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office complex

作者: 低反発


 その日オフィス街を歩く人々は華やかでありました。カラフルな伝統衣装を纏い化粧をして、無機的なオフィス街に浮き上がるように歩いていたのであります。もっとも、それらのカラフルな衣装は決して伝統を、日本という流れを感じさせるものではなく、ただ世俗化した陽気な華やかさではありました。描かれる文様に秩序は認められず、公園の砂場でプラスチックの玩具を取り合う幼稚園児のように文様と色彩とがくだらない喧嘩をしていました。自然とこのような衣装を纏った人々にも秩序は見られませんでした。


 そんな無秩序的な群れの中に、一点、山路に咲く一人静ひとりしずかのように凛とした、秩序ある色彩がありました。遠目ではありましたが、柳染色の二尺袖に留紺色の袴を纏った黒髪の女性でありました。


 無秩序の中にこそ秩序が際立つのでしょうか。この一点に出会えただけでも、今日に意味があったと言えましょう。


 鮮やかな色彩をすっかり吸い尽くしたオフィス街は、再び微睡まどろみながらじっじっと機械的に動き始めました。



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