第七話 「もうねる」
短いです
つ、疲れた……。さすがウサギ、速すぎるぜ……。まぁ、ゲームだからかアオイが普段より軽くなってて助かったな。……って、こいつ寝てないか? いや、気絶か? このまま町に帰るのは色々不味い気がするから起きて欲しいんだがなぁ……。
「アオイ、起きろ。このまま町に戻ったら絶対に変な奴に絡まれる………おい?」
………心拍も呼吸も変化なし。ぬぬぬ……。諦めるか(脳死)。帰るか。あ、このコート、フードを出せるらしいから被ってくか。
◇◇◇◇
はい、戻って参りました最初の町アルフレア。そしてさっき危惧した通り変な輩、それもモヒカン頭の世紀末3人組に盛大に絡まれております。
「女抱き締めてフィールドから帰還たぁ、良いご身分だなぁ?」
「俺達にも分けてくれよぉ?」
「金とその装備出せば許してやるぜぇ?」
あー……変な輩ですら無いな。ただのチンピラだわ、これ。俺ももう寝たいんだが?てか、何で俺が絡まれないと行けないんだ?………あ、何かムカついてきた。
「黙れチンピラが。地面とキスしたくなかったらどけ」
「「「「「!?」」」」」
なんか周りにいた人まで驚いて無いか?何でだ?
「テメェ!下手に出ていりゃあ良い気になりやがって!!」
「ぶっ殺してやる!!」
「逃げねぇよな?なぁ!!」
おいおい、街中だぞ?どうやって戦うつもり……
《ズローからの決闘申請を受信》
《形式:最後の1人》
《申請を受けますか? yes / no》
うっわ、めんどくせぇ………
(おい、あいつ世紀末達に喧嘩売ったぞ!)
(マジかよ、あいつらあの見た目と言動に反して普通に強いんだぞ!)
(あれ?あの人達の装備、見たことあるような………)
(そりゃ世紀末の格好してるんだ、見たことあるだろ)
(違う違う、そっちじゃなくて……)
(あぁ、絡まれてる方か。………確かに見覚えが……)
(というかあの抱えられてる方、ギルドにいた謎の美少女では!?)
(マジか!?)
外野がうるさいな。まぁ断ったらさらに面倒臭くなりそうだし………yes一択だな。
《決闘が成立しました》
《フィールドの隔離を開始………》
《隔離完了》
《敗北ペナルティ:ゲーム内時間5日間のログイン禁止及び全所持金》
《観戦可能モードの為、別フィールドへの移動はありません》
「へへへ……ボコボコにしてやんよぉ!!」
「オレ達はゴブリンキング100体討伐したんだぜ?」
「そんな奴に喧嘩売るたぁ、ナメられたもんだぜ」
……ゴブリンキング100体討伐って大したこと無くないか?
「行くぞクソガキィィィ!!」
「……格闘は苦手なんだがな」
「何言って……」
「…フッ!」
「ブベァ!?」
「「んなっ!?」」
おおぅ……回し蹴り一発で首が千切れ飛びやがった……グッロ。すぐに分解されたが。こうやって消えるのか。
というか、やっぱ弱いな。避けられるの前提、下手すりゃ反撃されるかも知れない隙の大きい攻撃だったんだが………
「な、なんだこいつ、カモかと思えば、とんだバケモンだ!」
「や、やベーよ!どうすんだ!」
「しゃべってる暇があるとは、余裕だな?」
奥の手でもあるのか?
「チクショウ! ナメてるガキに一発カマしてやろうと思ったのに!」
「その腕前じゃ無理だな。武器が泣いてるぞ?」
「黙れや、クソガキがぁぁぁ!!」
「この程度の挑発に乗ってくるようじゃ、俺には勝てんぞ、っと!」
「うおっ!?ギャッ!!」
足払いを掛けてみたら綺麗にすっ転んだな。でもあんまり激しく動くとアオイが起きそうだし、もうちょっと気をつけないと。
「ふん!」
「グゲッ、ガッ」
「ヒィッ!?」
というわけで、後頭部を打って悶えてる奴の首を踏み潰してやった。粉々になって消えたな。最後のチンピラが生き残ってるが……あぁ、アオイに習ったあれで決めるか。
「ほら、来いよ。そこでビビってるだけだったら、俺から行くぞ?」
「っ、テ、テメェなんか怖かねぇ!!ぶっ殺してやァるァァァァ!?」
「いやそんな顔芸を披露しながら言われても……」
なんなんだこいつ……。まぁ良いか。
「ハッ!」
「ウゴァッ!?」
よし!サマースソルトキック、初めて実践で使ったが上手く決まった!後は俺のオリジナルで……
「フッ……ラァ!」
「ブッ!?グッ、ゲッ……ガハッ」
踵落としで叩き落とすのって、難しいが決まればほぼ決着なんだよな。さて……ポリゴンになって消えたな。
《決闘終了》
《勝者:カイト》
《フィールド隔離解除》
《また、敗者はゲーム内時間5日間のログイン禁止が付与されます》
《さらに、プレイヤー・カイトに56280sを付与》
《決闘経験値を100000獲得しました》
おおーん……色々貰ったが…もう寝たい、さっさとアオイを起こs……
「ハッ!ここどk (ゴチン)」
「「痛ぁぁぁぁ!?」」
こ、こいつエグすぎ……
「だっ、大丈夫…?」
「だ、大丈夫な訳、あ、あるか………」
ゲームだけど顎が砕ける……。あぁ、でも伝えとかないとな。
「俺はもう落ちるから……そっちも自由でよろしく……」
「あ、うん。お休み?」
「あぁ」
あー………死にそう。もうねる。………ん?ラルナからのメッセージ? そういえば剣出すの忘れてたな。今度依頼しよう。
『必要素材:持ち主のなる者の魂底属性の魔石』
……………魔石ってなんだ??




