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生まれることも飛ぶこともできない殻の中の僕たち  作者: はるかず
第一章 お誕生日おめでとう
12/33

第12話 温泉

ころころと三つの卵が美しくなる泉を目指し旅を続ける


その日、さらさらと何かが流れる音をピヨは聞いた

泉だ……!とルヴナンが言った。泉とは何だろうピヨは聞き返す

泉が水がたくさん集まったものとルヴナンが答える

そう言えば、ピヨは美しくなる泉がどういうものなのかも知らなかった

その様子に、あははっとレアールが小ばかにして笑った


「水を知らないの?」


レアールは囀るように語る


空から雨が降り、ぽたぽたと雫が落ちる

それが水 水は粒が集まって大きな流れとなる

流れがさらに集まって 水たまりになり

さらに さらに 大きな水が泉になるのだ!


ピヨはその語りにキラキラと夢想像を働かせた

小さな何かが巨大な大きなものになる

どんどん集まって粒が大きく、卵がむくむく大きくなるように

それは未知なる不可思議さを持った自然の営みのように思えた

早く行こう――! ピヨは期待に卵を膨らませ、二人を置いて飛び出した

ルヴナンの待つんだ!という声を置いて

さらさらと音がする泉の方へと転がっていく、ピヨ


どぼん


ピヨの体に突如、大きな音と落下したような浮遊感が襲った

何か体がぐつぐつと熱くなっていく

お日様から感じる温かさから、痛みのような刺激へと変わる

助けて――! ピヨは自重でずるずると痛む熱さの中に落ちてゆく


もうだめだと思った時。ひょいと軽くなり、ころころと大地の上に転がされる

のっそりとした声の持ち主はピヨの卵をふんふんと嗅いでいた

ピヨを助けた彼は自分の事をカピパラと名乗った

君たちは卵だからそのままはいったら、ゆだっちゃうと忠告するカピパラ

ゆだる と言われてピヨは卵をかしげた

ゆだるとは、なんだろう? 卵はゆだるものなのだろうか


ともかくピヨは助かった。突然の不可思議な熱さが卵から抜けていく

追いついてきたルヴナンとレアールが、カピパラにお礼を言っているのを聞き

ピヨは申し訳なさと、初めての水の怖さを知ることとなった

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