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7.2 高見沢美咲:秘密の指導と小さな喜び
(佐倉先輩は、真面目に取り組んでいる。……でも、甘い)
高見沢は、図書室で佐倉の目標シートを添削しながら、内面では小さな喜びを感じていた。バイトで指導しても、佐倉はただの**「使えない後輩」だった。だが、学校で「人生の目標」というプライベートな領域まで指導することで、彼女は佐倉の「一番の理解者」**になっているという優越感があった。
しかし、彼女の顔には極度の緊張が張り付いている。
「早く帰りたい……誰かに見られたら、私の秘密が、プロとしての権威が……」
高見沢は、佐倉に指導している時だけは、人見知りであることを忘れられた。佐倉の成長が、自分の目標への努力の正当性を証明してくれる。彼女にとって佐倉は、**「秘密のパートナー」であり、「希望の証」**でもあった。