第五話 その頃、田嶋&秋崎は………
秋崎視点です
「いや、ホントに楽しそうだったなぁアオイさん」
「そうだねぇ、何せ新武器の試し切りだしね。あの人のはボウガンだけど」
私は今、嶋ちゃんと一緒に碧さん達とは別の方向に来ています。流石に4人で一塊だと効率も悪いだろうと燼宮さんが言ったので、それにしたがって二人一組となって試し切り中です。私も早くこの武器を使ってみたいものです。
「にしてもダモン、お前とんでもないlevelになってるな…」
まぁそうでしょう、なんせ魔本を買うためにクエストをやりまくりましたからね。でもそのお陰で………
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アイテム:魔本:冰水の書
説明:水刃と氷刃が封じられた魔本。
スキル:アクティブ
水刃・氷刃
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これが手に入りましたからねぇ………これでこの刀の力を十全に引き出してあげられます。
「さぁ、そろそろ本格的に探そうか。向こうは済んで、こっちは試し切り出来なかったなんて恥ずかしいでしょ?」
「そんなに急ぐ必要あるかぁ?のんびりが好きな駄文がそんなこと言うとちょっと怖いんだが……」
「なにもないって、信じてよ嶋ちゃん」
誰もいなそうですし、今ならリアルの渾名で読んでも良いですよね?
ガサガサッ!
「むっ、この音は……」
「何かいたね。追いかけてみよう!」
試し切りの機会なんですから、逃がしてはもったいない。さっさと追うことにしましょう。
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「いた!逃がすなぁ!」
「クァッ!?クェェェ!!」
デカイ鳥形のモンスターが私と嶋ちゃんの前を疾走しています。さっきの物音はこいつの音だったようですね。
回り込むことに執着しすぎて逃がすのも惜しいので、私の試し切りを先にしてしまいましょう。
「『水刃』!ハァッ!!」
ズバッ!ザン!
「グェェ!?」
これは良いですね!切った後、もう一度水の斬撃が入りました。『残撃』も、二回発動するんでしょうか?まぁ今はとりあえず……
「こっちは試し切り出来たし、次はそっちだよ!嶋ちゃん!!」
「うっしゃぁ!『操風』!そして、『烈風槍』!!」
ボッ!…ズン!
「クェッ!?ゴッ、グボッ……グェ…」
なんと、嶋ちゃんは風を操り、背中に当てて加速、そして『烈風槍』を鳥の胸へぶちこみ、貫きました。あれは普通なら即死でしょうねぇ……HPは……ちゃんと削りきれてますね。本当に即死したようです。
「よし、勝ったな!」
「そうだね、使い心地も試せた。ピッタリだ」
「ワタクシもそう思ったぞ!ラルナさんの腕は確かなようだな!」
さて、もう少し狩ったら集合場所に向かうとしましょう。あの鳥との追いかけっこでかなり時間を消費してしまいました。そう考えていた時に…
……………ドカァァン……
「今のは?」
「向こうから音が聞こえたね?少なくともカイトさんの必殺技では無さそうだけど……なんだろう」
上が木の枝に覆われているので、あの火柱が立っていても分かりませんが、響き方が違いました。
「まぁ、ワタクシ達が行っても仕方あるまい。カイトが付いているんだ、滅多なことは起こらんだろ。起こったら起こったで笑ってやれば良い」
「向こうで怒られたくないからそれは止めとこうよ………」
まぁ確かに行ってもしょうがないでしょう。私たちはこのまま狩るとしましょう。そうしてしばらくは何も起こらず歩いていたのですが、事態は突然動きました。
『グルォォォォォォ!!』
「なんだ今のは!?」
「咆哮……?でも、あんなに腹に響くような声のモンスターいたかな……」
その声は、恐ろしく、地の底から響くような声でした。そして。
ズゴォォォォォン!!
「なっ…………………!?」
「嶋ちゃん……?嶋ちゃぁぁぁぁぁん!!?」
森の奥から飛んできた、とてつもなく太く、明るく、恐ろしいほどのエネルギーを秘めていそうな光線に、嶋ちゃんは消し飛ばされてしまいました。その光が通った後には、当然嶋ちゃんはいません。
「な……何が…………いや、今は逃げなくては!」
このままでは嶋ちゃんの二の舞になってしまいます。そのため、この位置にマップでピンを刺して、さっさと集合場所へと逃げます。
ズゴォォォォォン!!
もう一度来ました!ですが、今度は……
「うぉぁ!!」
何とか回避に成功しました。その先にいたサイみたいなモンスターが巻き込まれて消滅していましたが、そんなことかまっていられません。サイを巻き込んだ後光は消滅していたので、おそらくもうそろそろ射程外のはず………………やはり!
「おそらく逃げきれましたね…ですが、このまま集合場所まで走るとしましょう。もしかしたら威力が絞られてしただけで、射程内の可能性もありますからね」
これはほぼ確定でモンスターの攻撃でしょう。システムギミックならもっと簡単なはずです。さて、カイトさんにどう報告しましょうか……




