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界外の契約者(コール)  作者: 瀬木御ゆうや
輝きの裏にある綻び
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現状(こちら目線

会場内が爆発した頃、『メビウスの輪』は 大鷲を連れて非常階段を使い会場のあった7階から一つ下の6階に降りていた。


そこは本来会場のセッティングの為の準備室に使われていたようで、そのフロアのもの置き場になっている一室に入る。


荒い息を吐きながら、大鷲は冷静な顔で『メビウスの輪』に尋ねる。


「あれが私を狙っている輩かね?」


「えぇ、おそらくは」


「あんな輩は知らない。恨まれる理由も」


「僕は知っていますよ」



その一言に、大鷲の顔は引きつった。


「な、何を言っているんだね?」


「いえ、僕は彼らがあなたを襲う理由を憶測ながらも知っているんですよ」



そう言って、『メビウスの輪』はポケットからある紙切れを取り出す。

広げると、何やら赤い鳥のシルエットが描かれていた。

すると、それまで冷静な表情をしていた大鷲の顔が、まるで嫌なものを見るかのように青ざめていた。



「そ、そいつは……」


声が震えていた。

恐れているように。


しかし、そんな状態の大鷲に対して『メビウスの輪』は質問を続ける。



「1年前の『バス爆破』事件。当時担当していたあなたならそれがどんなものか知っているはずです。僕はもう黒幕も知っている。だから、あの時どんな取引があったのか教えてください」



意を決したように『メビウスの輪』は大鷲の顔を見て言うと、その真剣さに負けたのか大鷲も重々しく口を開ける。




「それはな………」













爆破が起きた会場。

そんな爆炎の中から、二人の男を抱えながら出てくる影があった。


ヨグ=ソトース。


彼女は焦りながら、燃えてボロボロになったドレス姿のままぐちぐちと叫んでいた。



「ックソ!! あの気持ち悪いファッション野郎!! あんなもんが雑誌に出た瞬間こそ世界の終わりよ!!」



ヨグはあの爆破が起きる瞬間、霧島と刺された司会者の周りの空間を手元まで持ってきたのだ。

そのおかげで、どちらも気絶しているものの息はしている。


そう、刺された司会者も。


「ったく、まさか司会者もあいつの仲間だったとか。どーりでマジシャンがどーたら言っていたわけか」


そう言って司会の上着を脱がす。



その腹には鉄の細いレールのようなものがついていた。その中も空洞となっている。



つまりはこういうことだ。


元々手下のこの男を司会として混ぜておき、わざわざ襲撃されるように見せかけていた。


刺される際にこの腹に巻いたレールを伝い、まるで本当に刺さっているように見せたのだ。


そして、さっきのような混乱も計算の内で招いたのだ。



死んだふりをしながら倒れて。しばらくしたら回収される予定だったのだろうが。




「あいつ、こんな死体役には本当に死んでもいいと思ってんのな。霧島が嫌いそうなヤツかもね」


言いつつ、ヨグは霧島の胸ポケットを漁るとそこからスマホを出して電話をかける。


掛けたのは神宮寺だ。


2〜3回の発信音のあとに電話がつながる。


「あー神宮寺? 今どこにいるの?」


『あれ!? 霧島はどうした』


「絶賛気絶中。ところでそっちは何してんの?」



『いやな、さっきの襲撃時に急いで東條とマネージャー連れて逃げてるんだが。今は3階にいる』



「そ、ならさっさとこのビルから離れて…」



『ところがどっこい、とんがり帽子をかぶった女の子と戦闘中なんだなこれが!』




それを聞いたヨグは「もうめんどくさいな」と一言呟くと、電話を切って霧島を抱えてると会場を出る。

司会者の男はとりあえず会場の外に放置して。





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