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界外の契約者(コール)  作者: 瀬木御ゆうや
輝きの裏にある綻び
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デルモンド・キルギスという人間

デルモンド・キルギス。


みなさんは平和の裏の犠牲って考えたことありますか。戦地や紛争の写真を見ても私には実感がないですが、非現実な殺生が日本の裏側で起きているって思うと身震いします。ゾッとします



でも、それは非現実的なちからや考えで解決できる。


いろんな小説を読んでいても最終的な結論がそうなっているなと感じるのはそこです。でも、そんな力があっても誰かが死ぬって考えると、その異能ってなんだろうって疑問に思ってしまいます。


私は『とある魔術の禁書目録』【著者】鎌池和馬 電撃文庫 の作品を読むたびにその疑問を持ちます。


【魔神】という存在が創る誰もが傷つかない平和な世界は、一人の犠牲で成り立ってしまう。


そう考えると、本当に傷つかない世界ってなんだろうって思います。


今回はそこまでではないにしても、その考えを感じていただければと思って書かせていただきました。

それは12年前のことだ。


この世界には未だ不可解な謎が蔓延っている。それこそネットで飛び交い議論されるように、陰謀論や宇宙人説など。


しかし、答えはどんなに漁っても出てこない。どんな有名な著者の本を読んでも、どんな歴史ある文を読んでも、どんな公明な科学者に聞いていてもだ。


表が明るければ裏も黒い。


そして、暗闇の中の奥にあるもの。



それこそ世界の闇に隠れて見えない深淵。




そう考えたデルモンドは、【魔法師】や【界外術師】などといった世界の裏側の他に、違う裏の世界があるのではないのかと結論を出し、僅か19歳で【魔法師】となった彼は本国のイギリスから出て世界を旅した。


それから10年。


彼は自らの【魔法師】という称号の価値が無価値であることを悟り、同時に世界の裏や表に対する憎悪を燃やした。



世界を知った。



世界の謎の僅か3割の答えを知って12年間で考えは変わっており、彼は表舞台に立つ人間に悪意を向けていた。



【世界経済は今日も活気付いており……】


【老後の心配も大丈夫! 保険に加入すれば◯◯万円もお得】


【最近の平和活動につきましては……】




どうして、お前たちは輝いているんだ。



【貧困で苦しんでいます。どうかこの子達に十分なご飯を恵んでください】


【学校にもいけません】


【犯罪は増加の一方……】



どうして、世界は暗いんだ。



【ねぇデルモンドさん。どうしてあたしの身体は動かないの?】


【親が紛争に巻き込まれて死んだんだ……】


【デルモンドさん。あたしって生まれてきた意味ってなんなのかな?】


【デルモンドさん。魔法って本当にあったらいいね。そしたら世界中を笑顔に出来るんだから…………】



どうして、この子達はボクと同じ【魔法師】としての才能があるのに、こんな悲劇的で救われなかった人生を送ってしまったんだ。




【すまない…………すまない…………ボクは……ボクは魔法使いなのに、子供一人のために奇跡のひとつすら叶えられない…………。本当にすまない…………】



結論を出して2年。

30を越えて、準備を進めたデルモンドは動く。


大鷲誠治という男を通した裏を知るために、表で輝くあの憎い少女を殺すために。




デルモンド・キルギスは、白いシルクハットと黄色のスーツを着こなし、【魔法師】としての実力と自分が育てた『弟子』達を連れ、表と裏のどちらの世界も引っ掻き回そうと画策していた。





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