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親愛なるトラへ

作者: 伊吹 由

挿絵(By みてみん)


親愛なるトラへ。


君は覚えていないだろうけど……


子猫の時、車がたくさん行き交う道路で君は拾われたんだ。


あのまま放っておいたら、車にひかれて死んでいたかもしれない。


何かの縁で君と家族になれた事を、すごく幸せに思うよ。


挿絵(By みてみん)


しかし君は、ホントよく寝ていた。


挿絵(By みてみん)


どんな体勢でも寝られるのが特技だったね。


挿絵(By みてみん)


我が家のアイドルだったよ。


挿絵(By みてみん)


ペルシア猫と雑種のハーフじゃないかな? 


お目々がクリクリっとして、おとなしくてかわいらしい。


挿絵(By みてみん)


まぁ、オスだけどね。笑


挿絵(By みてみん)


うちの母親は、見るたんびに「可愛い、可愛い」といって抱っこしてた。


挿絵(By みてみん)


猫って、時々「あっかんべー」ってやるけど、君もよくやってたよね。


挿絵(By みてみん)


トラ。君の趣味は「食べること」と「寝ること」。


挿絵(By みてみん)


普段はおとなしくて、他の猫にいじめられる事もしばしば。でもエサの時だけは、他の猫をおしのける根性は見事だったな。


挿絵(By みてみん)


あはは。この寝姿は、家族一同大爆笑さ。ホント、どんな場所でもどんなカッコでも、君はよく寝ていたよ。


挿絵(By みてみん)


試しに、ベッドの上にいて布団かけても人間みたいに寝てたぞ。


挿絵(By みてみん)


こっちはタオルケットかけて、爆睡中の君だ。


挿絵(By みてみん)


な? 人間みたいだろ? 笑


挿絵(By みてみん)


枕重ねても、バランスよく寝てたし。


挿絵(By みてみん)


ホントに、寝てるだけでこんなに癒してくれる猫は、君だけだぞ。


ある日、仕事から帰ってきた時、どこにもいなくてさ。


挿絵(By みてみん)


まさか、こんなところで寝てるとは。どうやって、ここに入ったんだ? 笑


挿絵(By みてみん)


眉間や額をこすられると、気持ちよがったよな。しっぽをぎゅっとすると「にゃっ!」って反応するのも面白かった。君は嫌がっていたけどね。


挿絵(By みてみん)


他の猫なら、「ぶっさいく~」と言われるけど、トラだけはこんな寝姿も「可愛い」って言われてたね。


普通、猫って何かあったらすぐ起きそうだけど……


挿絵(By みてみん)


コードが絡まろうが、細い隙間に挟まろうが、君は寝続けていたね。


挿絵(By みてみん)


「邪魔やねん!」と、他の猫なら言うんだけど、トラだけは……


挿絵(By みてみん)


ベッドのシーツを換えて、しばらくしたらベッドで爆睡ですか。後ろに映っているのは、ルームメイトのM蔵。


挿絵(By みてみん)


食卓だろうが、仕事道具のある所だろうが


挿絵(By みてみん)


君の寝姿がそこにあると、なかなか起こしづらいんだよね。まぁ、起こすけどさ。その後、すぐ別の場所であっという間に寝ていたな。


挿絵(By みてみん)


とにかくうちにいた猫の中で、君は1番の可愛い猫だった(オスだけど)。


挿絵(By みてみん)


名前 トラ

性別 オス

種別 雑種(たぶん、ペルシア猫と雑種のハーフ)


2012年 12月15日(土) 没

享年 18 (人年齢だと88歳ぐらい)



2011年の10月頃、体調を崩して死にかけたトラ。あの時ダメかと思ったけど、奇跡的に持ち直したね。


今年2012年の夏にも、体調を崩したトラ。あの時も、いつもがっつくエサに一切口をつけず、ミルクを飲ませたりなんとか看病した結果、これまた持ち直して復活してくれたっけ。うちの母親が「安楽死」をリアルに考えたほどの状態から、本当に奇跡的に持ち直してくれたよ。


ただ、医者からはガンという診断を受け、年齢的な事もあって、年を越せるかなという状況ではあった。


亡くなる2日前までは、量は少ないけどエサを一生懸命食べていた。


仕事から帰ると、必ず玄関にいてさ。僕が帰ってくると「エサくれ~」と小さな声でないていたね。普段は全くなかないのにね。


2年ほど前から三半規管がやられていて、歩くときはヨタヨタ状態だったけど、それでも我が家のアイドルである事にかわりはなし。


ソファに登れなくて、落ちることもあったかと思えば、いきなり高い所に登って驚かせたり。


4年ぐらい前かな。3日ほど行方不明になった時、もう会えないかと思っていたら……


職場の天井から、か細い声で「にゃ~」。どうやら近所のノラに追いかけられ、逃げ込んだ天井で3日も過ごしていたようで。普段、ほとんどなくことがないので、死を感じて必死にないたんだろうね。


うちの母親は溺愛してて、おとなしいトラはいつも抱っこされていた。


眉間や額のあたりをこすると喜んでいたね。後は首根っこの周りを、ボリボリかくと気持ちよさそうだった。ただ、しっぽをぎゅっとされるのは嫌だったみたいで、ぎゅっと握ったら反射的に「にゃっ!」と反応したな。


時々、そんな反応が面白くてしっぽ握っちゃったけど、ごめんな。


トラが亡くなって、こんなに自分が落ち込むとは思わなかった。こんなに涙がこぼれるとは思わなかった。


亡くなって初めて知った、トラの存在の大きさ。


君からは、いろいろな事を学んだ。


僕は読書が好きで、数学書や哲学書、科学書、歴史書、偉人伝……


とにかくいろんな偉人や歴史人からたくさんの事を学んだけど……


孔子やニーチェ、アインシュタインやオイラーよりも、トラから学んだ事の方が大きい。


何だろう。うなく言えないけど、トラを見てると優しく接する気持ちが生まれるんだ。そしてそれは何よりも貴重な感情だと思う。


君に触ることがもう出来ないかと思うと、残念でならない。


18歳。猫ならかなりの高齢ではあるが、もう少し君と過ごしたかった。


死に目に立ち会うことが出来なかったのは残念だけど、うちの親が君の死に立ち会ってくれた。


くしゃみを1つして数分後かな。最期は眠るように亡くなったと聞いているよ。


ルームメイトのM蔵が何度も君をなめていたらしい。M蔵も寂しがっている。


トラ。君は家族の一員として、僕たちに多くのものを与えてくれた。心より感謝している。


ホントはもっともっと君に言いたいことはあるけど…… 言葉ではうまく言えない。


ただ1つ。心から君をいとおしく思う。それだけは間違いない。


天国というものがあるのか僕にはわからないけど……


君にまた会えるなら、僕も天国に行ってみたいなと思うよ。行けるかどうかはわからないけどさ。


エヴァンゲリオンで「人は思い出を忘れる事で生きてゆける」と碇ゲンドウが言ってたんだ。言葉の意味はなんとなくわかっていたつもりだけど、トラを失ってからそれは僕にとっての真実ではないという事がわかった。


トラを思い出すたびに、亡くなった君に胸をはっていられるよう「仕事を頑張ろう」「善く生きよう」って思うからさ。


君との思い出を振り返るたび、僕は強くなれる。


ペットの葬儀屋さんに預けて、その日で火葬してもらった。今度お参りにいく。


後は君との思い出をこうやって文章として残し、時々これを読んで君の事を思い出してあげる。


それが君に対する供養になれると信じてね。


挿絵(By みてみん)


これがベストショットかな。笑


それじゃ……


時々、君のことを思い出すからさ。


悲しいけどさよなら。


もしまた、どこかで会えるなら……


思い切り頭をなでてやるからな。


挿絵(By みてみん)


トラ。心から愛するトラ。安らかに……

たかがペットという人もいるでしょうが……


自分にとっては、本当に大きな存在でした。


こうしてトラとの思い出を文章にし、時々これを読んでトラを回顧する。それが彼への供養の1つとなる事を信じて、このメッセージを残しておきます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 冒頭の写真で癒されました。 [一言] まだ最近の事なのですね。 心中お察し致します。 トラ君、いい人生だったと思いますよ。 幸せ一杯のかわいい写真を見ていたら分かります。 かわいがって…
[一言] トラくんの事を亡くなってから知ったのが残念です 伊吹さん家族にとってトラくんはペット以上の存在 (もう家族ですね) 写真を見てると、可愛くてなぜてあげたいぐらいです トラくん天寿を迎え天国で…
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