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バレンタインと校内マラソン大会

 2月14日。バレンタインデー。

 朝の教室では持ち寄ったチョコの交換会が行われていた。


「おいおい、すごい甘ったるいな」


 教室に入ってくるなり、顔をしかめた山田先生の一言。


「はい、先生。みんなからね」


 包装紙に包まれたチョコレート。

 代表として、クラス委員の長田ながたさんが山田先生に手渡した。 

 クラス全員から100円ずつ集めて、クリスマスに貰った本のお礼をしようということになっていたのだった。


「本当にかい? ドッキリじゃなくて? 教え子から貰ったのは初めてだなぁ」


 そこから帰りのホームルームまで上機嫌だった先生。

 喜んでもらえて本当に良かった。





 今日から1週間、放課後は、校内マラソン大会の練習に当てられている。

 走る距離は4キロ。

 腕時計型の距離計が、概ね走った距離を測定してくれる。


(10週はキツイ・・・・・・)


 運動部の人達は次々と完走していく。

 その一方で、文化部の人たちは脱落者も目立つ。

 あくまで4キロは目標。

 私は、というと、


(無理だ。7週が限界・・・・・・)


 3キロに満たないところでギブアップ。

 

(というか、運動部はこの後、部活するんだよね?)


 もう大の字で完全に死に体の文系部の人たちを横目に、私は呼吸を整え終え、山田先生に周回報告を行う。


「柴咲、2800、ギブアップ、と」


(運動部の人たちはともかく、2番目に完走したのは佐藤さん?)


 1番に完走したのは大沼さん。

 これは最強の陸上部であるから当然ともいえる。

 だがしかし、先生のタブレットには帰宅部の佐藤さんの名前が2番目にある。

 当の本人は既に帰ったようで、辺りを見渡しても姿はなかった。


(どういうことだろう?)


 教室へ戻って着替えながら考える。

 一番後ろの席の佐藤さん。

 佐藤成香さとう なるかさん。

 短髪で身長は普通。そしてやや細身。


「ねぇスーちゃん、佐藤さんって部活入って無いけど、何か家の事情とか知ってる?」


 ちょうど教室へ着替えに戻ってきた、後ろの席の鈴木さんに聞いてみる。


「ん~。わかんない。急にどったの? なんか用事?」


「いや、今走ったじゃん? うちのクラスで佐藤さんが2番目に走り終わってたんだ」


「そうなん? いや、でも、うーん、わからん。体育でも目立ってない気がするけどなぁ」


 この学校では、帰宅部というのは基本的に何らかの理由がある場合に限る、とされている。

 なのでどこかの部活動に所属しているはずなのだが、そういう話は聞かない。

 結局、本人に聞くこともなく、佐藤さんのことはわからずにマラソン大会は終了してしまった。

 ちなみにマラソン大会1位は大沼さんだった。さすが。


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