プロローグ
小さい頃からわたしは、周りよりも能力が高い、いわゆる優等生という類に入るものだった。
何をするにも平均以上の結果が返ってくるし、容姿だって悪くなかったから、好きな子ができたりしたら、わたしからアピールすれば易々と恋人になることができた。事実、わたしはこれまでに5人以上の男の子と交際をしてきた。結果は、どの人とも数ヶ月で別てしまったけれど…
第1志望だった高校に進学し、わたしの人生は軌道に乗っていた。ところがハプニングが!なんてことはなく、極々平凡な生活を過ごしていた。
つまるところ、わたしの人生にはこれまで、挫折というものが存在していなかった。
高校でも相変わらず両性との関係が良好で、望まなくともクラスからの人望というものを集めることが出来た。誰かに何かをしてあげる、これを分け隔てなく行っていただけだ。
ただ1人、わたしのクラスにも捻くれている男の子がいる。
彼はいつも教室の隅で1人で何かをしている。俗に言う、根暗なタイプの人間だ。
たとえどんなに捻くれている人だとしても、分け隔てなく善行をするのがわたしのモットーであり、生きがいでさえあった。
当然、彼にも手を差し伸べてきた。
でも彼は、誰かから手を差しのべられる必要はなかった。
1人で居るということは、余計な人間関係を持たず、誰も傷つけることがない。
わたしは心のどこかで、根暗な人を小馬鹿にしていた節がある。
だが、1人でいる事の利点を理解して以来、わたしはわたしの生き方に疑念を抱くようになった。
わたしはこのままの生き方でいいんだろうか?
気にしても仕方がない。答えのない設問に頭を使うのは、性に合っていない。
今はとにかく、出来ることをひたすら。
誤字脱字あれば指摘していただけると幸いですm(_ _)m