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From Abyss  作者: バルト
第三章 共に
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第七話 燼宮家

「………今日は遠征だったんじゃないの?」

「えぇ、そうだったんだけれどね………」


母さんは父さんをジト目で見ている。何やらかしたこの人…………。


「いやー、はっはっは…………」

「………………………………………」

「…………………………………………………」

「…………………お父さん、ハッスルしすぎて向こうの師範ボコボコにしちゃったんだ☆」


……………………なにしてんだお前ぇぇぇぇぇ!!?


「いやー楽しくなっちゃってさー…………」

「バカじゃねぇの!?なんのために俺がわざわざ頼みに行ったか知ってるか!?」


そう、その道場は俺がわざわざ頭を下げ、普通よりも高い遠征代を支払ってようやく受け入れてくれた、()()の道場だったんだ。そこ以外は俺には申し訳なさそうにしていたが断固として断られてしまった。何故かって?目の前にいるこの(アホ)が、どの道場に行ってもそこの師範をボコボコにして、プライドを完膚なきまでにぶっ壊しちまうからだよ!!


「燼宮流は今んとこ秋風流以外には負け無しで、日本で一番メジャーな剣術なんだぞ!?分かってんのか!!?」


これは自惚れでもなんでもなく事実だ。剣術の本を読んでも、最強の剣術として最初に出てくる名前は全て燼宮流だ。本当は一対一なら秋風流(駄文の所のだな)の方が強いんだが………あれはマイナーだからなぁ………。そう言うわけで俺は取材とかが来たときは本気で気配を断って隠れている。まだ学生だからな、顔が割れるのは避けたい。………VRオリンピック出てるけど。だけどあれはアバターに仮面被せてたから問題はない………はず。


「もう普通の道場に遠征は無理だぞ………受け入れてくれる所がない………」

「えぇ、もうどうしようもないわね………」


いや母さん、なら父さんを止めてくれ。知ってんだぞ、横にある道場で父さんを模擬戦でボコボコにしてたの。


「とりあえず遠征は無理、これからは父さんが何とかしてくない?はっきり言って、もう俺がやれることは無いよ??」


なんで喧嘩中でもないのにこんなことを言わなきゃいけないんだ……?くっそ、これからは俺も普通に訓練に行くか?いや、CAOをやる時間が減るのは困る………。


「ま、まぁこれからは俺も気をつけるから………な?」


な?じゃねぇ。これからは駄文の所にでも行ってこい……………ん?あっ!それで良いじゃねぇか!!


「これからは駄文の所で遠征してきたらどう?秋風流となら良い感じに苦手分野も磨けそうだし」

「あー、あの子の家ね!確かに、あの子強かったわね!!」


実は俺と駄文が一対一で戦ったなら、10回中6回は確実に負けるだろうな。なんせ秋風流は一対一に特化した剣術だ。それにあいつ両親共に親バカで、溺愛されてたらしいからな。エグい量の訓練受けてたらしいし、そりゃ強いよなって話だ。ちなみに碧も、よく分からん武術を修めているぞ。確か………たしか………………なんとか流格闘銃剣術だったような………え~~~っと………。そうだ!流転流だ!!流転流格闘銃剣術!どこで修めたのか、俺もよく分からなかったんだが………。なんだかお化けに教えて貰ったとか言ってたな。お化けなんていてたまるかって当時は思ったんだが……その少し後に俺も、奏さん……師匠に会ったから、今は本当だったのかもって思ってる。実際、あいつ結構強いんだよな………。


「凱人?じゃあ父さん達は道場に行くからな?」

「っ、分かった。夕飯何かリクエストある?」


飯は何を作るか、考えるのが面倒だったから聞いてみた。すると二人揃って


「「肉!」」


と答えた。もうちょっと具体的に注文せーや。


「…………まぁ分かったよ、肉はなかった気がするから買ってくる」

「「分かった!!」」


ずいぶん子供っぽい親だなぁ………。


------------------------


『じゃあ凱人君はもう卵は孵しちゃったんだ………』

「すまんな、どうも待ちきれなくてなぁ………」


その日の夜、電話の向こうで碧が残念そうに言った。どうやら向こうは家族旅行に行っていたらしい。


「俺はちょっとこっちでしばらく身体動かすから、CAOは少し休みだな。………ペットって世話いるかな?」

『ゲームだから平気だと思うけど………あのゲーム気合い入ってるからなぁ………。一応ログインだけはしといたら?』


確かに、CAOは世界で最も影響力を持つ会社が、驚くほど気合いを入れて開発したゲームだ。それくらいやるかもしれん。ちなみにその会社の名前は[ワールド・フロンティア]。そう、あの仮想世界が作られた時、中核となっていた企業だ。そりゃあ強いよなって所だ。ちなみに当時【フロンティア】開発に関わっていた企業はもう無くなっている。正確に言うと、ワールド・フロンティアが買収した。それも開発が成功した一年以内に、まるで秘密を漏らしてたまるかとでも言うように。だから今やワールドフロンティアは世界一の巨大企業だ。下手をすればひとつの国よりも金も力も持っている。なんせ企業秘密を守るための傭兵部隊がいる、なんて噂もある。だからかなりキナ臭いワールド・フロンティアだが、どの国も手を出せないんだ。


「ま、俺はしばらくフラーマの様子を見るだけにするから、碧達も頑張って孵化させてくれ。全員終わったら、また集まろう」

『分かった。とりあえずMPポーションとか買っておくよ。…………あっ、そういえば』

「ん?どうした?」

『なんか奢ってくれるって言ったよね?忘れてない?』

「……………あっ」


やべ、忘れてた。…………なんて言えねー。


『……………今度パフェでも奢ってね』

「………おう、パフェじゃなくてスイパラでも奢ってやるよ」


あれは完全に俺が悪いからな…………。それに忘れてたし。


「じゃ、また今度な」

『じゃあねー』






『ここが面白かった!』『ここが悪かった!』という事があれば、感想で教えていただけると作者が要望に答えられるよう努力出来ます。よろしければ、お願いします。(作者のメンタルは豆腐以下です。暴言はやめてください。)

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