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生まれることも飛ぶこともできない殻の中の僕たち  作者: はるかず
第二章

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40/40

第40話 たまごの章 完結

 ピヨは優しい夢を見た。

 成長して大きくなった4匹のレアール、ポポ、アデリー、そしてルヴナン。

 みんな体が今より一回り大きくなって、羽が生えそろい、鳥らしくなっていた。

 ピヨも黄色くて逞しい鳥に成長していた。

 共にカワウソ叔母さんのお弁当を囲んで、旅の話をしている。


 ピヨは大きな旅を終えた実感で、自信が湧いていた。

 そして、ずっとこうやって旅をしていたいと思った。

 次はどこへ行こうか、そうみんなに話しかける。

 みんなが言う、空を飛んで、大きな水を越え、世界の端へ飛んでいくのだ。

 空。ピヨは高く飛ぶ自分を思い、大きな夢を胸に感じた。


 その日、ピヨは穏やかに目覚めた。

 まだ涼しい朝の空気と共に、朝日が草原の向こうから上がって来る。

 周りを見渡すと、ルヴナンやレアール、ポポやアデリーも寝ていた。

 さっきまで、彼らと大きな夢を見ていた気がする。

 その夢の続きのようなみんなを見て、ピヨは胸に大きな大志があるのに気づいた。

 いつか、彼らと共に遠くの空を冒険し、あのお弁当を囲みたい、と。

 朝日が輝いて、ピヨの顔を照らす。


「レアール、ポポ、アデリー、ルヴナン。先に行っちゃうよ!」

 ピヨが大きな声を上げて、みんなを起こすと、朝日へ飛び出していった。

 先に起きたレアールが慌ててピヨの後を追おうとして丘から転んだ。ルヴナンが何が起こったか動揺しピヨの事を必死に呼ぶ、アデリーがポポを一生懸命揺らして叩き起こした。ポポは起きない。


「ピヨが僕を置いてくなんて?!」

「まってーー! ピヨーー!!」

「もう! この子、全然起きないわ!!」

「顔を叩かないで~~」


 ピヨはUターンして、引き返してきた。

「ごめん、ごめん、やっぱりみんな一緒じゃないとね」

 それに対して、アデリーが憤慨し、ルヴナンは泣き、レアールは度肝を抜かれていた。ポポは頬をはらしている。

「僕、分かったんだ。自由の谷は、空を飛ぶ鳥達がいる谷なんだって。だから、空を飛ぶ様に丘をかけて見たかった」

 その言葉に、4匹は驚いた。自由の谷がどんな場所か、分からなかったからだ。

「だから、みんなと自由に空を羽ばたいて、そしてお弁当を食べたい」

 てんやわんやした後で、今度はピヨの言葉に4匹は嬉しくなった。

 いつか、またこうやってお弁当を食べ、星空を見て、朝日を迎えるのだ。

「みんなでお弁当を作ろう」

 その言葉に、アデリーは魚を捕ると言い、それに対してルヴナンは泳ぎ方を教えると言った。ポポは木の実を拾うと言い、レアールは虫にチャレンジしないかと茶化した。

 ピヨは包むための木の葉をあつめ、みんなの材料をよそってお弁当を作った。

 立派なお弁当ができて、朝ごはんを迎える。

 ほぐした魚に、砕いた木の実、そしてちょっとグロテスクな虫が動いていた。

 みんなで笑いながら、これからの旅の事を話題に、お弁当を食べたのであった。

たまごの章 完結です。

たくさんの感想と応援、お待ちしております。

次回は「雛の章」になります。よろしくお願いします。

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