん、はいアーン」


仲睦まじくお弁当箱のおかずを箸にとり、着物の獣耳少女に食べさせている大人しそうな印象の現役アイドルの美少女。


埼玉県にある波野高校の屋上で行われるお昼休み。

全員が『界外術師』という神を呼び出す者たちであり、この集まりはその関係で出来ていた。


その中でも新しい顔として私服の男女がいる。

(わたり)新一と浅倉(あさくら)京香(きょうか)

『魔法師』の件で議員の大鷲氏に警護として雇われた殺しを専門としていた界外術師達だ。

しかし、彼らはあの事件の後自分たちの事情や詳細を知った霧島(きりしま)の説教とヨグの調教によって、裏稼業からは手を引いていた。


高校も中退していたこともあったので、当分の間は界外術を使ったエセ霊媒師で稼いでいくらしい。


と、妹からのお弁当を生死の境をさまよいながら平らげ、屋上の冷たいコンクリートの床で寝っ転がるこの物語の主人公である神宮寺が走馬灯で語った。


「昼飯の醍醐味って言えば雑談だな」


唐突に語り出すクトゥルフ神話の神であるヨグに、離れた場所でお弁当を見せていた霧島が「そーだな」と相槌を打つ。


「昼食や昼休みって誰かといる時が一番楽しいから。本当に毎日面白く感じるよ」


「……まぁ、この中で一番年上なのがあんたってのも不思議な感じだけどね」


「そーいやみんなは二年生だったっけ? 大変だねー」


「受験がある三年が言うセリフかよ」


「失礼なようだけど、こー見えて俺はちゃんと勉強してるからな」



赤茶髪の霧島がそう言いながら自分の弁当をゆっくり食べ始める。自分の界外術師のそんな姿にヨグはやれやれといった風に手を振ると空を仰ぎ見る。


そこからは静かな時間だった。天才界外術師とヨグの短い程度の雑談をし、動物霊の神と有名アイドルが屋上で仲良く戯れていた。


またいつも通りに過ぎようとしていた。


突然屋上に続くドアが開かなければ。



「……おーい、神宮寺いるんだろ?」



急な来訪者に、その場にいた全員は慌てた。

この波野高校では、一部関係者以外は屋上には上がってはいけない決まりがあった。しかし、彼らは他の人が来ない場所で界外術やその他の話がしたい為に、誰にも内緒でこの屋上に集まっていた。

一番慌てたのは校外からの部外者である霧島達だ。まだ他校の生徒がいるのならなんとか話が出来そうだが、渡と浅倉は高校在学してないので警察を呼ばれてしまう可能性があった。

一同が緊張しながら屋上に出てきたその人物を凝視する。


それは、結構なガタイと顔は強面、運動をしているのか髪はスポーツ刈りでキッチリとしている男子生徒だった。

先生ではないことに少し安堵しながら、その男子生徒に名前を呼ばれた神宮寺は前に出て尋ねる。



「………………誰?」


「おーし、用件を言う前にまずはそのムカつく面をぶちのめしてやるよ。覚悟しろよ」


「…………いや、マジで誰?」


「…………もう喋んな」


そう言うと男子生徒は前のめりになったと思いきや、そのまま凄い速さで神宮寺の前に突進してきた。


神宮寺が「おろ?」と言うのと同時に男子生徒が右腕を神宮寺の顔面に伸ばす。しかし神宮寺はそれを首を振って避けると男子生徒の肩に両手で押して距離をとった。


「思い出した! 確か毎日因縁つけてきてた君だ!」


「思い出してんのは容姿かよ!! 名前ぐらい知ってんだろ!」


「知らねぇよ!雑魚には興味ないから!」


「……ッ!! (かこ)だよ!隣のクラスの番長の(かこ)礼二(れいじ)。【フラッグ】のメンバーの!」


「あーーー、うん思い出した。で、お前が何の用でここに来たってんだよ」


「話がある」


そう言って圍は神宮寺に写真を突き付けた。


「この女を知ってるか?」


そこに写っていたのは長い髪を後ろで縛っている女の後ろ姿だった。

神宮寺はその時、連日起こる子供界外術騒ぎを思い出した。何も知らない子供に界外術を教えている人物がいる。その女が髪を後ろでまとめた綺麗な女性だったという証言。


圍が持っている写真には顔が写っていないが、写っている女性と連日の騒ぎの黒幕。

関連がないとは思えない。


「……その写真の前に質問だけど、なんで俺に聞くんだ?」


「界外術師」


界外術師。その単語は普通に生活するなら知るはずもない言葉だが、屋上に現れたただの不良で腕っ節が良い高校生が知っていることにアリアは不審に思うも(かこ)はその単語の続きを喋り出す。


「神宮寺、テメェがその界外術師ってのは俺はもう知ってるから省くぞ。この女、俺たちのグループを利用して子供を巻き込むこいつを、何とかしてくれないか?」





【フラッグ】


あるカリスマ性のある人物がここ数年で関東全域の不良グループを一つにまとめ上げ結成したグループ。3千ものメンバーが所属しており、さらに東京の全区内に彼らを統制する幹部が1人ずつ存在させるほどの巨大なグループだった。

しかし、その威厳があったのはもう一ヶ月前の事だった。

23区の内22区で、カリスマ性のあるグループのボスを除く幹部達が全員何者かの手によって倒され、全員病院送りにされた。これもグループ衰退の原因の一つだろうが、さらに幹部達の取り巻き達も同様に病院に送らされたことにより他のメンバー達にも恐怖を抱かせた。


半数近いメンバーが病院のベッドにいる時には、既に千名以上の不良達が【フラッグ】を抜けていた。

この事態に、当初【フラッグ】のボスは動じなかったが、初めの襲撃から一週間後、重症の怪我を負っていた幹部達が嘘のように完治し退院した直後に焦りを感じた。

幹部達、22名全員が【フラッグ】から抜けると宣言したのだ。

何名か抜けると予想をしていたボスも、これには驚いた。

何度も使いの手下を送って説得を試みるも、全員が襲撃したナニかに怯え、戻ってくることはなかった。


そこからは早かった。

抜けた幹部達の手下全員抜け出し、それを見てた事件に無関係だったメンバーも続々と抜け出していった。

残ったメンバーはたったの200名あまり、もはや栄華を誇っていた関東一の不良グループの姿はそこにはなかった。

あるのは、彼らが経営し溜まり場としていたBARでヤケ酒をあおるメンバーのみだった。


「……って、お前らそーなってんのね。なんか可哀想だな」


(かこ)が現在の【フラッグ】の惨状を屋上にいた全員に説明すると、その惨状を招いた張本人である霧島は何の気もなく言う。

それを知っていた神宮寺とアリア(あとコックリさん)は「お前が原因だろうが」と心の中でツッコむ。


「言いたくねーけど、この学校で【フラッグ】のメンバーはマジで俺一人だけなんだ。他の連中もみんなやめちまってよ……」


自分で言ったことに少し落ち込む圍であったが、そんな彼に対してヨグが気兼ねなく近づき肩に腕を回すと、ポンポンと彼の肩を優しく叩く。


「おーおー、確かに辛そうじゃん。楽しく集まっていた囲いが無くなって落ち込むのはどこの神話でも一緒みたいだし、あんたの気持ちは少しだけわかるよ〜」


圍は急に肩に腕を回してきたヨグを不審に思い振りほどこうとしたが、その前にヨグがグイッと顔を近づける。


「で? そんな可哀想な人間のお前が、どうして界外術師を知ってんのかな? もしかして、変な奴らになんか言われてここに来たの? さっさと早く言えよ」


「……あ、えと……」


さっきまでのお気楽な口調が嘘のように変わり、凄みと声色を落として圍に言い寄る。

この不良グループの崩壊の原因を作ったのはヨグと霧島の二人だ。しかし、原因の発端は自分達として、二人の行動を利用し、さらに界外術の生贄にまでしようと考えていた集団がいる。


「ねぇ、《約束された盤上》ってしってるよな?」


「……知っている」


やっぱりとヨグが言うのと同時に圍は組まれていたヨグの腕を解き、他の全員から少しだけ距離をとった。


「……お前達のことも、そこにいる部外者も、界外のことも……。全部この写真に写っている『朱雀』って女から聞かされた」


「じゃあ何でここに来たんだ? 女……

その『朱雀』を探して欲しいってのは嘘だったのか?」


神宮寺が尋ねると首を横に振る圍。よく分からずにいた全員だったが彼は急に頭を下げた。


「何とかしてくれ!!みんな知らなかったんだよマジであいつらがイカれてんのに!!本当に頼む!!」


腹の底から叫ぶように懇願する強面でガタイがしっかりした男を前に、ヨグと霧島以外はただただ驚いていた。








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