第二話 変態
さて、学校から戻ってきて、前から何度も来ていて、行きつけになっているファミレスに入ったところまでは良い。俺が提案したんだからな。だが………
「そんなに食って、金は大丈夫なのか!?」
こいつらアホみたいに食ってやがる!まさか俺に奢らせるつもりじゃ無いだろうな!!?
「え?そりゃそうでしょ?」
「だよねぇ?」
「そうですね、だって」
「「「燼宮くん(さん)が奢ってくれるんでしょ(ですよね)?」」」
やっぱりそうだったよ!こんなことだと思った!!
「ハァ……まぁ良いがな?俺の財布も無限じゃないんだ、そこは考えてくれよ?」
ホントに頼むぞ?
「「「分かってる分かってる」」」
「………いつも通り仲良しでらっしゃる…息ピッタリじゃないか」
手持ちギリギリで何とか払えたが、財布が恐ろしいほど軽くなってしまった………後で下ろさないとな。さて、と。
「腹一杯食ったんだ、そろそろ帰るぞ?」
「そうだね、やっぱりいつもの所は安心するね」
「なんだか温かいですよね」
「じゃ、碧の家に行くか」
何があるんだろうな?
「ふっふっふ………期待してくれてていいよ?4人分手に入れるの大変だったんだから!」
「へぇ?」
「楽しみですねぇ」
「碧さんが用意してくれるんだ、きっと凄いぞ!あぁぁ、楽しみ過ぎて……我慢出来ない!!」
おい、ちょっと待て…我慢出来ないってまさか!?
「今すぐ田嶋を止めろぉ!!」
「皆様ァ!脱皮しませんか!?脱皮はいいぞォ。マジで気持ち良すぎだろォ!さぁ、はやくゥ!新しい自分を解き放つんだ!心の革命はもうすぐだぞォォォ!」
「うわぁー!!!」
「こんな天下の往来でとんでもないことを叫ぶんじゃねぇ!!というか服を着ろォ!?」
「嶋ちゃぁぁぁぁん!!」
もう無茶苦茶だ!!見ての通りこの男、田嶋 直樹にはとんでもない脱ぎ癖がある。少し精神が高揚しただけで所構わず脱ごうとする、生粋のド変態である。暴走し始めるとどうしようもないから、張り倒してでも黙らせなくてはいけない。
「碧、駄文、左右の手押さえてろ!気絶させる!!」
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「とりあえず黙らせられたな…いつ目を覚ますかわからん、このまま碧の家まで行くぞ」
「「はーい………」」
疲労困憊になりながら、俺達はようやく碧の家へ向かうのだった。