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4.2 星野先輩の誤解エピソード

俺たちの秘密の共犯関係は、バイト先の先輩、大学生の星野悟によって、全く予想外の方向へと加速する。


星野先輩は、高見沢の俺への態度が「アンタ」から「佐倉さん」に変わったことに、すぐに気づいた。



エピソード1:呼び方の変化の深読み


「おい、佐倉。高見沢、お前にだけ『さん付け』に変えただろ。あれは特別扱いだわ。高見沢はな、真面目なフリして、ああいう世話焼き系ツンデレなんだよ!真面目すぎて、好意を『さん付け』でしか表現できないんだよ!」


「違いますって、星野先輩!あれは、俺が学校の先輩だってことを知って…」


「うるせえな!ラブラブの話に割り込むな。いいか、あいつのツンは、全てお前へのデレだと思え。高見沢が怒れば怒るほど、お前への愛が深い証拠だ!」


エピソード2:休憩時間の接近


ある日、俺が「学校の進路が定まらない」と高見沢に弱音を吐くと、高見沢は珍しく冷静に助言をしてくれた。


「佐倉さん。目標がないなら、まず**『何が嫌か』**から消去法で考えなさい。それが、私からの指導です」


その会話を偶然聞いていた星野先輩は、休憩室のドアを蹴破る勢いで入ってきた。


「おおおお!高見沢、指導じゃなくて人生相談に乗ってるじゃねえか!しかも二人きりで!先輩、デレてるな!佐倉、年上のお姉さんに甘えてんじゃねえぞ!」


「星野先輩!違います!これは、あくまで仕事の指導の延長です!」高見沢は顔を真っ赤にして叫ぶ。


「はいはい。怒れば怒るほど、ツンデレの照れ隠しってことな!お前ら、早く付き合っちまえ!」


エピソード3:潮見美月の違和感と相談


俺は、バイト先で高見沢との関係が誤解されることに戸惑いながらも、その関係を否定しきれないでいた。高見沢の真剣さが、俺の心の中でどんどん大きくなっていたからだ。


そんな俺の様子を、同級生の潮見美月は見逃さなかった。


「優斗。最近、バイトの話する時、目つきが真剣になったね。私と一緒にいる時より、なんかキラキラしてる」


美月は、俺のその「キラキラ」が、自分ではない誰かによって与えられていることに気づき、初めて漠然とした不安を抱く。


美月は、俺たちの共通の友人、冷静沈着な神崎玲に相談した。


「玲。優斗のバイト先の高見沢さんって、一体どんな人だと思う?」


神崎はメガネを押し上げ、冷徹な分析を始めた。


「佐倉は、潮見、君の**『日常の温かさ』に甘えて目標を見失っていた。彼は今、高見沢という『非日常の緊張感』と『プロの厳しさ』に惹かれている。これは、単なる恋愛じゃなくて、佐倉の成長本能が引き起こした現象だ。潮見、君の『優しさ』**だけでは、彼はもう、君の隣に戻らないかもしれないぞ」


神崎の言葉は、美月の心に鋭く突き刺さった。美月は、優斗を取り戻すため、静かに闘志を燃やし始めるのだった。

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