初めての工業技術基礎
1週目の授業では、先生たちとの自己紹介や中学の簡単な復習をする数日。
そして、ついに機械科特有の授業、工業技術基礎の時間がきた。
工業技術基礎は教室で作業着に着替えて、2階のホールに整列するらしい。
名前の刺繍された水色の作業着に着替えて、帽子も被って準備完了。ホールへ向かった。
「はい、点呼を行います。名前を呼ばれたら元気よく返事をしてください。いいですか? "元気よく"お願いします」
ホールで待っていたのは、緑の作業着を着た若い男の先生だ。
「鮎原」
「はぃ」
「元気なさそうですね。もう一回!」
ずいぶんと大きい声で言われて、私たちは若干引いていた。
「はい!」
鮎原さんは負けじと声を張った。
「え~、なぜこんなことをやらせるか? この授業は体調が万全でないと危険です。なので体調不良の場合は無理せず言ってください。それで単位が足りない場合、補習も行います」
私たちはあまり納得できない感じで、とりあえず返事をした。
「では、このアルミ材。これを削ってもみたいと思います」
ガラガラと台車で機械と金属の塊が運ばれてきた。
機械から電源コードが伸びる。
機械の前で説明を受け、先生が実際に機械で金属の塊に穴を開けた。
「授業でもこんな硬いものに穴を開ける訳です。回ってる部分に指が触れるだけでちぎれます。髪の毛も"必ず"帽子の中へと入れるようにしてください」
(こわっ)
体調不良でこの授業を受けられない理由がよく分かった。
おそらくどこの教室でも同じようなことがあるのだろう。
「製図以外で、科の作業中ではゴーグルと帽子は"必ず"着用してください。飛んできた金属くずで失明するのはよくあるので」
出席番号順に5人ずつに分かれて実習室に向かう。
クラスの人数は全部で20人。
4つのグループに分かれ、授業を受ける。
私の出席番号は11番なので、今日は実習室2へ向かった。
「集まりましたか? 出席番号11番から15番です。柴咲さん、鈴木さん、長田さん、橋本さん、藤川さん」
長机の前に座り、呼ばれた順に返事をしていく。
「はい結構。今日の授業から6週間、"フライス盤"を教えます。僕は梶川、そっちの彼が栄田先生」
「栄田です! みんな、よろしく」
先ほど点呼を取っていた、目の細い若い男の先生は梶川という名だ。
教室の後ろでメモを取りながら、私たちと一緒に立っているのは栄田という先生。
「先に断っておきますが、危険なとき、言葉より先に僕たちは手を出します。もし、不快であってもこちらの言うことを聞いてください。なによりも安全を優先します」
私たちはその言葉にゴクリと唾を飲んだ。
「では、"フライス盤"について説明します」
そこから教科書を読みながら、長々と1コマ分、フライス盤についての説明を受けた。
ちなみに1コマというのは1時限分、50分のことだ。
この1コマ分で教わったことを簡単にまとめると、刃を回転させ、そこに固定した品物を当てることによって削る。
角型の物を作るのに向いている、穴あけも行える。




