鋳造実習
「はい! 鋳造実習。まず教科書を読む!」
「例えば、"ヤカン"。これがいい例だ! 空洞部があり、つぎ目がなく作れる!」
全部の言葉に ! がつくような喋り方の入山先生。
たしかに、隙間があったら水がこぼれてしまうので、そういった水を扱うものに向いているのだろう。
「型に流し込んで冷やすだけだ。大量に作るのに向いてるぞ!」
まずは木枠の作成。
ここで作った木枠に"砂"を入れて、凝固剤で砂を固める。
これで1時限が終了。
そしてまた教科書を読み、小休憩を挟み3時限目。
「保護具はつけたか!? 体に垂らしたら貫通するからな! 気を付けろ!」
先生たちと協力しながら、電気炉から取り出したドロドロに溶けたアルミニウムを砂の型に流し込む。
砂の型というのは実は量産には向いていないとのことだが、今は実習。
丸みを帯びた金属を、つなぎ目無しで作れる、ということを学ぶための物だということだ。
今回作ったのはコースター。
「今日の授業は終わり! 次回、取り出して研磨!」
翌週。
木製の台にできたアルミを当てて、ハンマーでたたいて模様をつける。
仕上げに棒ヤスリと紙ヤスリで研磨して完成。
「全員できたか? 持ち帰って使ってもいいし、来年以降の後輩へ手本として置いていってもいい!」
そう、私たちは1期生。
これがこの学校始まって1つ目。
未来永劫保管され続けるかもしれない。
「なにニヤニヤしてるのさ」
顔に出ていたらしい。
横の席のスーちゃんに指摘された。
「いやぁ、一番初めに作り出したっていうのはいいもんだなぁって思ってさ」
「いうて僕たち3班目じゃない? 先に他の班の人達もやったでしょ」
言われて思い出した。
実習は班ごとに代わる代わる行われているのだ。
「なぁんだ、私の勘違いかぁ」
「まあいいんじゃない? 人生で初めて作ったコースターなことには変わりないし」
実習レポートを書きながら今回の感想を話し合う。
鋳造実習では授業のなかでレポートを書く時間が用意されていた。
わからない、疑問に思ったことはすぐに先生に質問できるのだ。
「先生、これは?」
「おお、ゴム型か! 木と違って・・・・・・」
鋳造実習は危険ながらも、綺麗な金属を作ることができて素敵だと思った。




