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ロボット研究部

 オリエンテーションも終わり、授業も本格的に始まりだした入学1週間後の昼休み。


(部活はどうしよう)


 昼の弁当をつつきながら考える。


(アルバイトもしてみたいし、でも原則どこかの部活に入らないといけないんだよね)


 そう思っていた矢先にクラスメイトの鮎原さんから声がかかる。


「柴咲さん、ロボット作ってみませんか? 私とか、アリシ・・・・・・吉元よしもとさんとかと」


「うーんと、どんなことするの?」


「えっと、高校生ロボット相撲大会って知ってます?」


「あーテレビで見たことあるかも」


 ちょっと適当なことを言ったかもしれない。

 実際にはネットの広告か何かで見たような気がしないでもない。

 だが、その単語は目にしたことがあった。


「あれとかを目標にするつもりです!」


(・・・・・・いいかもしれない。運動部はイヤだし、ちょうどいいかも)


「やろうよ、ロボット作るの!」

「本当ですか!? じゃあこれで・・・・・・」


 鮎原さんは指折り数えている。


「これで部活として申請できます!」


「何人集まってるの?」


「4人です!」


 そして放課後。

 ロボット研究部(仮)の部室に集まったのは全部で5人。

 全員が機械科で、鮎原あゆはらさん、木村きむらさん、もりさん、吉元よしもとさん、それに私の5人だった。

 私を勧誘したあの後にもう1人、誰かが入ったらしい。


「はい。座って座って~」


 そう私たちに言う、黒板の前に立つグリーンの作業着の女性。

 席に座ると、私が最後だったらしく、ドアが閉められる。

 

「え~、既に授業で知っている人もいるだろうけど、私は機械科教員の須藤すどう たまきです。今回、ロボット研究部の顧問となりました」


 ロボット研究部の顧問になってくれたのは須藤先生。

 私は須藤先生の授業を受けていないので、人となりを知らない。


「28歳、趣味はF1観戦とか車いじり。私も高校は機械科でした。女子校ではなかったけどね」


 先生の自己紹介が終わる。


「じゃあ、みんな・・・・・・全員機械科か。でも自己紹介してみてくれる?」


 先生は私たちの校章バッヂを見てそういった。


「はい。では私から・・・・・・」


 そう言って自己紹介を始めたのは、黒ぶちの眼鏡をかけ、肩まで伸ばした黒髪が特徴的な子だ。


もり 勇樹ゆうきです。中学まで埼玉にいました。ロボットに関しては全くの初心者ですが、よろしくお願いします」


 礼儀正しく挨拶したのは森さん。

 まばらな拍手。

 そうしてから、次は須藤先生に私の自己紹介を促される。


柴咲しばさき 春花はるかです。すぐ近くの鶴見から来ています。私もロボットは初めて作ります」


 私にも拍手がされる。

 私も座りなおして、次の人だ。


鮎原あゆはら 拓美たくみです。ちゅ、中学はアリシアと一緒でした。あ、吉元さんです! あ、毛はおばあ様から遺伝です」


 少し小柄で、肩までの金髪の子。

 クラスではこの子ともう一人、目立つ銀髪の子がいる。

 そう思っていたら、次はその銀髪の子の自己紹介だった。


「吉元 アリシア(よしもと ありしあ)です。髪の毛はパパから遺伝。ロボットは・・・・・・ミニ四駆くらいなら作れま~す」


 背が高く、整った顔立ちに、綺麗な銀髪を腰まで伸ばしている子だ。

 そして最後。


木村きむら 貴子たかこです。体育会系の部活に疲れたから、この部活ならいいかなと思って来ました」

 

 暗い色の茶髪をポニーテールに結っている子だ。

 ひとまず教室にいる全員の自己紹介が終わる。


「え~と、もう一人、柏井かしわいさんがいます。ですが、本日はバイトの面接があるとのことで、後日また自己紹介してもらいましょう」


 手元の入部届けを確認しながら須藤先生はそう言った。


「そんでさ、もうロボット作れるの!? ロボコンとか出られるわけ!?」


「そうね~、1年目はいろんなとこ見学かな~。少なくとも工業技術基礎の授業ができてないとロボット作るのは難しいよ?」


「マジか~。今年出られないのか~」


 少し悔しそうな声をあげる吉元さん。


「来年頑張りましょう。今年は基礎を学ぶのが先よ」


 そういってなだめたのは森さん。


「言っとくけど、アニメみたいな綺麗なやつは作れないからね? ミニ四駆よりも無骨なやつを作るのよ」


「え? ビームとか撃てない?」


「無理に決まってるでしょ」


 その日は次に集まる日を決めて帰宅した。


「お母さん、私、ロボット研究部に入ったから!」


「そうなの? まあわかんないけど"今度は"頑張んなさい」


 ひとまず部活に入ったことを報告したが、まあまあな反応だった。

 娘が変わった部活に入ろうが興味なしらしい。


「だって春花、あなたってばギターも2か月で飽きちゃうし、ソフトテニスだって幽霊部員みたいなもんだったじゃない?」


 母に正論を言われ、中学の頃のことを思い出した。

 私は飽き性で、長続きすることが少ないのだった。


「3年くらい頑張ってみなさい。でないと社会に出て苦労するよ」


「3年かぁ。長いなぁ。でも頑張ってみるよ」


 私はゆるゆると母に誓う。


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