はんだ練習用工作キット
夏休みの最後の週。
もうすぐ始業式だが、その前に登校日だ。
「おお、随分焼けたね。どこ行ってたの?」
「コミケ、って先生知ってる?」
「あれだっけ? ビッグサイトでやるやつ? そんなになるの?」
「そうだよ~。めっっちゃ外に並ぶの!」
部室に揃うなり、先生と吉元さんがそんなやりとりをしている。
「それで、今日はなにするの?」
「そう、コレを作ってみて欲しいんだった」
先生が取り出したのはまたもや工作セットだった。
「近所のお店が閉店するっていうんで処分価格で買ったの。全部ハンダ使うから練習になるよ!」
「また中学の自由研究じゃん」
「いいから~、文句を言わない!」
ということで私が作り始めたのは、"簡易ウソ発見器"。
どういう仕様かはよくわからないが、指一本を当てるだけでウソをついているか判定するらしい。
他の人達も各々別々のものを作っている。
例えば、森さんや鮎原さんが作っているのは推奨年齢からすると一番難しいらしい、"室内環境測定装置"、"貯金箱"。
森さんのは基盤にさまざまな測定機器を繋ぎ、SDカードに記録される装置だそうな。
「先生、このプログラムをっていうのは?」
「ああ、そこのタブレットを使って。できたらこれ繋いでね」
タブレット端末が置かれていた。
そこのアプリ上にプログラムを書いて、ケーブルを繋ぐらしい。
「全員ハンダ付けの授業はやってるし、プログラムのコードは説明書に書いてあるから」
黙々と作業を進める私たち。
「できた!!」
「こっちも」
早くも完成したのは私と柏井さん。
もっとも、推奨年齢が低い工作物を選んでいたので当然なのだが。
「よーし、テステス。じゃあ絶対に嘘じゃない質問してよ」
「先生は女性ですか?」
「もちろんイエス」
須藤先生は私の作った嘘発見器に指をあて、質問してくる。
緑のランプがついた。
「じゃあ次。絶対嘘になるやつ言って。イエスで答えて嘘確定にするから」
「う~んと、東京大学卒業ですか?」
「イエス」
自信たっぷりに嘘をつく先生。
赤いランプが点灯した。
「はいオッケー。よくできました」
そして森さんが作ったのはハンディ扇風機。
乾電池を入れて動かすタイプのやつ。
『ブーン』
「ちゃんと風きてる。オッケー」
6人中2人が完成。
現在、時間がかかりそうなのは森さんと鮎原さんのキット。
森さんはハンダ付けに納得がいかないらしく、ちょこちょこやり直し。
鮎原さんは器用にハンダ付けを終え、プログラムを書くところまでいったが、肝心のコード書きに苦戦している。
「ここが、こうで?」
「まずはチャートを書きだしてみれば?」
「わかりました!」
私もプログラムに関してはまるでわからないので、先生と吉元さんのアドバイスを横から聞いて、いつか使うときに役立てようと思った。
ちなみに鮎原さんが作っているのは"小銭を選別して収納する貯金箱"。
これはプログラム部分が高難易度らしく、入れた小銭の通る時間で判定する仕組みのようだ。
「こんなもんかな? 完成」
完成3人目は木村さん。
作ったのはクリスマスツリー。
季節外れにもほどがあったが、綺麗に点灯していた。
「できた~!」
4人目。吉元さん。
完成したのはタイマーアラーム。
これはプログラミングでタイマーを仕込めるというもの。
ボタンを押してから何秒後にアラームが鳴るか指定できる。
指定の仕方によってはスヌーズのように、もとから止めないとなりなおす機能も付けられるらしい。
きっちり押してから2分後になることを確認し、オッケーがでた。
「お昼になっちゃうから学校始まってからにしようか」
完成までいかなかった2人は、後日、部活の時間に作ることになった。




