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生まれることも飛ぶこともできない殻の中の僕たち  作者: はるかず
第一章 お誕生日おめでとう
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第19話 白鳥の泉

 ピヨとルヴナンが木が中央に立つ、白鳥の泉にくるとフクロウが木の上で出迎えてくれた。

「泉に浸かり 木に祈ってまつ ホッホー! そしたらついに白鳥だ!」

「わかった……言う通りにしよう」

 ルヴナンは泉の浅瀬で水に浸かると、じっと小さな声で祈る歌を歌った。

 ピヨが泉の前で見守っていると、後ろからレアールが叫んで転がってきた。

「白鳥の泉なんて嘘だ! 蛇の餌にするためにフクロウが仕込んだんだ!」

 それを聞いた2個のたまごがハッとなってレアールの方へ振り返る。逃げられるのを察知したフクロウが翼を広げた。

「バレては仕方ない 逃げられる前に そこの白いのを蛇様に 捧げる ホッホッ!」

 音もしない旋空でフクロウが脚でピヨの殻を捕らえた!ピヨは木の高さまで飛び、目を回しそうな勢いで揺すられる。

「ピヨーー!!」

 ルヴナンの悲痛な声が聞こえる。

「ぅぁあッ」

 ピヨの真っ白な頭に言葉が浮かんだ。


 このまま

 ここで死ぬのか

 ルヴナンを助けられずに

 なら

 割れたって構うものかーー!


 バキバキッ

 殻の割れる音がして、フクロウの脚から飛出したピヨ。高い空から見下ろし見えたのは浅瀬にいるルヴナンと、そのたまごを食わんとする蛇の影だった。

「ルヴナンに手を出すな!!」

 ピヨはそのまま急降下し、襲いかかろうと頭を出した蛇の目にキックを食らわせた。

 ギャァアアッと蛇は悶絶し、その場に倒れ伏した。

 水しぶきが飛び、蛇が倒れ伏した勢いでルヴナンは泉の奥へと飛ばされた。

 死のような冷たい泉の水の奥深く、勇敢なピヨの声を思い出しながら、ルヴナンは沈んでいったのであった。

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