Ep.8 毒牙と雷光
波紋のように広がる、エリオンの死による動揺。 その心の隙を見逃すような、歴戦の猛者たちではない。
「きえぇぇいーーーッ!!」
奇声と共に踏み込む影。 五家領「武神」藤一刀斎。 放たれる神速の突き。「剣聖」スレイグの喉元へ迫る刃。
「戦技、『毒蛇の牙』ーーーッ!!」 「ちぃッ!!」
紙一重での回避。 ――その、はずだった。
だが、意思を持つ蛇の如く刃先の角度を変える魔刀『毒蛇咬』。 スレイグの肩を掠め取る一撃。
「くっ……!」
僅かな傷。だが、ガクりと折れるスレイグの膝。 傷口から広がる、鉛のような倦怠感。 猛毒だ。
「くくくっ……どうだ、『剣聖』殿。私の魔刀の味は」
嘲笑う一刀斎。 一変する戦況。 崩れ去る十勇士の優位。戦場は泥沼の乱戦へと雪崩れ込む。
「断罪のクシャルカン」 vs 「天翼」セレン 「聖光のジェームズ」 vs 「海帝」レヴィル 「聖魔のゾルテア」 vs 「剣鬼」ライゼン 「盲信のキアン」 vs 「獅子王」アイル 「猛神 魏鐐瀞」 vs 「死神」オルダ 「軍神」エンリキ vs 「戦王」スラン
勃発する「大将戦」の数々。 だが、その拮抗すらも破壊する者の出現。 ゼラフィム教団、「憂い」の司教ホールキンス。
天にかざされる両手。 不穏な音を立てて鳴き始める大気。
「雷光雀よ! 異端の輩を焼き尽くせぇーーーッ!」
解き放たれる無数の光の鳥。 否、それは意思を持って飛び回る「球電」の群れ。
「な、何だとッ!? 『雷光雀』だと……!?」
目を見開く竜王ヴェロン。 千年の時を生きる彼でさえ、その光景には戦慄を覚える。
それは単なる魔法ではない。 女神アスティアが聖女にのみ与えた特権――「創生魔法」の一種。
「まさか……ゼラフィムの奴ら、聖女の力を手に入れていたとでも言うのか……ッ!?」
不吉な予感。 即座に襲いかかる、致命的な現実。




