長野の避暑地へ
「やっぱり神奈川より涼しいな」
父が車から降りて、そう言った。
長野の地は家付近よりも涼しく感じられた。
「さあて、1年分遊ぶぞ~」
父の仕事は基本的に忙しい。
毎年、唯一休みを取れるこの時期、誰よりも父がこの夏の旅行を楽しみにしている。
「まず荷物を置いてからね!」
父の会社の保養所と呼ばれる旅館。
私は詳しく知らないが、どうやら福利厚生に含まれているらしく非常にお安く利用できるとの話だ。
「ウチってさ田舎に帰るってないよね」
夏休みが始まる前にスーちゃんと話したことを思い出した。
彼女は大分に帰省すると言っていた。
そして、その時、
『あっ・・・・・・』
という表情をしていたのだ。
「田舎っていうか、じいちゃんばあちゃんよりも上からずっと東京にいるからねぇ。都会から出たことない、わたしたち」
「俺は出張があるけど、不便なとこには昔よく行ってた」
「毎度愚痴聞かされてるのはずっとわたし」
「はいはい、ストップ。それで、田舎に帰ったことはないよね?」
「ないない。東京の真ん中に帰るのを田舎に帰るとは言わんだろ」
ということで、私が都会から出るのは旅行の時ぐらい。
そして、避暑地に来た。だが、私はどちらかと言うとインドア派。
「去年のことは忘れてないから。今年は二人で行ってきなよ」
「悪かったって」
去年。中学生最後の夏休み。
この避暑地にいたのだが、湖でボートでの船釣りを予約していた。
父、母、私の3人で貸し切り。
私は船に初めて乗った。
そしてとんでもなく酔った。
「今回は違うことをしよう。屋内で色々見よう」
翌日、向かった先はトリックアートミュージアム。
遠近感の狂うような絵や作り物などがたくさんあり、とても面白い体験ができた。
そのほかにも近場に様々な博物館などがあったので、鑑賞した。
「じゃ、行ってらっしゃい」
2人を送り出す。
今日はハイキングをしに行くとのことなので、私は部屋でまったりすることにした。
昼食もビュッフェがあるので安心。
タブレット端末でお気に入りリストに入れてあった映画鑑賞を始める。
(一本目終わり・・・・・・。ちょうどお昼だ)
昼食を食べ、また映画鑑賞に戻る。
誰を気にすることもなく、好きなだけお菓子を食べ、行きたくなったらトイレに行ける。これが一番のメリット。
「ただいま~」
「おかえり~」
気が付いたら夕方になっていた。
今日見た映画は3本。
流行りのアニメ、シリーズ物のバイオレンスなやつ、小さい子でも安心な勧善懲悪もの。
どれも難しく考えることもなく見ることができて、自分の選考は正しかった。まあ評価が高い順に選んだだけなのだが。
そのあとは2回ほど外出し、そこでスーちゃんへのお土産、ロボ研へのお土産を購入して、鶴見の自宅へと戻った。




