第6話 巨乳は罪ですか?
青海夜海です。
ジブリの『君たちがどう生きるか』が楽しみです。
新キャラ、一縷さんの世界の目的です。
ノルンもシャワーを済ませた後、簡容ベッドを右端にその反対側にあるデスクの椅子に私が腰かえ、縄でぐるぐる巻きの一縷をベッドに座らせる。ノルンはなぜかベッドの隅で体育座りをしていた。
「それで、私に訊きたいことは何かしら?私たちの世界のこと?それとも侵略の理由?もしくはイケメンの捕まえ方?優れた指揮の仕方……は、みんなわたしの胸を見て集まって来たのよ。最悪よ。……ま、あなたたちには縁のないことね」
「ん。その胸が悪いの。その胸にみんな集るの。その大きさじゃ邪悪なの」
「人の胸を樹液みたいに言わないで。邪悪ってなによ。女なのだから仕方ないわよ」
「邪悪なの。その胸が……人の心を惑わすのっ!精神を崩壊させるの!戦争を呼ぶの!今すぐ排除するべきなの——」
「この子怖いわ⁉私の胸の何が悪いの――いえ、悪いわよね。斬り落とすかしら……」
「胸一つに深刻すぎるのはどうなの……?貴女の自信とネガティブの落差はなんなの?」
「冗談よ。想像ずるだけで吐きそうで、私には無理ね。死ぬ方がましに思えるわ」
一縷の相も変わらない冗談。私は嘆息する。JKのフレンドシップかとツッコミがなんとなく浮かんだ。……貴方は何反応しているの?
「……一縷、早速で悪い……悪くないわね」
「なんで言い直したのよ……敬いなさいよ。私これでも生徒会長なのよ」
「それで、貴方たちの目的はなに?」
「無視しないでくれる?」と嘆息した一縷だが、鎌を構えるノルンに眉を顰め大きく諦観のため息をもう一度吐き切る。酸素がなくなりそうだ。
「……そうね、仕方のないことね。……一年間も逃亡しているなら知っているでしょ。この世界の征服よ。もしくは移住。昔からある戦争の原理と同じよ」
そんな事はわかっている。空からやって来た時にそう言われたのだから。けれど、私はそれに首肯しない。納得しない。一縷のスカーレットの瞳の奥を見つめる。その奥に隠されている秘密を暴く。
「…………はぁーわかったわよ。教えればいいんでしょ」と彼女は諦めた。たぶん、私には敵わないと思ったのだと思う。……それはそれで殺人鬼と思われてそうで悲しい。実際そうだけど、女の子的には。
一縷はロープにロールケーキにされているまま交渉に入った。
「私も詳しいことは知らないわ。情報漏洩は私自身の身の危険もあるのよ。情報を吐いたら私を生かしてくれるでしょうね」
「ええ、私の仲間として生かしてあげる」
「それは奴隷というのよ……それに、実質裏切り者ね。囚人のジレンマもいいところね」
何度目のため息の後、一縷は話し始める。
「そもそも私たちの世界の日本は、今は他国と協定を結んでるけれど、少し前までは独立国家……軍事国家だったのよ」
「…………つまり、どういうこと?」
「わからないなら口を挟まないでもらえる?はぁー……簡単に言えば戦争終結に日本は反対したのよ。愚かとしか言えないけれど、こっちの日本よりも戦争に力を入れては気取っていたのよ。その傲慢が欲をかいてイギリスやアメリカなどの大国に攻め込んだわ。その時にはもう終戦状態、不戦条約が各国で結ばれ始めている、そんな戦争終戦の時期だった」
「つまり、日本は世界を相手にたった一人で立ち向かったわけ?」
「そういうことよ。結果は知れてるわ。一週間も続かなかった。日本はイギリスとアメリカの植民地になったわ。軍事武力の撤廃、雇用契約とか色々あったわ。妥協の末に民間人の自由化も約束してくれたくらいよ。けれど、日本の一部、政治の方たちが内心認めなかったわ。彼らの傲慢は敗北を許さなかったのよ。話しに訊く限りだけれど、秘密裏に他国へのクーデター計画が進んでいたそうよ。その計画の首謀者がこの世界へ逃げてしまった」
「首謀者の逃亡?何があったの?計画の内容は?」
「さぁ、末端の私が知っているのはそこまでよ。とにかく叛旗するために重要な人物が逃げてしまった。その人を捕えるのが本当の目的らしいわよ。ま、私たちの世界もすでに滅んでいるから帰るに帰れないのよね。質が悪いでしょ」
一縷は蔑むすように笑みを浮かべ、直ぐに表情を抜け落とす。
向こうの状況などみな口を揃えて「逃げて来た」「移住」と言っていたが、そんな問題が裏にあったとは。私は内心びくびくしていた。だって、私たちみたいな一般市民には扱える問題じゃない。国際問題、いや空間まで超えて来たんだから宇宙問題?世界問題というわけだ。私は関わりたくないと本気で思ったし、今すぐ帰ってほしいとも思った。
「なるほどね、貴女たちのクーデター計画に運悪く巻き込まれたわけね」
「そういうことよ。憐れなんて思わないわ。私たちには等しく生きる権利があるのよ」
「…………」
「そんな胡乱な目しないでくれる?私だってやりたくて指揮官なんてやってないわよ。こっちも生き残ることで精一杯……いえ、別に私如きいなくもいいのだけれど……。そもそも戦争の激化はあなたたちのその妙な〝力〟にあるのよ」
それを言われたらぐうの音も出ない……。ノルンのお腹は鳴っていた。ぐぅ~。
とはいえ、私の力は異能に関係ない。私の力は私自身が一番憎んでいる。嫌っているし、その過去に歯の奥を強く噛んで血を出したくなるほどに。だから理不尽と思わずにはいられない。
「侵略してきた貴女たちと何も変わらないわよ」
「…………、……それもそうね」
ベッドの隅ではノルンはか細い寝息を立てながら既に眠っている。タオルケットを掛け彼女の隣に腰かけ髪を梳く。金色の河流のような長い髪。目元の髪を退かせて覗けば幼さの残る寝顔。これから成長していくであろう齢十五のノルン。そんな少女が人を殺している事実に、世界は変わり果てたのだと実感する。ふと、一縷が訊ねた。
「あんたたちはどうするつもり?ここもその内、私の仲間が確認に来るわよ」
「そう、ね……一先ずは明日になってからね。ノルンにはもう話してあるから彼女に従ってくれればそれでいいわ」
「?どういう意味よ。どうしてあなたじゃなくてこの子なのよ」
その問いに答えられることはなかった。ただ一つ、言えるのはこれくらいだ。
「明日の私は私じゃないわ。どうか驚かないで受け入れてね」
一縷は首を傾げて意味がわからないと眉をひそめたが、それも全部明日にならないとわからない。私の中にいる……いえ、私と時間を共にする『彼』に任せるしかない。
私たちは眠りについた。
・『赤い雫。選べなかった罪』
手を伸ばした。囁き声にそっと触れた。暖かな人肌が伝わってくる。
もうじき春がやって来る。雪の季節を越えて花の芽吹く季節がやって来る。
幼気な少女は両手いっぱいに喜んだ。
悪ガキの少年は母胎の温もりに心を和ませる。
勉強に明け暮れる少年は風に啄まれる桜を見上げ、後ろを歩く少女が綺麗ですねと微笑んだ。
仕事に追われる青年が憂鬱に花を愛で癒しを求め、キャリアウーマンの彼女は今年もやって来たと気合を入れる。
そんな彼女の隣を憑き物の取れた顔で花びらの道をスキップし、反対側から緊張気味の男の子が歩いて来る。
老夫婦が慈しむように街を歩き、犬を散歩させる女性があくびをする。
自転車で走り抜ける少年たち。新しい制服、スーツを気にする彼ら彼女ら。
そこは春がいっぱいだった。出会いと別れを繰り返す小さな幸せに満ちていた。
花が美しく、人は健やかで、陽気は少し冷たくて、でも人の温もりが世界を明るくさせた。
そこは誰もが笑っているような、そんな幸せに満ちていた。
しかし、唐突に降り注いだ光によって炎に包まれた。
痛みの叫びが迸る。悲しみの嘆きが喚起する。恐怖の渦が崩落させる。
幸せは突如終わりを迎えた。笑顔は炎に焼かれて死んだ。伸ばされた手は瓦礫に埋もれた。悲鳴は花が散るのと同じだった。美しいものは醜悪なものに変わってしまった。目に焼き付けた幸福は、直ぐに地獄の炎と慟哭に焼き付けられた。
この日、この世界から幸せは奪われた。
『―――――――』
これが〝彼女〟の記憶なのだと、僕は理解した。触れた手のぬくもりから記憶を除いた。慈しむ君と絶望する君の眼の姿を。炎の世界と嘆きの冷感を。
僕はゆっくりと眼を開ける。ずっと眠っていたような感覚で、あるいは僕すらここにいなかったような感覚。
目を開いた。視界はぼやける。白い世界だった。僕の目の前に誰かがいた。『彼女』だ。僕が一目惚れした彼女だ。驚く僕に君は告げる。
――ここは精神と空間の空白。深窓の世界。
首を傾げてオウム返し。
――貴方にはとある『力』があるわ。それは人を不幸にする力。けれど、貴方次第で幸福をもたらすことのできる力よ。
僕は繋がれていない方の右手を開いて閉じる。
――どうか思い出して。そして、抗って。貴方が生きていくために。
それはどういうこと?君はどうしてここに?畳みかける質問に彼女は何も答えない。
――時間がないわ。貴方が目覚める時よ。
待って、ちゃんと説明して、と僕は慌てるが彼女は僕から手を離す。
――彼女たちが導いてくれるわ。私も、今は貴方の味方よ。だから、恐れないで。
首を横に振ることもできず唖然と彼女を見つめる。
――願いを叶えて――思い出して――――
消えて逝く。違う。僕の視界がぼやけていく。待って、そう手を伸ばしてももう掴めない。
君はだれ?君は――
「――――――――」
最期に残った赤い光は命の珠のようだった。
「白乃……」
呼吸よりも先にその言葉を……その名前を呟いた。それが君の名前だった。
僕は身体を起こす……ことはなく壁に凭れて眠っていたらしく腰の辺りが痛い。うーんと背伸びをして寝ぼける目を擦りながら辺りを見渡すと一人の少女と目があった。こちらをものすごく怯えている、びっくりして見ている女の子だ。年は十五のノルンよりは上で、一目惚れした少女と同じくらい十七か八。ルビーレッドのハーフアップの髪と気の強そうなスカーレットの瞳が特徴的な豊なバストと綺麗な括れの女性がいた。なぜかロープでロールケーキ状態だが、それよりも気になったのが。
「風紀委員か生徒会長にいそう」
「第一声がそれって、あなた変な人ね!」
確かにと思った。彼女は不服そうに、ロープがなければ腕を組んでいそうな態度で僕をねめつける。僕はなんだか既視感を覚えたけど直ぐに忘れた。
「それって冒頭から主人公と敵対していてなあなあな出来事でなあなあな関係になるポジションでしょ?私が優秀で美人で秀でているところは同じだけれど、私はそんな安い女じゃないわよ。ええそうよ。値段が付けられないくらいに価値のない人間よ」
「情緒がヤバいな。けど、僕は君なら高額でいけると思う」
「胸を見て言っているなら、あなた殺すわよ。そして、私も死ぬわ」
「それって愛の逃亡劇だな。君とならいいかもしれない」
「そう、なら今すぐ殺させなさい。私もあなたを追って死んであげるわ。胸見くん」
「…………胸なんて見てません。すべて冗談です。はい、冗談です。……はい」
「その間はなにかしらね……はぁー……」
これ以上無粋な発言をしたらマジで殺されそうなのでお口チャック。
彼女に(胸)に一目惚れしました。殺されそうです。
「ん。起きたの」
そう、騒いでいると奥の扉からノルンが顔を見せた。その手にはお盆があり、缶詰が三つ乗っているというとてもシュールな光景があった。飲み水はペットボトル。
「おはようノルン」
「ん。おはようなの。お兄さんはどれにするの?」
「さば、ツナ、富士山頂の空気……えーとどれに……富士山頂⁉」
なんか一つ紛れてるんですけど⁉僕の驚きに「富士山頂?何言ってるのよ。そんなもの缶詰にあるわけないでしょ。富士山に登れば無料よ。販売理由がわからないわ。節穴かしら?」と、僕を苔にして退いてと覗き込んでくる。そしてこういうのだ。
「さば、ツナ、富士山頂の空気……富士山山頂⁉……ふざけてるの?」
マジでそれ。同意する他なかれ。思わず腕を伸ばそうとした赤髪の彼女だが、ロープで縛られており、前屈みになったことでそのままベッドに倒れ込む。僕は彼女を立ち上がらせる。
「へ、変なとこ触らないでよ」と威嚇する彼女に「保障できない……それよりも君の考える変なところってどこ?」と訊ねると彼女は赤面しながら「――っ!い、言わなくてもわかるでしょ!」とガルルと睨む。
ちょっとかわいい、いや大分かわいい。とにかく良い。癖になりそうな可愛さである。
変なところを触らないように気を付けながら身体を起こし、彼女の恥ずかしがった感謝を貰い、次に富士山頂の空気なる缶詰を手に取った。
「これは……なにが入ってるんだ?重くないし振っても何も音はしない」
「なら本当に富士山頂の空気なんじゃないの?」
その可能性は大いにある。缶詰に富士山頂の空気を詰め込んだだけの缶詰。……それは絶対に食べたくない!てか食べ物じゃない!でも気にはなるぅ。
「僕は――」
「待ちなさい!ここは公平にじゃんけんよ!」
なんか強い主張をしてきた。何言ってやがるこのアマ……と反論する前に「最初がグー」と言い出し、ノルンも慌ててお盆を片手に右手を出す。内心「あぁあああああああ」と叫びながら僕も構え。
「「「じゃんけん……ポン!」」」――「パー!」
結論を言えば、声を出すしか方法のない赤髪の少女が負けた。反射的にチョキを出してしまうものだ。で、僕が缶のブルタブを開け(爪が痛い)彼女の口元に持っていく。楕円形ではなく筒状の缶から空気を味わい……「アルミのにおいしかしないわよっ!」と激怒した。結論、富士山頂の空気は酸素とアルミのにおいだった。
その後、ノルンの好意で食べられる缶詰を僕たち三人で仲良く食しながら(彼女にあーんをして羞恥大会をしたり、最終的にノルンが食べさせ屈辱と涙目な一縷だった)、僕は昨日のこと……僕が眠っている間に何がったのか説明を聞いた。
ノルンと僕の夜の姿?と言えばいいのか、僕じゃない僕なる少女によってルビーの少女――一縷のアジトを強奪。指揮官である一縷を捕縛し、襲撃の本来の目的を訊きだしたとのこと。世界のあーだこーだは二割くらいしか理解できなかったけど、つまるところ軍国主義ならぬ軍閥政治というわけだ。上層部だけの決定なら独裁政治とかもあり得るわけだ。
で、相手の狙いは他国を制圧するための計画を唯一知る首謀者の回収らしい。オーバードーズみたいだ。風邪薬でも死ぬんだから。それくらいにてんこ盛りで危険もりもりだ。
「つまり、僕たちが生き続けるにはその首謀者を先に確保しないといけないわけだ」
「ん。お姉ちゃんもそう言ってたの。その人間を使って脅すしかないの」
「なるほど……なら、君は人質として役に立つわけだ」
「…………何が目的?やっぱり私の身体なの?えっち」
「そそられるからそう言うことは言わないでもらえませんか。君の胸には一目惚れしたけど、僕は心に決めた人がいるから、くっ!惜しい!」
「いや、私の胸に一目惚れってなによ……変態ね。それよりもあなた恋人いたの?」
「ぐはっ……き、貴様ァ……なんとぉ、いうくっ……」
「……ふ、ふふ!なるほどね。フラれたわけね、あなた。ご愁傷様」
「ぐはっァアアア⁉」
夜霧くん大ダメージ。効果は抜群。一縷による先制攻撃。
「ふふふふふふふふ!あははははははは!」
「ぎゃぁらふらしゃららららららぁああああああああああああああっ――――」
夜霧くんは一縷の一撃必殺の罵倒によって倒れた。がく。ゲームオーバーァ。
「…………」
「それよりも、あなた何者なわけ?」
それよりもって酷い。てかすごく軽く流された。ちょっとはその胸で慰めてほしい……なんてことを考えていると睨まれたので訂正します。僕、元気です。
「あなた昨日の夜は暗殺者丸出しの女性だったのに、突然光ったかと思えば今のあなたになって……それもまったくの別人みたいだし、なんなわけ?」
と、言われた僕自身答えようがなかった。恐らく、その夜の彼女であろう女の子との夢は記憶に残っている。それに、僕自身、自分の能力がどういうものなのか少しずつわかってきたところだ。僕は単に死なないだけじゃないみたい。恐らくそこに正解があるはず。
「僕もはっきりとはわからない。もう少ししたらわかると思う」
「そう、曖昧ね。ま、散々変な力を見て来た今じゃ、馬鹿みたいに驚かないわ。その子もわたしの知る人間とは違うみたいだしね」
視線の先にはきょとんとしているノルンがいる。人形のようなノルンは愛らしいが、その実、死神の鎌のようなものを持って惨忍に人を殺す天邪鬼なわけだ。僕も間地かで見ていたので、一縷の言いたいことはわかる。名称をつけるなら【死神】がピッタリだろう。
「ん。この鎌は突然手に入れたの。異能なの」
「ふーん。ま、何が起きても不思議じゃないわ。それが世界よ」
僕は少し驚いた。見た目や語り口調から異能だとか超能力なんかは真っ先に否定するタイプの人間だと思っていた。理由を求めたり、理屈然な人だと。それこそ生徒会長や風紀員といったのはそういうお堅い感じがしたからだ。僕の見解に予想でもついたのか、一縷はロールケーキ状態のまま言い放つ。
「この世界で、何が起きても不思議じゃない――それが私の辿り着いた真理よ」
不敵に微笑む一縷を僕は心からカッコイイと思った。
「縄に括られてなかったらもっとかっこよかったし、惚れてたかもだけど」
「別に、恰好なんて意味ないわ。あなたが私に惚れるのは自由だけど、胸だけに発情するのはお断りよ」
「なら、君の好きな異性のタイプは?」
「…………そうね、敢えて言うなら――抗い続ける人かしら」
僕は一縷を縛るロープを解き彼女を自由にする。混乱、驚愕、訝しむ一縷。
「……僕はこれでも君を好ましく思ってる。それに、君はもう僕たちの仲間だ。人質にはなってもらうわけだけど、拘束しなくても大丈夫だと思った」
「……裏切って逃げるかもしれないわよ?言っておくけど、あなた程度ならすぐ殺せるわ」
「残念ながら僕は死なないらしいし、逃げようとしたり反抗したらノルンがなんとかしてくれるさ」
「ん。逃げたら殺すの、捕まえるの、やっつけるの」
「…………私はあなたが死なないことに驚けばいいのかしら?それとも天使のような愛らしい少女が殺人宣言をしていることにツッコめばいいのかしら?」
「あと三割くらいは僕の心が苦しいから。まー縛ってるほうが胸が強調されて見ている分にはいいんだけど……」
一縷はもう頭が痛いと今まで以上に一番大きなため息を吐いた。僕は他人事のようなに気の毒だと思う。
あと、殺意の眼差しで僕を見ないで?僕に向ける眼差しは愛情か恋慕のどちらかでお願いします。
とまあ、話しが纏まったところで僕は立ち上がる。
「それじゃあ、パラレルワールドの首謀者を倒しに……じゃなくて、捕獲しに行きますか」
「ん。私、頑張るの」
「……はぁーわかったわよ。それに好都合ね」
「?」
こうして、死ねない僕こと夜霧と、死神の少女ノルン、パラレルワールド人の巨乳一縷がチームメンバーとなり生存権を賭けた任務に挑
ありがとうございました。
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