17 スピンオフ①『背のび従者は元聖女のスローライフを見守りたい』
本編完結後、いくつかスピンオフを執筆して公開しました。今回はそれらについてのお話です。
■背のび従者は元聖女のスローライフを見守りたい 〜なのに遠国の傲慢王子が彼女を連れ戻しに来たので偉い人たちに頼ります〜
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本編の3話シリーン編の後日談。当時見かけた「追放された聖女」ものでは、追放した偉い人が反省はしないが聖女を追いかけてくるという展開がよくあったので、この話でもそんなイベントがあったことを5話(エリカ編)で適当に言及していました。それ以上の気はなかったのですが、7話(越境)で、アーノルドが自分が知ってる魔法の引き合いにシリーンを出したので、ひょっとしてちょっと説明しないといけないかな?と思い始めました。
また、第二部で成長していくアーノルドですが、第一部では本来どの程度の実力だったのか、頭脳もバトルもあまり見せることができていないと気づきました。そこで、「魔法」と「アーノルドの実力アピール」を目的としてこのスピンオフを書くことにしました。
本編と同様に手元で完結まで書き上げてから公開すると間が空きすぎると思い、この作品では4〜5話書き溜めたところで公開を始めました。公開しながら書き溜めを進めていく予定でしたが、すぐに間に合わなくなりました。理由は、魔法の設定がすごく説明しづらいことと、苦手な政治劇の要素があったためです。大まかな展開は一応決めていたものの、細かいところで公開済みの部分と矛盾が出ないように語っていくのはちょっとキツかったです。やはり私は、最後まで書いてから公開するほうが性に合うようです。
で、アーノルド君は目論見通りかっこよく活躍できたのかと言うと……ルスタムをからかったり相手国の王子を歯ぎしりさせたりと、作者的には痛快だけど読者的にはちょっとイヤな感じかもしれないですね。バトルでは邪魔が入ったりしてあまり圧勝というふうにはなりませんでした。後ですね、中盤あたりかな、シリーンの身に危険が及ぶのではとみんなで予想してるシーン。アーノルドちょっと考えすぎじゃね?と作者としてもちょっと思いました。ああいう発想になるところ、彼もやっぱり年頃なんだなと。まあ理想論をブチ上げたりアナスタシアにたしなめられたりと、青さがあるところなどと総じて第一部の頃の彼らしいかも。
ヨハン視点の話になったら、シリーンが何を考えているのかさっぱりわからない風になったのはちょっと困りました。無口だし急場でフリーズするし、そんな子をヒロインとして扱うのは至難の業ですねえ。ヨハン君の純朴さで何とかなってる感じ。
ヨハン視点では話の見通しがあまりにも悪いため、公開中に追っかけ陣営のキャラとしてルスタム視点でのエピソードを挟むことを急遽決めました。メリハリが出てよかったですが、次第に尺が長くなったり、後からイベントを思いついたせいで一本おまけ扱いになったりと、これも走りながら考えるスタイルの弊害でした。
タイトルは、着想時期につけた仮題は採用せず、公開時にもいいものが浮かばず、とりあえず主役二人の髪を由来に、かつ東方っぽいイメージを持てるよう「絹とオレンジ 〜聖女と従者の第2章〜」としてました。しかし、だいぶ意味不明だなーとずっと思っていたので、カクヨムに移設するタイミングで現在のものに付け直しました。流行りのあらすじタイトルですが、とくに志の高い作品でもないので、まあいいと思っています。
なお、4話ディアーヌ編も、やはり5話と6話で後日談の言及がありますが、こちらはもっとじめついた宮廷陰謀劇の気配がするので絶対書かないことにしました。名前も出てこない隣国の第一王子とか、アーノルドが貿易の手筈をどう整えたのかなど気にすれば気になることはあるものの、宮廷陰謀劇なんて様々な利害関係者の思惑が絡み合い暗躍暗闘がひっきりなしという印象ですよ。私にはとても無理です。