6.2 潮見美月:告白回避と「ライバル宣言」
翌日。佐倉は、高見沢との関係が**「共犯」から「恋愛」**へとシフトした興奮と、美月にどう向き合うかという葛藤を抱えていた。
その日の夕方。潮見は、佐倉を中の島大橋に呼び出した。
夕焼けが、真っ赤な橋を照らし出す。美月の顔は、真剣そのものだった。
「優斗。話があるの」
美月の眼差しは、覚悟を決めた女性のものだった。佐倉は、美月が告白をするのだと察した。
「私、優斗が好きだよ。誰よりも、ずっと。優斗の隣は、私だけの場所だと思っていた」
佐倉は、自分が目標のないまま美月の優しさに甘えていたことを後悔した。しかし、彼の心は、すでに高見沢の非日常の緊張感に強く惹かれてしまっていた。
「美月、ごめん。俺は……」
佐倉が言葉を遮ろうとした瞬間、美月はそれを制した。
「待って。私は、今の優斗に告白はしない。優斗はまだ、自分の目標を見つけきれていない。もしここで告白して、優斗の優しさで私を選んだら、優斗は一生後悔する」
美月は、涙をこらえ、強い眼差しで言った。
「私が優斗の隣にいるのが『当たり前』なら、私からその**『友達』の肩書きを壊す。私は、優斗が選ばなかったことを後悔するくらい、魅力的な大人**になって、もう一度告白する」
美月は、佐倉の背中を、強く叩いた。
「だから、優斗。私を振り向かせるか、私に追いつかれるか、勝負だよ! 私のことは心配しなくていい。自分の目標を見つけなさい!」
潮見は、恋愛感情を匂わせつつも、「ライバル」として宣戦布告。佐倉は、潮見の優しさではなく、その強い決意を受け止めた。