第十話 雷光
あーーーーー……結構森の奥深くまで進んできたな…………多分。ずっと同じ景色だし、ループしてるってのが分からんからなかなかキツイ……俺達は今どこにいるんだ?レーザーも飛んでこないし…ん?
「全員警戒しろ!なにか音がしたぞ!!」
「えっ!?」
「音……ですか?」
「相変わらず化物並みの五感だな……」
うるせぇ!文句言ってる暇あったら武器構えろ!!
「さて……来るか?」
「んー、カイト君しか聞こえてないし、まだ遠いんじゃないかな?」
「そうか?」
「いやそうだろ。お前の五感はおかしいんだっつの」
「すみません、何も擁護出来ません………」
オイコラ。ハァ………ん?
ォォォ…………
「聞こえたか?」
「微かにね」
「俺も」
「私も聞こえました、しかも聞き覚えがあります」
「と、言うことはだ。…………ダモン、ナオキ!構えろ!」
『グルォァァァァァァァ!!』
ズゴォォォォォォン!!
「レーザー来たぞ、合わせろ!燼宮流鏖剣術・四の型・歪鏡!!」
「秋風流刀術・六の型・柔跳!」
「衝天流槍術・始の型・旋払!」
とんでもない太さのレーザーだな……帯電してるし、威力もヤバそうだ………だが、武術の正統継承者三人で全力での防御陣形だ!これで無理ならもう避けるか死に戻るしかねぇ!………ッ!?
グギィン!!………ドン!ドドドドドドドン!!カッ!!!……………………………
「うぉぉぉぁ、手がッ………………」
「刀と指が壊される所でした…………」
「はっはっはっは………うっ」
「わぁ……凄いねぇ…………」
どうやら全員死ななかったらしい。レーザーを防ぐ試みは成功したみたいだな。……………俺達はある意味重傷だがな。かなり本気で力の向きを制御したのに、反動で指と腕が捥げそうだ…………
「ナオキ、ダモン……もう一回来たら行けるか…………?」
「「無理だ(です)」」
「だよな………痛いのは我慢してさっさと進んじまおう。本当にもう一回来るかもしれん」
次来たら全員仲良く消し炭だ。ここまで来てそれは辛い。
「行くぞ!あんなやべぇ攻撃を遠距離からしてくるクソッタレをぶった斬りに!」
「「おう!!」」
「………………元気だなぁ」
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あのレーザーで森が吹き飛んでたから、そのまま直接進めそうだったが、どうも罠っぽかったんだよなぁ………雷鳴もそこからは聞こえなかったしな。だからどう見ても遠回りだったが雷鳴の聞こえる方に進んでるんだが……失敗だったか?なかなか森が終わらん。
「ホントにあってる?終わらないよ?」
「あってるはずなんだが………こうも進展が無いと不安になってくるな」
「こんなに苦労して何も無かったらカイトさん、覚悟しといてくださいね?」
「お前ん家押し掛けてやるからな………?」
「やめろバカども、普通に迷惑だ。来たら追い返すぞ」
「木刀も持っていくのでそのまま模擬戦しましょうか………」
疲れて訳が分からんことを言うようになってんな………早く森の最後に着いてくれ。俺のいろいろな物が危ない。おっ…
「お前ら、開けてきたぞ!最深部まで来たのかもしれん!雷鳴も急にかなり大きくなった!!」
そう、ようやく俺達は森の一番深くまでたどり着いたのだ。




