表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/13

Ep.12 獅子王の咆哮

地上の蹂躙劇に続き、迫る空での決着。 天翼鷲騎グリフォンと化したセレン。上空から獲物を捉える猛禽の眼光。


「卑怯だぞぉーーーッ! 降りて戦えぇーーーッ!」


地上で喚き散らす「断罪のクシャルカン」。 対して、無言のまま畳まれる翼。 重力に身を任せた、流星のごとき急降下。


――大地を揺るがす轟音。 骨が砕ける不吉な響き。


防御態勢より速く、顔面を襲う鋭利な鉤爪。 砕ける鉄仮面。潰された左目。 悲鳴を上げて転げ回るクシャルカン。


敵陣営に広がる混乱と絶望。 その隙を突き、起死回生の巨大雷鳥を召喚しようとするホールキンス司教。


その時。 轟く、天地を振るわせるほどの王者の咆哮。


金色の獅子王アイルによる、<神業>『獅子王の咆哮』。


単なる威嚇ではない。 物理的な破壊に加え、対象の「魔力回路」そのものを強制的に閉ざす封殺の一撃。 戦場を薙ぎ払うように駆け抜ける金色の波動。


音もなく――。


ホールキンスの手元でスパークしていた雷鳥の幻影は、まるで煙のように霧散する。


「な、何が……? 魔力が、練れない……!?」


呆然と自分の手を見つめる司教。 魔法使いにとって命とも言える魔力の沈黙。 体内の回路が焼き切られたかのような虚無感。 奪い去られた誇りと戦力。


「全軍、突撃ぃーーーッ! ノートレッドの地から、侵略者どもを叩き出せぇッ!」


上がるアイルの勝鬨かちどき。 十勇士とノートレッド軍の猛攻により、総崩れとなる無敵のゼラフィム軍。


響き渡る歓声。 誰もが確信した勝利。 戻ってくると信じて疑わない、平和な日常。


だが。


遥か彼方、ゼラフィム本陣の奥深く。 敗走の報を聞いてもなお、眉一つ動かさない男。 タナトス枢機卿。


「……計算通りですな」


手に握られた、禍々しい光を放つ黒い水晶。 その瞳が向く先は、勝利に沸くアイルたちではない。 魔力を使い果たし、崩れ落ちそうになるライナの腹部――「次代の器」。


本当の地獄の始まりを知る者は、まだ誰もいない。


(一部抜粋。『愛の章』 完)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ