第36話 ポポ
ピヨ、レアール、ルヴナン、アデリーは一緒に川の上流へと到着した。
そこは、ピヨ達がカモメと戦った付近だった。ゴツゴツとした岩場があり、足がとげとげと刺さって痛みを感じる。それくらい尖った石が散乱する中、一つ大きな岩が川に向かって斜めに突きだしている。
「ここだよ。この斜めに突きだした岩から飛んだんだ」
レアールが指さした岩。しかし、斜めになったところから、すぐ下は真っ直ぐに切り立っている。その切り立った岩の下に、大きな卵の殻の残骸が散らばっていた。
ルヴナンが神妙そうな顔をして、殻の一部を取った。
そして、頭を振った。
「そんな……」
アデリーが顔に翼を当て、ショックで何も言え無くなってしまった。
ピヨは何か希望がないかと、ルヴナンの持つ殻をよく見た。
「でも、ケガをしたようには見えない。もしかしたら……」
赤い怪我の跡がないことから、ピヨは生きている希望を伝えようとする。
「やめてよ! ポポは……ポポは……もう」
レアールは限界を感じ、翼を握りしめた。
「おぉ~~い」
気の抜けたこえと、ぽよんぽよんと脂肪の揺れる音がした。
死んだはずのポポが丘の上で体を上下させている。しかも、生まれた雛の姿で。
さらに、いつ森から回収したのか分からない、ピヨ達が持っていた草でくるんだお弁当をもっていた。
「ここは気持ちいいよ~~! 木陰があって、ひんやりしてるんだ~~」
ピヨが地面を見ると、転がって来た地面の傷の跡が丘へと続いていた。その線の上にポポが手を振って待っている。横には大きな木があり、日を遮るためには丁度よさそうだった。
「ポポーー!!!!」
レアールが走り込んで、ポポのお腹をどついた。
「う~~あ~~」
大きくどつかれて、ポポは大きく身体が傾き、お弁当を宙へと飛ばした。
ルヴナンか駆け込んで、お弁当をキャッチし、嫌そうな顔で泥だらけになっていた。
「なんて、もう。心配させて!」
アデリーが怒り出し、怒りながら泣いていた。
ピヨはホッと息を付き、肩を落とすと、後ろを振り返った。
そこは、先ほどカモメと死闘を繰り広げた川だった。大きな急流がどうどうと音を立てていた。あそこで、ピヨ達は戦ったのだ。
ピヨは、今自分たちがこうやって生きている事が奇跡のように思えた。
ピヨは振り返り、みんなに大きな声で話しかける。
「みんな、許してあげて! そして、木陰でお弁当を食べよう!」
騒いでいた3匹は、ピヨの方を見て顔を見合わせると、笑った。
みんな、緊張から解放された笑顔だった。




