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6.世界観〜地名

 実のところ、地名を考えるのはちょっと億劫です。響きだけで適当な名前を付けたり英語でわかりやすい名前にしたりすると、かえってスベるかもしれません。カタカナの固有名が色々出ると、自分が読者だったら覚えきれないし、「王都」「隣国」「遠国」「沿海連邦」とか立場がわかる呼び方だけで済ませたかったです。未だに「王都」の正式名称は(候補はあるけど)決まってません。


 とは言え、さすがにメイン舞台の国名は主役王子のフルネームにもなる(王族は姓を持たないかもですが便宜上)ので、付けないわけにはいきません。王子様のフルネームになると思うと、安直には付けられない気がしました。

 英語やドイツ語など、日本人にとっての外国語から付けたとしても、言語がわかる人から見たらおかしな単語チョイスになってるという事態は避けたい。


 結局、これはなろう小説なんだし一応ファンタジー(のはず)なんだし、とエルフ語にしてみることにしました。その道の人には単語チョイスがおかしいと思われる可能性は依然ありますが、英語話者に比べればエルフ語話者は、気にするだけ無意味と言える程度には格段に少ないはずです。


 自分もエルフ語は全然操れませんが、単語を調べながらいい感じの意味と響きを選んでいき、主舞台の国は「ガレンドール」(緑の大地)となりました。国土が広くて土地も豊かそうですね。DやGなどの濁音が入ると、いかにも大国らしいどっしり感が出ます。


 ガレンドール国内でもエルフ語でない地名はあり、ハイリッジ公爵領もその一つで英語由来です。9話での主人公の説明からすると、むしろその方が一般的と思われます。いや、そうであってくれた方が作者が楽なので。

 ハイリッジは元々アナスタシアの姓として考えたのですが、高嶺の花的な意味でhigh+ridge。でも14話③で描かれた風景ではなだらかな丘陵地帯です。おそらく大半は丘陵だけど領内のどこかに象徴的な高嶺があるんでしょう。


 遠国トスギルは、物語の中心地とは距離があって文化や価値観にかなりの隔たりがあるという位置づけです。気軽に行き来できない国。交流するには…その…遠すぎる、から…すみません安直に付けました。スピンオフであんなに連呼することになるとは。


 隣国アルクアは、ガレンドールのすぐ隣だし特にこうしなければというこだわりもなかったので、白鳥という意味の単語を選びました。

 名付けてみると裏設定が生えてくるもので、白鳥と名付けるほどなら湖など水源豊かなのかな?→水を利用した文化が独特に発達してるかも→レオナール君の趣味はレガッタ(6話③)とか、人名はフランス風だけど同じエルフ語由来の国名→かつては同じ民族だったかも、など色々思いつきます。

 また、ガレンドールに隣接するニケ伯領は、雪を意味するniqeで、本来の発音はニークェとなるらしいのですが読みづらいので日本語に馴染むよう転訛しています。


 なおトールキンのエルフ語には、ほぼ神代の頃から使われているクウェンヤ語と、比較的新しい時代のシンダール語とがあります。

 ガレンドールとアルクアで命名された地名は適当に名付けていたのですが、たまたま前者がシンダール、後者がクウェンヤだったことから第二部で活用することに。多少の混在さえうまいこと設定に織り込めて、最後まで伏線として役に立ったのには我ながら驚きです。


 フィニークはペルシア語です。シェヘラザードの出身国という設定で、「シェヘラザード」はペルシアの人名なので国名も合わせたわけです。海洋国であることから、フェニキアを元にしてます。文化は雑多ですが。


 第二部でも、引き続き地名を明確に出すのは避ける方針でした。主人公は一時的にしか訪問しないので、固有名をわざわざ付けてもしょうがないなと思ってたんです。

 が、10話と11話では出てしまいましたね。

 10話は、端役たちがその立場上勝手に地名を呼んでしまいました。いや、呼ばなくても済むような台詞回しにできなかった自分のせいですけど。登場した地名と伝説の人物名は、両方合わせてこの回の世界観の元ネタもじりです。

 第二部は、8話はチュートリアルですが9〜11話は次第に古い世界観・システムへと遡っていくような演出を狙っていて、最後の11話は昔のSFとかSF史を知ってる人を笑かすためだけに名付けました…。なお、かっこよさげだからと「古王国」と名付けてみたところ、「古」って何が古いの?古王がいるなら新王もいるの?など、設定掘り下げのきっかけになりました。


 意味を込めて名付けることもありますが、逆にそこからさらに設定が詳細化されてゆくのは、なかなか面白かったです。


――――――――――


※エルフ語の単語は、以下のサイトの「エルフ語講座」を参考にさせていただきました。

クウェンヤ、シンダールの区別もされていて非常に参考になりました。誠にありがとうございました。


The Wind in Middle-earth ミドルアースの風  トールキンの世界

http://www5e.biglobe.ne.jp/~midearth/index.htm

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