プロローグ 天樹の契約
公式企画『お題で飛び込む新しい世界(テーマ:戦記)』参加作品
■ジャンル:英雄戦記 × ダークファンタジー ■完結設定:全12話(約14,000文字)。完結済みです。
【本作のこだわり】 戦場のリアリティと重厚さを追求するため、「ドカーン」「キンッ」といった擬音を一切排した筆致で描いております。 音を「現象」として描く、映画のような没入感をお楽しみください。
【あらすじ】 守るべき幸せな日常は、10万の軍靴に踏み躙られた。 絶望的な籠城戦の果て、愛する者を守るために「人」を捨てて「神獣」となった10人の英雄たち。 これは、歴史の闇に葬られた「異端戦争」の記録であり、全てを失った場所から始まる**「ゼロ・ストーリー」**です。
サクッと読める中編サイズ(約40分)に凝縮しました。 血と鉄の匂いがする本格戦記を、どうぞご堪能ください。
広大な大陸の中央、雲海を貫く霊峰の頂。 そこに、「世界樹」は鎮座している。
それは生命の源泉であり、この星の心臓だ。
根は地脈深くへと伸び、枝葉は天風を捉え、世界中に魔力と精気を循環させる。 妖精から幻獣に至るまで、あまねく命に恩恵を与える絶対的な守護者。
だが、光ある場所に影が差すように。 数百年の周期で、清浄なる樹にも「負の穢れ」が澱む時が訪れる。
世界が枯渇し、魔力が腐敗へと転じる「不浄の厄災年」。
その滅びの理に抗うため、星産みの女神アスティアは一人の乙女を選別する。 当代最強の魔力を宿し、誰よりも無垢なる魂を持つ者――「聖女」。
彼女たちは女神より「創生魔法」という神の御業を授かり、命を削る過酷な巡礼の果てに、世界樹を癒やす使命を負う。
それは、世界を救う栄誉であると同時に、一人の少女から「人間としての生」を奪う、残酷な契約でもあった。




