第38話 星に願いを
丘の上の大きな樹の下、5匹は星空を見ながら、円を描いて寝転がっていた。
そんな五匹の上を、星がキラっと空を落ちて行った。
ピヨが目をまん丸にして、その現象に驚く。
「ねえ、あれはなに?」
アデリーがくすくすと笑った。
「知ってる。流れ星。星が空の上を流れていくの」
彼女は親から聞いた知識で言った。
「しってるかい? 流れる星に願いを言うと、叶うって」
ルヴナンが星空を翼で仰いで言う。
そのロマンチックな言葉に、アデリーは嬉しくなったようだった。
もう一度、流星が流れる。
アデリーは一生懸命、願いをつぶやく。
両親に会えますように、と。何度も、何度も。
その横で、ご飯の願いを唱えながら、ポポはグーグーと寝ていた。
ピヨは、ふと、親について考えた。
うるうると、つぶらな瞳が潤んでしまう。
お母さんと兄弟、僕を置いて行った家族たち。
僕の家族は、僕のことを覚えているだろうか。
ルヴナンが、歌を歌い始める。
目をつぶって きれいな夢を見よう
夢にも夜空が見える きれいな星々が 願いを聞いている
旅をするものに 安全を
星を頼りに 生きる僕たちよ
夢の星々も 願いをかなえる
果敢に戦い 生きる力を持った 僕たちの為に
旅を行くものに 勇気を
星に願いを 生きる僕たちよ
そう歌い終わると、星を見るのに満足して寝たレアールの寝息と、アデリーの願いつかれた寝息が聞こえてきた。ピヨは残されたように、星空を見ていた。
「寝れないのかい?」
もう一匹、歌い終わったルヴナンがピヨに聞いた。
ピヨは頷いた。ルヴナンと二人っきり。星空が輝いている。
ルヴナンが、ピヨの方を向いて、語り始めた。
「ピヨ、僕はね。君に助けられたとき、気づいたんだ」
ピヨが勇気をもって生まれた時のことを、ルヴナンは懐かしそうに言った。
「美しくないと愛されない呪いを、お母さんにかけられていたことを」
それは残酷な呪いだった。でもピヨも気づいていた。
「でも、美しいものは世界の外ある。僕は外の世界に美しさを見出した。それは君の勇気のおかげだ。だから、生まれることができた」
ピヨが力を振り絞って生まれた勇気が、ルヴナンに勇気という美しさを教えた。
「僕は、僕以上の美しいものを見つけたんだよ。だから、呪いに気付けた」
そして、深く深くルヴナンは寝ながら頭を下げた。
「ピヨ、あの時は言えなかったけど。感謝を、ありがとう」
ピヨは体の羽がふわりと優しく浮いたような感動に包まれた。
生きてきて懸命に戦ったことはあったけど、生まれるための力に自分がなれていた。それは生きる強さを人に与えられた強さだ。
ピヨは一筋の涙を流した。
かけがえのない力に気づけた喜びだった。




