第十一話 鳴神ノ竜………ではなく?
ようやく広い場所に出たな………全く、一時間近く歩かされたぞ。で、ここは何のステージなんだ?
「かなり広いが………どう思う?」
「ボスステージでしょ」
「ですね」
「だな」
「そうだよなぁ……でも、おかしいところもある」
だってなぁ?ここは広場になっていて、周囲は綺麗に森に囲まれている。そう、綺麗に。さて、ここまで言ったら分かるよな?
「ここが鳴神ノ竜の居場所だとしたら、あのブレス痕はどこだ?」
「あ……」
「確かに」
「あんなに派手に吹き飛んでたしなぁ……無いのはおかしいか」
そう、森を吹き飛ばしたはずのあの痕の起点がここにあるはずだ。だが、それがない。
「だから少なくともここでボスだろう鳴神ノ竜が出てくることはないだろ。だが………」
中ボスなら出るかもしれない。
「あっ!」
「それなら準備しないとですね!」
「いやまてダモンよ、流石に気が早いぞ……」
「確かに気が早いが、あながち間違って無いな。心の準備はするべきだろ」
それが終わったら、広場の中心に行くか。こういうのの定番は中心に行ったら空から降りてくるって感じだろう。
「回復薬は十分か?」
「ボクは20本」
「私も同じく」
「ワタクシは15本だな……カイトは?」
「俺か?俺は25本だ、言いたいことは分かるから言わんで良い」
そう言って俺は回復薬を5本ナオキに渡した。ま、こんだけあれば戦えるよな?
「あ、じゃあボクは後ろから射撃するだけにするよ。そうしたら回復薬も少なくて済むから、みんなに5本づつあげるよ」
「いや、情報が絶対に無いから調べられてない。だから何をしてくるか分からんから、回復薬は量を統一しておこう」
もし広範囲攻撃とか全体攻撃をしてくるなら回復薬は必要になる。回復出来ずにアオイだけ死に戻り、なんてのは許せん。
「そんなわけだから回復薬は均等だ。異論は認めないからな」
「はーい」
「分かりました、確かにそれでは罪悪感がとんでもないことになりそうですしね」
「ワタクシもOKだ」
「よし……行くぞ」
何が出るんだろうか………ん?
「本当に来やがったか」
突然地面に影が降りた。デカイな。
『ギャォォォォァァァ!!』
翼竜………ワイバーンか。
《ステージボスとの接触を確認》
《鳴神ノ眷属:種族名〔雷翼竜〕:個体名『ヴォルド』level50》
《接触したプレイヤー カイト・アオイ・ダモン・ナオキ》
《戦闘フィールド生成、及び隔離》
《完了しました》
《ワールドにおいて最初にボスと接触したため、称号【最前線を駆ける者】を付与します》
《boss battle start》
なるほど?ステージボス……こいつを倒したら先に進めると。
「やってやろうじゃねぇか!」
「大物だ~!」
「ナオちゃんの仇!その首を餞にしてやる!!」
「生きとるわアホゥ!しかも多分こいつの上が仇だろ!!だがその上司?が憎いからお前もぶち抜いてやるァ!!」
気合い十分、叩き落とす!!
誤字報告、そして評価ありがとうございます!モチベーションも上がります!!




