Ep.11 獣勇士、降臨
ライナの手にあるのは、最大にして究極の創生魔法具『獅子心王の書』。
「エーデルワイスの神獣たちよ! 今こそ誓いを果たし、真の力をここに示せッ!」
聖女の命への呼応。 十勇士たちを包む光の繭。 空間が弾け飛ぶ轟音。そこにはもう「人」はいない。 現れたのは、神話より語り継がれる畏怖すべき異形の神獣たち。
「久しぶりだぜ……この姿になるのはよぉ!」
口元を獰猛に歪める、白銀の「神狼」と化したスレイグ。
「ふぅ~……力が漲るわい」
空を泳ぐ巨大な「白鯨」となったレヴィル。潮の如く噴出する魔力。
漆黒の「麒麟」、オルダ。 威風堂々たる「虎神」、アグロヴァル。 神々しい「聖壮巨鹿」、ガレスベルク。
そして、翼を持つ一角獣――ペガサスとユニコーンの融合体へと変貌し、いななきと共に空へ舞い上がるスラン。
「まさに獣勇士、ここに降臨!」
最後に、一際まばゆい金色の光の中から現れる影。 燃え盛る鬣を持つ「獅子王」アイル。 その瞳に混在する、殲滅の決意と守護の慈愛。
「一気呵成に叩く! 敵軍の士気を挫けぇッ!」
獅子王の咆哮。 それが反撃の合図。
「おのれぇ~……ッ! 人外どもがぁ~ッ!」
震えながら叫ぶ四聖帝、「盲信」のキアン。 その声に滲む明らかな恐怖。
疾風のごとく駆ける神狼スレイグ。 狙うは因縁の相手、五家領・藤一刀斎。
「むうッ――! 速いッ!」
反応する暇すら与えず、迫るスレイグの牙。
「必殺の間合い、『天領』!」
展開される防御円陣。 だが神狼スレイグは、その結界ごと空間を食い破るように突進する。
刹那、舞う鮮血。 肩からごっそりと消失する一刀斎の右腕。
「が、ぁぁぁぁぁッ!?」
絶叫する剣豪を見下ろすスレイグ。 喰いちぎった腕をぺっと吐き捨て、嘲笑う。
「借りは返したぜ……!」




