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吸血鬼の地味な日常  作者: 護道綾女


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第3話

 宵闇が迫る頃、スイサイダルパレスの前に一台の馬車が止まった。長身痩躯で灰色の髪の男で仕立ての良い漆黒のウェストコートを身に着けている。男は御者に金を払うとスイサイダルパレスの門番に向かって軽く手を上げた。門番は軽く会釈をした後襟元のゴルゲットに向かって何か呟いた。ややあって、店の扉が開き男は開店間近の店内へと招き入れられた。


 開店に備え身だしなみを整えているジョニー・エリオットの元にロマン・フェル来店の知らせが入った。

「わかった。上に通してくれ。飲み物?水だ。ピッチャーに満タンの水。そうだ。それでいいんだ」

 フェルはエリオットがクラヴァットを整え終わらない内に戸口へと現れた。

「ごきげんよう、エリオット」

「こんばんは、フェル博士。奥の部屋にどうぞ」

 フェルはエリオットと共に奥の部屋へと入った。そこにはエリオットと客以外はいることはない。ソファーとテーブルしか置かれていない内密の相談を受ける殺風景な部屋だ。

 用心棒のライデンが給仕から受け取った水とグラスを持ち部屋へと入って来た。

「俺はしばらく留守だ。いいな」

「了解」

 それだけのやり取りでライデンは去っていった。

「楽にしてくれ」

 フェルはエリオットの対面に座ると、灰色髪の男から浅黒い肌で黒髪の女アイリーンへと姿を変えた。エリオットはアイリーンが人ではないこと、力のある魔導師により作られた人形であり、その姿を自由に操ることができることを知ってはいるが、実際にそれを目の当たりにすると気持ちは穏やかではいられない。

 本物のフェルはアイリーンの「お袋さん探し」のために雇われたが、無駄な欲を出したため仲間ともども死ぬことになってしまった。今は彼の身分に利用価値を見出したアイリーンが帝都での姿として利用している。ごろつき同然の落ちぶれ貴族であっても、よそ者の女の姿であるよりは何かと動きやすいためである。今、彼は新規事業への可能性を模索するエリオットの新しい顧客として扱われている。

 アイリーンに戻ってすぐ彼女はグラスに水をなみなみと注ぎ、一気に飲み干した。それもじつにうまそうに、厨房が間違えて酒を注いだのではないかと訝りたくなるぐらいだ。

「うまい水だ」彼女は全ての生き物の心が読める。それはラクダや馬、人であろうと変わらない。そのため彼女と付き合うには誠実さが一番大切である。

「空中庭園の件で何か動きがあったようだな。聞かせてくれ」とアイリーン。

「帝都の連中が、あの錬金術師モーテン・ブロックの研究所を爆心地で発見したらしい。あんたが目指していたという場所だ」

「ほう、それで天空へ至る道。空中庭園への進入路は見つかったのか?」

「それはわからん。現地で一時引き上げとなったらしい。ところで空中庭園ってのは空にあるのか?」

「そうだ。空に浮かび船のように移動する。そのために名前に空中の文言が付いているのだ。わたしと最初にあった時、そのような話をしなかったか?」

「よく覚えてないな。話の流れであんたのお袋さんを探すことになったことしか、あの時はすっかり混乱してたからな」

「そうだったな。まぁいい。今回呼んだのそれだけではないのだろう。先を続けてくれ」

「アイリーン、あんたが外に出られたっていう地震で研究所も姿を現した。それを知った帝都は大急ぎで調査隊を仕立てて現地に向かった。そして調査の結果そこがモーテン・ブロックの研究所であることが分かった。何があって引き揚げたのかは知らんが、調査隊は大量の物品も持ち帰って来た」エリオットは立ち上がり室外へと出て行った。「ちょっと待っててくれ」

 彼は手に紙束を持ち戻って来た。

「これがその時に持ち帰って来たお宝の目録だ」

紙束をアイリーンが読みやすいように回転させテーブルに置く。

「あらかたは内部に置いてあった文書とガラクタらしい。内容は専門家でないと読み解けない物で、奴ら渇いた骨がいくつも転がってる中をあさり回って持ち帰って来た」

「それは今どこにある?」

「帝国博物館の地下だ。この目録が簡単な目次になってる。興味があるならフェルの名前を使うか。他の誰かに化けるなりして見に行くといい」

「わかった」

「そしてこれが今回の目玉だ」エリオットはそう言い、目録を三枚めくりその中央あたりを指差した。

「……片刃刀×二、メダリオン、ランタン、石像(女)……これがなんだというんだ」

「全部博物館に運び込まれた物なんだが、その石像は調べてみると人だった。石化の呪いを受けた人だ。施設内で見つかった唯一の生き残り」

「そいつは火の玉が落ちる前からいたということか?」

「そのはずだ。研究所はあんた同様砂漠につい最近まで封じ込められていた」

「そいつが何者かわかっているのか?今どうしてる?」

「えらい美人で、おそらく魔導師だろうって話だ」

「顔などどうでもいい。今どこにいる?」

「病院、いや療養所だ。無事呪いが解けたのはいいんだが、記憶が無い。自分のことがまるでわからないらしい」

「一度会ってみたいな。当然場所の調べも付いているな?」

「もちろんだ。だが、帝都も彼女にご執心のようで少し厄介なところにいる。旧市街の外れにある金持ち、貴族向けの療養所だ。市中の病院と違って入るだけでも署名が必要だ。無関係な一般庶民が立ち入れる場所じゃない。それに加えて今は警備隊も常駐しているらしい」

「フェルなら入れると思うか?」

「おそらくな。ただし目立たないように気をつけろ。まず、家族のための下見とでも言って一度忍び込んでみるか?いろいろと事情のある家族を世話してもらうこともある場所だからな。それなら親しい見舞客がいなくても入れるだろう。これがそこの住所だ」エリオットは懐から取り出した紙切れをアイリーンに手渡した。

「恩に着るぞ」アイリーンは再びフェル博士に変わり部屋から出て行った。

 テーブルの紙束は消え、代わりにエリオットの目の前には小さな紙包みが置かれていた。

「まいどあり」

 エリオットはクラヴァットを少し緩め大きく息をついた。


 二百年前から来たアイリーンにとって旧市街はなじみ深い半面、時の流れをひしひしと感じる場所となっていた。母であるリズィア・ボーデンと共に歩いた街路や訪れたことのある店は残ってはいてもそこにいた人々は残らず消えていた。

「人に二百年は長い」街を歩いているとエリオットのこの言葉がよく思い出された。

 エリオットに教えられた療養所もその一つだった。アイリーンが知っている時代では宿泊施設として使われていた。近くに釣りや船遊びなどができる池があり、付近の散策などもできる遊歩道もある。街の喧騒から逃れて来た客や、外から入って来た来訪者がまず腰を落ちつける場所として使っていた。アイリーンも母とその供の者と一緒によく利用していた。

 そのため、彼女は最初御者にここに案内された時は何かの間違っているのではないか強く問いだたした。御者はこの住所ならここで間違いないと請け合い、それに嘘はないようだった。ならばエリオットの手違いかと思われたがそれも違った。アイリーンが眠っていた二百年の内に宿屋が療養所に変わった、それだけの話だった。

 玄関脇の宿屋の看板は無くなっていたが、医療施設を現す十字に光のシンボルがその代りに設置されていた。玄関ホールの壁や家具の色が明るめの砂色に変わっていたが、他は特に変化はなかった。入ってすぐの場所に受付があり、奥にはテーブルやソファーが置かれた見舞客用の空間が広がっている。

「ソボルヴォ荘へようこそ」

 フェルの姿で進入したアイリーンに受付係と案内係が歓迎の挨拶をした。アイリーンも軽い会釈で返す。

 アイリーンがそのまま奥へと進もうとすると傍に控えていた案内係が前に出て、にこやかな笑顔で受付の方へ向かうよう手で促した。アイリーンはおとなしく従いそちらへと向かった。

「旦那様、ここにお名前を頂けますか?」受付の女がアイリーンに声を掛けた。受付には男女一つづつだが、奥の扉のない部屋の中にはさらに何人かの人の気配が感じられる。

 ペンとインク、それと紙ばさみが目の前に差し出された。アイリーンはフェルの名前と住所を書いておいた。来院、退院の時間の記入欄まである。

「これは来るたびに書かねばならんのかね?」

「はい、フェル様。ご面倒とは存じますが、それが当療養所の規則となっております。御了承くださいませ」

「それは家族でも同じなのか?」

「はい、左様でございます」

「なるほど、あいわかった」

 ここは出るのも入るのも制限が厳しいようだ。それは患者も同じことだろうとアイリーンは推測した。

 エリオットはいろいろと事情のある家族を世話してもらうこともある場所だからなといっていた。それは人眼から隠すという意味も含まれているのではないかとアイリーンは考えた。この言葉を言ったエリオットから妙な嫌悪感を感じたのを思い出したからだ。

「ところで、フェル様。今日はどのようなご用件で当方へお越しになられたのですか?」

「実は詳しくは言えんのだが、友人から用事を頼まれたのだ。友人は家族のためこの療養所を利用したいと考え、一度下見をと考えたのだが、如何せん忙しい身であるうえにあまり公にしたくない理由があるらしい。そこでわたしに中の様子をそれとなく覗いてきてほしいと要請がきたのだ。よければ施設内の見学をさせてもらえないだろうか?」

「そういうことでしたら、このエダが療養所内をご案内いたしましょう」男の案内係が外に出てフェルの姿をしたアイリーンに改めて頭を下げた。

「では、この棟よりご案内いたします」男はにこやかな笑顔を浮かべアイリーンの先を歩き始めた。アイリーンは彼からは特に動揺や不信感は感じ取らなかった。笑顔の下にあるのはいたって事務的な感情だった。このような相談は珍しくもないのだ。

 エダに連れられて歩く療養所内は、ここが宿として営業されていた「ソボルヴォ荘」時の間取りとさほど変化はなかった。客室は病室に、各階の給仕の待機所は看護師の詰め所へ転用され、一階の食堂の調度品は地味になっていたが、漂う匂いは当時と比べても遜色はない。

 庭を挟んで二つの病棟をくまなく見て回り、最後の病棟へここもそれまでと同じく二階までアイリーンを連れ歩いたエダだったが、三階へと向かう階段で突然引き返した。

「この上はどうなっているのだ」アイリーンはエダを慌てて引き留めた。

「他の二棟と同様の間取りとなっております。三階は今は帝都文化庁に全室借り上げられ立ち入り禁止となっております。警備隊が詰めており、わたしどもでさえ簡単に近づくことはできません」

 エダの言葉に嘘はないようだった。言葉にさほど棘が感じられないのは借り上げのために十分な額の金銭が支払われているためだ。

「全室とはまた豪勢なことだ。発掘隊で怪我人でも大量に出たのか?」

「あぁ、いえ、おられるのはお一人だけです。少し変わっておりますが、お美しい方で……」エダをここで言葉を止めた。いらぬことをしゃべってしまったと気づいたようで周囲を見回している。

「今の話し聞いてはおらん、だいたいわたしはここに来た事さえ公にするわけにはいかんのだ」アイリーンの言葉にエダの気持ちが瞬時に和らぐのが感じた。

「さぁ、下へまいりましょう」エダはそそくさと階下へと降りて行った。

 アイリーンも後に続いた。

 これでエリオットから聞いた記憶喪失の女が三階にいることをアイリーンは確認できたが、彼女の元まで近づくことは容易ではないようだ。

 そのまま玄関までもどったアイリーンはエダ達と別れの挨拶を交わし、ソボルヴォ荘を後にした。しかし、帰ることはなくそのまま建物を周回する遊歩道へと足を向けた。彼女の記憶は正しく、すぐに隣接する池への入り口を発見することができた。周囲は二百年に渡る木々の成長のためか以前より緑が濃くなっている。潜むことは容易だが、それではいつまでも三階の窓の中を窺うことはできない。

 しばらく周囲の道を歩くと療養所裏口に着いた。小規模の馬車置き場とゴミ捨て場。女中がゴミ出しをしており警備員がそれを手伝っていた。それとは別の制服の男が入口の傍に立っていた。アイリーンは男の頭の中から彼が帝都の者であるとの情報を得た。詳細な説明を受けず、この地に送られた男はこの任務にひどく退屈している様子だった。フェルの姿を見た男は一瞬警戒したが、その身なりと物腰にすぐにその緊張を解いた。地元民ではない男はフェルを散歩好きの金持ちと認識したらしい。

 アイリーンは遊歩道の周回を済ませた後、この日は帰途に就いた。


 それから数日間は情報集めに費やした。フェル、アイリーンの姿で内部をうろつくわけにいかないため、彼女はエダや他に見かけた看護師や掃除夫などに化け内情を探った。職員達の頭の中を探り、知り得た情報を総合すると、今の北病棟三階は事実上別の建物となっていた。帝都文化庁は医者、看護師、掃除夫、他人員全てを自らでまかない、この療養所の職員の立ち入りを禁止している。エダが言っていた簡単に近づくことはできませんという言葉でも柔らかすぎで、実際は進入不可能という表現こそ適切だった。警備には魔導騎士団特化隊も絡んでいた。アイリーンはその名エリオットから聞いていた。呪われた者達で構成された帝都でも指折りの面倒な部隊であるとのことだった。相手が呪われた者、精霊憑きとなればアイリーンであっても慎重にならざるを得ない。

 このような状態であるのも関わらず、なぜ療養所職員達が女の容姿などをよく知っているのかと疑問が浮かんだが、答えは簡単だった。女の方が室外へと出てきているのだ。昼間の数刻間は施設内のみとの限定はあるが自由に歩き回っているらしい。中庭のベンチで座っているところを多くの者が目にしている。職員達は彼女のことを帝都が名付けたルリの名にちなみルリ姫と密かに呼んでいる。彼らが彼女に抱いているのは興味のみであるようだ。その容姿と物腰から何かやんどころなき事情があるお嬢様または奥様程度にしか思っていない。

 アイリーンとしては職員達が言う銀色の長い髪に白い肌で瑠璃色の瞳という容姿の女に心当たりはなかったが、帝都の特務部隊が張り付いているという点で、手を引かずに療養所に通っていた。狙い目は彼女が外へ散歩のために出てくるときである。

 この日は何度か姿を変えつつ、アイリーンは中庭の様子を窺っていた。昼食の後の時間、この折は年配の女性に扮し落ち葉の掃除などをしながら、ルリと呼ばれている件の女性が現れるのを待っていた。木の葉を集めながら待機していると、病棟の戸口に桃色のローブを羽織った長身の女が現れた。遠目でも銀色の髪がよく目立っている。女はゆっくりとこちらに近づいて来る。このままでいれば特に力を使わなくとも人間の目で女の詳細を掴むことができる。

「こんにちは」すぐ傍まで来た女はアイリーンに挨拶をし笑みを浮かべた。

「こんにちは」アイリーンも挨拶を返した。女は年配女性の正体に気づいている様子はない。彼女の中は混沌としており、読み取れるものは少ない。記憶を失っているという話はどうやら嘘ではないようだ。しかし正確ではない。記憶が意識の奥に沈み込み出てこられなくなっているのだ。

 女がアイリーンから離れようとした時、彼女は妙な気配を感じた。アイリーンの背後と周囲の木立の中だ。振り向くと少し離れた場所に男が立っていた。以前目にしたフェルの仲間のような風体をしており、明らかな敵意を感じる。ここで男を倒すのは容易だが正体がばれてはたまらない。

「そこのあんた、ここで何してんだい!」アイリーンは男に大声で呼びかけた。

 その声に反応し男はその場から逃げだした。アイリーンの声を耳にして前方から駆けつけて来た警備員に男は乱暴に引き倒された。病棟からも二名の警備員が飛び出して来た。アイリーンはその二人に気配のあった木立を指差し人影を見たことを告げた。彼らはそちら向かって猟犬のように飛び出していった。

 男が警備員に乱暴にひっ立てられる様子を見て、女は少し怯えているようだった。

「大丈夫だよ。もう終わったから」アイリーンは女の手を握り、近くの長椅子まで連れて行きそこで座らせた。

「ここにいれば安心さ。誰もあんたに悪さはできないよ」

 アイリーンが手を握ることにより、女は落ち着きを取り戻した。

 やがて、侵入者の仲間を追った警備員達が戻って来た。手ぶらで戻って来たところを見ると仲間は取り逃がしたらしい。これらの出来事は警備の程度を知る良い機会となった。これなら協力者さえいれば何とかなりそうだ。

 なお、アイリーンはこの後少しの間ではあるが、掃除婦姿のまま事情を聞かれることとなった。


「賊が現れたようだな」

 日が沈んでまもなく、夕食のために階下の食堂に降りようかとフィックスが考えていた頃、あまり聞きたくない声が頭蓋内に響いた。機嫌が悪そうな子供の声、ゴルゲットを介した隊長のオ・ウィンの声である。

「警備員が一人捕らえました。他、人数は不明ですが、取り逃がした者がいるようです」

「何者だ?」

「砂ネズミで名前がアリバだということは吐きましたが、他はとぼけて何もしゃべりません」

 これまでに知り得たことは副官であるエヴリーに全て知らせてある。わざわざ同じことを聞くのは何か新情報はないかと思ってのことだろうが、残念だが何もない。アリバは自分が爆心地近くに巣くう盗掘団に所属していることまでは簡単に話した。リーダーの名も組織の構成も聞くことができた。しかし、ここまで何が目的でやって来たのか。誰に頼まれたのかとなるとわからないの一点張りだ。なぜ帝都にいるのかわからないとまでいう始末だ。フィックスはオ・ウィンに再度そこまで話した。

「そいつが本当のことを言っている可能性はないか?何者かに操られそこまで来た。取り押さえられために捨てられた」

 これもない話ではない。実際につい最近、呪われた剣に操られた一団が大胆にも帝都の修道院宝物庫に忍び込み大騒ぎとなった。

「それは奴の頭の中を覗かない限りどうともいえませんが、本人は帝都の調査隊の上前を撥ねるべく爆心地に行ったつもりが、気が付くとここにいた。それを繰り返すばかりで、脅して、なだめていろいろやっても変わりません。今は近くの署にぶち込んでいますが、明日にでもそちらに送ります」

「わかった。引き続き警戒を怠らず頑張ってくれ」

「交替はありませんか?」

「ない。女の見張りが退屈なのはわかるが、気を締めてやってくれ。妙な奴が現れたとなればなおさらな」

「了解です」

 オ・ウィンが頭の中から出て行って静かになった。これで豚皮のから揚げとエールがあれば最高なのだが、そちらはまだしばらくありつけさなそうだ。

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