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14.AI

 この作品のコンセプトの一つは、「ファンタジーと見せかけてSF」です。一見、ファンタジーにしか見えない世界観だけれど、実はSFとして説明されるべき世界構造であった――という建て付けにしたく、そのSF要素として「AI」を使うことにしました。


 すごくぼかして言うと、この作品は機械に支配――というほどでもないですね、『機械に完全に管理された世界の中で進行する物語』です。発想自体は全然新しくなく、昔は「ロボット」「コンピューター」などと呼ばれた支配者が今は「AI」に代わっただけです。AIがどのように世界を管理しているのか、何のために管理しているのか――逆に言うと人間はAIになぜそんなことをさせているのか、の真相は「Appendix 開発秘話インタビュー」で詳しく述べられています。(このエピソードも作品の一部です!)


 初期のアイデアは、AIを具現化したキャラクターには目的/使命/願望があり、それは、プログラムによって表現される疑似的な自我ではなく本当の自我を確立することでした。どうしてもキカイなので人間に並ぶ存在にはまだなれず、何とかして人間らしくなりたいと考えている、という設定。


 じゃあAIは現在どの程度人間に近づいているのか、というところは押さえておかねばなりません。話を構想していた2022年当時、AIは実質的には「高性能な検索エンジン」というイメージを私は持っていました。対話しているように見えるものも、事前に登録した文の中から選択しているに過ぎないと。だから創造的な文章を書く能力はそれほどでもないかなと思っていたのです。

 とは言え、「AIに書かせた小説」もちょっと話題になっていたりして、検索エンジン以上の仕事もできるらしいことは把握していましたが、まだ半信半疑という状態。


 2022年は、夏頃に画像生成AIが話題になっていました。「こんな絵を描いて」と言えば指定された要素や画風で画像を生成してくれる。ただ、本当に思い通りの絵を描かせるには、プロンプト(指示文)をかなり工夫する必要があるなどと言われていました。それは門外漢から見ればまるで呪文のように複雑かつ規則性のある単語やフレーズの羅列でした。AIに絵を描かせるには、その前にプログラミングを勉強しないといけないのでは!?などと勘違いしてしまうくらい。


 文章生成AIについては、AIのべりすとなどを改めて調べてみて、かなり自然な文章を書けることがわかりました。しかし長文になると矛盾が生まれてくるようで、AIに書かせた小説に突っ込みまくるというノンフィクションも見かけました。そして文章生成でも、制御するにはやはり呪文のようなプロンプトが必要です。


 といった状況を踏まえ、SFとしてAIを扱うならこの延長線上にあり、かつ進化した能力を持っていなければならないと考えました。それで、矛盾のない文章を書けるのは当然ながら、(呪文のような)「プロンプトがなくても意図通りの文章を出力できる」「何ならプロンプトさえ自分で決める」といったあたりに水準を設定しました。そして、それでもまだ獲得していない能力が、「人間のように(自発的に)思考する」「感情を持つ」であるとしました。


 これを踏まえて、AIを具現化したキャラクターやAIを制御する者の言動や目的を詰めていきます。


 具体的な仕様――どういう機能を備えているか、その名称までを決めたのは、すでに執筆も終盤に差し掛かる第14話あたり、時期で言うと11月初め頃のことでした。

 エピローグも書いて「開発秘話インタビュー」も書き上げてついに完成、そしてなろうで公開をスタートしたのが11月19日。以降は毎日2回更新です。


 何で日付をいちいち書くかというと、こうして公開を続けている真っ最中の2022年11月末、ChatGPTがリリースされたからです。ChatGPTは会話を継続できるためか言ってることの矛盾が起きにくく、小説的な文章を書かせれば従来のサービスよりも自然であるように見受けられました。ただし、事実でない文章を生成してしまう「ハルシネーション」という弊害も起こします。

 私が「開発秘話インタビュー」で20年くらい未来に実現されるだろうと想定したことが、もう今にも達成されたのではないかと焦りました。

 でも自律思考なんてまだ実現なんてされていなくて、やっぱりプロンプトがものを言う点は変わりありませんでしたが。

 「開発秘話インタビュー」の記事日付は、何度か繰り上げたり繰り下げたりとおろおろしてました。何なら2020年代のうちにそこまで到達するのではと浮足立たせられたのです。結局、現在は「20XX年」で落ち着きましたが。


 もしChatGPTのリリースが数ヶ月早かったら、本作でのAIの設定は違うものになっていたかもしれません。


 2024年現在も、AIに高品質な出力をさせるなら詳細なプロンプトが必要です。呪文ではないですが、業務内容を背景を分かっていない新入社員に指示を出すようにプロンプトを書くのがコツだそうです。

 いくつかのAIチャットサービスでは、一度回答すると、関連質問を提案してくるので「何ならプロンプトさえ自分で決める」は半分実現しているのかも。でも「AIはあくまで提案のみで、選択の主体性はあくまで人間側にある」というスタンスが望まれているようなので、全部よきにはからえ、とはならないでしょう。


 LOGOSみたいなAIができたら、テンプレ小説を人間不要で量産できるようになるでしょうか? 今すでに、AIを使って創作小話の量産はできるようですし。今後も1年2年で状況はガラッと変わりそうです。

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