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夢日記  作者: 夢
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夢1

夢一夜

夢を見ても記録しておかないとすぐに記憶から消え去ってしまう。だから、今こそ夢を記録に残そうと思う。

神崎聖也の夢は、例えばこんな感じだ。途中で目が覚めた時刻は三時三〇分くらいか。町内一周大会かどうかは分からないが、大勢で歩いている。途中、様々な障害物も用意されている。スキー場にあるような巨大なリフトも何故か街中に置かれている。ただ、このリフトは人力のようだ。どういう原理で動いているのかよく分からないが、とにかく自分で引っ張って前に進む。実際にはあり得ないリフトだが、大勢の参加者はリフトを自在に操って前に進んでいく。ただ、人力のため、途中でよく止まる。前の人が止まってしまうと、後ろの人も先に進めなくなってしまうのだ。リフトの真ん中付近で立ち往生している内に目が覚める。


夢二夜

時刻は四時から五時くらいか。朝、雨が降っていたので、その音で目が覚めたようだ。夢の中の聖也は数学の授業を受けている。授業をしているのは予備校時代の先生のように見える。何となく見覚えのある顔だが、はっきりとは分からない。このように夢の場合、はっきりと誰か分かる場合と分からない場合があるのだ。加えて、最初はAさんだったのにいつの間にかBさんに変わっていた、ということもよくある。問題を機械的にノートに写していると、急に二つ後ろの生徒が指名された。生徒は誰か分からない。知らない人だ。問われている問題の内容が難し過ぎてさっぱり分からない。当然、生徒は「分かりません」と答える。真後ろの生徒に同じ質問が来た。次は自分が当たるかも知れない。ドキドキしていると、真後ろの生徒が正解を言った。先生は頷いて解説を始める。どうやら、当たらずに済んだらしい。ホッとしたところで目が覚める。ただ、それだけの夢だ。他にも夢を見ている筈だが、目覚めてしばらく経つと忘れてしまった。数学の問題が異様に難しかった、というよりも問題として成立していなかった点以外は日常とあまり変わらないような現実に近い内容の夢ではあった。


夢三夜

時刻ははっきりとは覚えていない。この日は休みの日だったので、お昼の一二時くらいまで寝てしまった。かつて何回か交際したのだが、結婚には至らなかった女性(仮にアヤさんとする)が夢に出てきた。顔があまりタイプではなかったが、アヤさんは聖也に好意を持ってくれたようで何回か食事したことがあるのだ。何かのイベントでアヤさんと待ち合わせしている。ただ、夢の中の聖也はアヤさんを避けているようだ。アヤさんからのメールも気付かないふりをしている。周囲の友達は早くアヤさんに会うようにアドバイスしている。気分が乗らないので無視している内に目が覚めた。何だか自分が酷い人間になったような後味の悪い夢だった。


夢四夜

テレビ番組の収録現場にいる。司会はどこかで見たことのある漫才師のようだ。社会福祉施設で働く職員さん達がゲストで一〇人くらい集まっている。聖也もその中にいるのかスタジオの観覧席にいるのか、テレビ画面を通して見ているのか。その辺りの境界線は曖昧だ。テレビの登場人物に話し掛けている内にいつの間にか自分も番組の出演者になっている。そういうことも夢ではよくある。ゲストの社会福祉職員さん達は皆真面目でなかなか笑いが起こらない。ようやく手話の意味を説明しようとするおじさんに漫才師がツッコミを入れてスタジオに笑いが起こった。おじさんは懸命に説明を続けるが、説明の内容がさっぱり分からず、それがますます大きな笑いに繋がる。場面が急に変わる。またアヤさんが出てきた。と言っても、今回はメールでのやり取りだけでアヤさん自身は登場しない。以前、夢の中でアヤさんを無視したのを気にしていたのだろうか。どんなメール内容かは分からないが、久々のメールに対してアヤさんから返信があり、ホッとしたところで目が覚めた。


夢五夜

目覚まし時計の音(携帯のアラーム機能によるバイブ振動の音だが)とほとんど同時に目が覚めた。ほとんど夢も見ず(或いは覚えておらず)、更に途中で一度も目が覚めない質の高い、深い睡眠だった。

目が覚める直前の夢だけは覚えている。夢の中の聖也は高校三年生か大学四年生の立場にいるらしく大学、または大学院への進学を考えているようだ。本来、大学と大学院が混在するのはおかしいのだが、そこは夢である。整合性は気にしない。

ただ、行きたい学部・専攻先が地元には無い。これは元々無い話なので現実の事情を反映している。聖也自身は県外の文学部系に行きたいのだが、母親は地元の国立大学に進学してほしいという。そうなると、文系では法学部か経済学部、教育学部関連くらいになってしまう。偏差値的に高めの大学の文学部を敢えて目標に掲げることで何とか納得してもらった。

現実は、そこまで親は地元にこだわらなかったので、夢の中の親の方が進学先に介入してこようとしている。大学卒業後の就職のことも見越して考えると地元の方が何かと便利だったかも知れない。それに文学部を出てもなかなか就職は厳しい。そんな今の自分の後悔も少し影響しているのだろうか。

夢から覚めると、今は大学も卒業して県外ではあるが建築デザイン会社に就職出来たし、九年間何とか仕事も出来ているし、まあ良かったとホッと一息つけた。嫌な夢というのは、目覚めると却ってホッとするものである。毎日だと嫌だが、たまにはこういう夢も良いのだろう。進学や就職試験に際して悩む夢、試験が上手く行かない夢はたまに見る。就職試験には合格しているのだが、採用されるかどうかが何故か分からない、という夢も多い。こういうのは現実に起こりそうでリアルな恐怖を感じる。


夢六夜

途中で一回か二回くらい目が覚めた気もする。何回か夢を見たと思うが、全部は覚えていない。大学か博物館のような施設の前にいる。開館が朝の九時から一〇時くらいか。夢の中の聖也は扉が開くまで入り口のところで待っているようだ。

ただ、この辺りは曖昧模糊としており、いつの間にか館内を歩いている自分に気付く。よく分からないオブジェや彫刻のようなものが置かれている。展示物を射的のように倒せるゲームもある。聖也自身は挑戦しないが、親子連れは射的を楽しんでいる。

急に場面が変わる。或いは一度目が覚めたのかも知れない。公園のような場所にパブリックビューイングが設置されている。甲子園大会の映像だ。つい最近まで高校野球の季節だったので、夢に出てきたのだろうか。決勝のようだ。一回の表裏の攻撃が終わり、大阪代表が京都代表を四点くらいリードしている。学校名は分からない。時々、実際の球場に自分が立っている。モニター画面に映るグラウンドと実際のグラウンドは夢の中では相互に行き来可能なのだ。モニター画面の中に入り込めるというか、画面を見ている内にいつの間にかグラウンドに立っている自分に気付く感じだ。時には選手になってプレーもしている。何故か聖也は小学校時代の友達と一緒に京都代表チームの側に立って応援している。次第に両チームの応援は険悪な雰囲気になってきた。理由はよく分からない。気付くと公園のあちこちで応援団同士の小競り合いが始まっている。不穏な気配を感じ、友達と一緒に公園を出ることにした。

急に場面が変わる。お腹が空いたのか、どこかでご飯を食べようと車を走らせている。運転しているのは仕事仲間のようだ。「中華が好きなんでしょう」中華料理の店に行こうとしている。「いや、たまになら良いですが、連続は嫌です」どうやら夢の中の聖也は昨日も中華料理だったみたいだ。「あ、そう」仕事仲間は苦笑して別の店を探し始めた。夢の記憶はここで消えている。目が覚めたのかも知れないし、覚えていないだけかも知れない。


夢七夜

この日はあまり夢を見ていない。途中で目が覚めることも無い深い睡眠だ。日常生活とダイレクトに地続きの夢、つまり直接今の会社の同僚や上司が夢に出てくるのはあまり無い。家族が出てくる夢も独り暮らしをするようになって次第に減ってきた。以前は小学校時代の友達が一番よく出てきた。逆に中学、高校、大学の友達はあまり出てこない。それだけ小学校の友達関係は濃密だったのかも知れない。ただ、最近は少なくなってきた。振り返ってみると割と夢の中でも一人で行動しているような気がする。


夢八夜

この日は四時三〇分くらいに目が覚めた。銭湯に入っている。入っているのは老人ばかり五人くらいか。一人が「サッカーが好きだ」と言う。もう一人が「若いね。私は野球しか見ない」と笑う。ただそれだけの夢だ。

急に場面が変わる。小学校時代の通学路(夢にはよく出てくる)を歩いている。何か忘れ物をしたようだ。家に取りに戻ろうとして唐突に車があったことに気付く。何故、車に乗らなかったのだろうか。このように、歩いていたり、自転車に乗っていたりして、途中で車があったことに気付く夢はたまに見る。最近の移動手段は大抵車なので、夢の中の方が歩いているかも知れない。

急に場面が変わる。中学校時代の部活の友達だ。中学卒業後はほとんど会ってなかったが、大人になって久々に会った。と言っても、夢の中の友達の外見は中学校時代のままだ。就職して結婚したのだと言う。中学校時代の友達が夢に出てくるのは稀だ。久しく会っていない友達と近況を報告し合う夢は時々見る。実際は今頃どうしているのだろう。知りたいような知りたくないような複雑な気持ちである。

急に場面が変わる。小雨の降る中、小学校時代の友達と大学時代の後輩と一緒に歩いている。この組み合わせも本来的にはおかしいのだが、出てくるのだから仕方ない。特に大学時代の後輩はほとんど繋がりの無かった奴なので不思議ではある。三人で歩いていると前を歩く男が急に振り返る。ライフル銃か散弾銃か。よくは分からないが銃をこちらに向けた。慌てて後輩と聖也は逃げる。だが、小学校時代の友達だけは拳銃を持っていたようで、応戦している。走って逃げながら、友達の安否を気遣っている内に目が覚めた。何だかよく分からないストーリーだが、目覚めた時はドキドキしていた。非現実的な夢と現実とさほど変わらない夢があるが、今回は現実には起こり得ない内容の夢であった。


夢九夜

四時くらいに一度目が覚めた。自転車に乗っている。日常生活ではもう六年くらい車以外の乗り物には乗らなくなったのだが、夢の中では不思議とよく自転車に乗っている。坂道を下っている。坂道も不思議と夢によく出てくる。リーズナブルな定食屋を探している。小さい定食屋も夢によく出てくる。好きだからかも知れない。ほとんど民家と変わらない定食屋、無人の定食屋等もよく出てくる。ただ、実際に何かを食べる夢はほとんど見ない。食べる直前で場面が変わったり、味がしなかったりと、料理そのものを夢の中で食べることは滅多に無いのだ。味覚というのは夢の中では再現し辛いのだろうか。ソーダ水を飲んでいて、いつの間にか味が墨汁のような泥のようなとにかく不味い味になったこともある。おかしいな、こんな味じゃない筈なんだけどな、と思いながら飲む。かき氷を食べるのだが、一瞬だけ甘い味がしてその後砂の味になったこともある。夢の中の食べ物はとにかく味がしないのだ。アイスクリームのシャーベットを食べていてもすぐに岩をかじっている自分に気付く。アイスクリームが岩のように固い、歯が欠けそうになる…こんな夢は時々見る。ちなみに、夢の中で定食屋が見つかったかどうかは覚えていない。


夢十夜

この日は〇時頃、一時頃と複数回目が覚めた。夢の内容はあまり覚えていない。空を飛ぶ夢、というのもたまに見る。ただ、どちらかというと鳥のように羽ばたくというよりも体がふわふわと宙に浮き、次第に上に向かってクレーンか何かで持ち上げられるような感覚だ。目が回っているだけかも知れないが、疲れている時など夢の中ではよく空を飛ぶ。空を飛んでいる時、楽しいという感覚は残念ながら無い。寧ろ、本当は地上に降りたいのだが、何故か体が浮いてしまう感じだ。この日は他にも夢を見ている筈なのだが、今一つよく覚えていない。


夢十一夜

この日は何度か途中で目が覚めた。会社の同僚で若手の女性社員が出てきた。そこまで気になっていた人という訳でもないのだが、夢の中で「もうすぐ結婚する」と言われた時はびっくりした。先を越されたな、という衝撃で目が覚めた。

二度寝する。今度はよく分からない夢だ。聖也は見ているだけのようだが、友達が五人くらい出てくる。皆でどこか旅行に行っているらしい。お土産を買ったようだが、土産物の名前を五〇音順に並べて一番あ行に近いものを買った人が負けだと言う。「せんべい」と「まんじゅう」なら「せんべい」の負けだ。どういうゲームなのか、そんなことを競って何が面白いのか。理解に苦しむところではある。ゲームの勝ち負けは明確には分からなかったが、夢の中ではそれなりに盛り上がっているように見えた。

また目が覚める。今度の夢は自分が誰かに演説をしている。政治家の口調を真似している。演説の内容も政策らしきことをよく分からないまま口走っている。自分でもギャグのつもりなのだろうか。最後の方は自分も周囲も半笑いになっているところで完全に目が覚めた。

ごく稀に夢の中で何かおかしいことが起こり思わず笑ってしまい、その自分の笑い声で目が覚めることがある。同じように何かとてつもなく腹が立ち、思わず叫んだり暴れたりしている内に目覚めることもある。夢の中で悲しいことが起こり、目覚めたら涙が出ていた、ということもある。小さい頃は寝言を言っていたこともあるようだから、こういうことは特段不思議なことでもないのかも知れない。


夢十二夜

何度か断続的に目が覚める。夢は見た筈だが、あまり覚えていない。「記録しておこう」と思える夢を幾つか見た筈なのだが、見た記憶自体はあっても内容そのものはすっかり忘れてしまった。ネタを一つ失った感があり、何となくもったいない思いがする。

覚えているのは不思議な名称の名前の大学を挙げていくゲームのような遊びを友達としている夢だ。例えば、山陽小野田市立山口東京理科大学。岡山理科大学があるのだから、山口理科大学で良いじゃないか、とか。そんな感じで全国の大学名にツッコミを入れていくのだ。こうして書いていても「相変わらずつまらない内容の夢だな」と我ながら苦笑してしまう。面白い夢、不思議な夢、びっくりする夢は滅多に見ることが無いことが分かると言えよう。


夢十三夜

四時頃、一度目が覚める。

時々見るのは虫が出てきてびっくりする夢だ。ムカデや蛾、正体不明の虫がよく出てくる。網戸をよく見るとムカデが何匹も這っていて仰天する夢を見た。慌てて殺虫剤を撒くところで目が覚める。

本が好きだからかも知れないが、古本屋もたまに夢に出てくる。古い漫画が所狭しと並んでいる。よく見ると、猫が本をよじ登っている。垂直に並んだ本の壁を猫がよじ登るのは実際にはあり得ないだろう。何故かナレーションが入る。何とか本棚の頂点まで行かないとこの猫は凍死してしまうのだと言う。この辺りは最近見た動物のドキュメンタリー番組の影響だろう。いつの間にか、猫はとかげに変わっている。そのまま本棚から転落し、何故か下を流れる流氷に流されていく。

急に場面が変わる。授業をしている。教室の後ろから入る。見学しようとしているようだ。しかし、教室はかなり騒がしい。授業が成立しているように見えない。先生も困っているようだ。気の毒になり、教室を出る。

急に場面が変わる。謎解きミステリーのドラマの収録のような現場にいる。自分がドラマの出演者になっているのか見ているだけなのか。その辺りの境界線は相変わらず曖昧だ。夢の中では幽体離脱するようにドラマの登場人物と一体化出来るのである。

ただ、基本的には自分自身は観客や視聴者として見ていることが多い。探偵役の役者が「これは何かの罠だ」と他の出演者を睨んでいる。罠なのかそうではないのかは俄には判断出来ない。聖也には罠ではないように思えるが、教える訳にもいかず、ただ見ているだけのところで目が覚めた。出演者が素の表情になっていたのが印象に残っている。


夢十四夜

二時頃、五時頃と断続的に目が覚める。夢を見たとは思うが、全ては覚えていない。一度目が覚め、再び寝ることで前の夢を忘れてしまうのだ。本当は一つ一つメモしておけば良いのかも知れないが、そこまでするのも手間がかかる。覚えているのは、見知らぬ男に拳銃を渡され「撃って良い」と言われる夢だ。当然、撃つことは無い。拳銃を男に返したところで目が覚めた。こうして夢の記憶を辿っていくと、意外と銃は夢に出てくるのだな、ということが分かる。映画の影響だろうか。他にも、これも以前見たアクション映画か何かの影響が夢に反映されているのかも知れないが、ホテルのような建物に何人か集められ、殺し屋から逃げ切ることが出来れば勝ち、というゲームに参加している夢も見た。今一つよく分からないのだが、何故かホテルから外には簡単に出られるようだ。殺し屋はホテル内を探し回るだけのため、当然ターゲットは見つからない。怒り狂った殺し屋が銃を乱射しているところで目が覚めた。怖い夢のような、どこか間が抜けているような、そんな不思議な夢ではあった。


夢十五夜

雨の音がかなり部屋まで響いている。風は強くないが、雨脚だけならまるで台風の日の朝のようだ。四時頃、一度目が覚めるが、残念ながら今回は夢の内容が思い出せない。六時過ぎに起床するが、この日はすぐに出社する。いつもは近くの定食屋で朝食を食べながら、見たばかりの夢の内容を思い出して携帯に記録していくのだ。その作業をしなかったこともあり、完全に夢の内容を忘れてしまった。


夢十六夜

三時頃、四時頃と時々目が覚めることがあった。特に四時頃は蚊の羽音で目が覚めてしまった。たまに見るのはトイレを探す夢だ。恐らく、夢の中にトイレが出てくる人は多いものと思われる。更に言うと、夢に出てくるトイレは大抵どこか変である。聖也の場合、妙に広いトイレが出てくることが多い。今回の夢ではえらく広いトイレに入ったものの、中は水浸しでとても用を足す気になれない。困ったな…というところで目が覚めた。このようにトイレを探して歩く夢は多い。

二度寝して、次に見た夢は自転車に乗っている夢だ。こうして振り返ってみると、実生活ではほとんど乗ることが無くなった自転車だが、夢の中では結構乗っていることが分かると言えよう。特に、ブレーキの効かない自転車がよく出てくる。坂道を下りながらブレーキをかけても自転車が止まらないのだ。これはなかなかの恐怖である。

特に、今回の夢では夜の坂道を自転車に乗って下っていたため、余計にスリル満点であった。あまりに何も見えない暗闇の中、自転車にブレーキをかけ続けるところで目が覚めた。蚊の羽音が耳障りである。

その後、朝の目覚ましが鳴るまでもう一度寝たが、どんな夢を見たかは記憶に残っていない。見た夢はすぐに記録しておかないと、しばらくすると淡雪のように消えていく。夢から覚めてすぐに思い出せなくなってしまうこともある。

もちろん、見た夢の記憶など忘れてしまっても日常生活を送る上で何の支障も出ない(寧ろ、見た夢の記憶など消えてしまった方が良いのかも知れない)のだが、何となくそれはそれでもったいない気がする。それに、こうして記録しておくと、読み返すことによって不思議と夢の記憶が甦ってくる。夢はネタの宝庫なのだ。


夢十七夜

覚えているのは陸橋を渡る夢だ。いや、渡るというよりもほとんど登る感じだった。橋は垂直に近い角度でアーチを描いている。一歩一歩、確実に足場を固めて登っていかないとすぐに転落してしまいそうな角度だ。中には自転車の人もいるが、とても進むのは無理なようで途中で断念してしまった。もうすぐ頂上か、というところで目が覚める。

今回のように橋が出てくる夢はたまに見る。垂直方向に進む夢もたまに見る。ホテルの階段を登っているのだが、どんどん角度が垂直に近くなり、最後には梯子を登るのと同じくらいになって立ち往生してしまう夢も見たことがある。進めば進む程、周囲の空間が狭くなって先に進めなくなってしまう夢は見る人が多いようだ。こういう夢は目が覚める直前に見ることが多い気がする。割と夢の中では歩いていたり、自転車に乗っていることが多い。現実では移動手段のほとんどは車なのだが、夢の中で車を運転するのは珍しい。不思議と言えば不思議である。

車通勤になってから自転車はもう六年くらい乗っていないのだ。自転車時代の記憶がまだ残っているのだろうか。考えてみると、小学生の頃から中学、高校、大学、社会人の最初の頃とずっと自転車に乗っていた。夢の中に自転車がまだ出てくるのも当然なのかも知れない。これ以外にも夢を見たと思うのだが、あまり覚えていない。


夢十八夜

四時四〇分頃、一度目が覚める。駅にいる。何故か、駅の待合室のようなところに布団を敷いて寝泊まりしているようだ。始発を待っているのか。早朝、目が覚めてトイレに行く。駅員さんがもうすぐ始発だと叫んでいる。この駅はトイレが無く、プラットホームに直接用を足すらしい。プラットホームは完全に剥き出しの土だ。すごい駅だな、と呆れる。急に場面が変わる。今度は公園かどこかの公衆トイレに寝泊まりしている。完全にホームレスだ。風呂にだけは入っているらしい。近くの温泉に浸かり、さっぱりしたところでまた公園に戻る。学生時代、公園に寝泊まりしているホームレスを見たことがある。恐らくその頃の記憶だろう。公園は学生時代の記憶そのままだった。就職活動中、他県になるが駅の近くで寝泊まりしているホームレスを見たこともある。ホームレスは複数だったので、初めて見た時は驚いた。学生時代に借りていたアパートもたまに夢に出てくる。社会人になってからはもちろん行くことは無いのだが、夢の中では会社から帰ると何故かあの頃のアパートにいる。一DKの学生アパートだ。キッチン、トイレ、風呂はあったが、後は四畳半くらいのフローリングの部屋が一部屋あるだけだった。すぐ近くに駅があり、線路が真後ろを通っていた。お向かいは道路を挟んでガソリンスタンドとスーパーマーケットがあり、隣はカラオケ付きのスナックというなかなか賑やかな環境だった。それでも、慣れると案外熟睡出来た気がする。真後ろを列車が通過しても意外と目が覚めることは無かった。就職が決まって引っ越す時は何となく感慨深いものがあった。就職してから借りた最初の社宅はまだ夢には出てこない。記憶が近過ぎると案外夢には出てこないのだろう。もう少し年月が経つと前に住んでいた社宅や今住んでいる社宅も夢に出てくるに違いない。


夢十九夜

微かに雨音が聞こえる。〇時頃、五時頃と二回ほど途中で目が覚める。残念ながらどんな夢を見たのかあまり記憶に無い。祖母とメールのやり取りをしている夢は見た気がする。そもそも論として現実の祖母は既に亡くなって久しいのだが、夢の中では元気そのものだ。祖母はメールなんかする人ではなかったが、そこは夢である。どんな内容のメールだったかは覚えていない。他にも夢を見た筈なのだが、記憶に靄がかかっているかのように今一つはっきりしない。更に、起床してしばらく経過するとどんどん夢の内容を忘れていく。テレビ画面に対して見知らぬ家族とあれやこれやとツッコミを入れる夢を見た気がする。一体何がしたいのやら、自分で自分にツッコミを入れたい気分である。


夢二十夜

またもや〇時頃、五時頃と目が覚める。どこか狭い部屋にいる。部屋は建物の高いところに位置しているようだ。窓から太い綱が垂れ下がっている。この綱を使って下まで降りないといけないらしい。部屋から出るにはそれ以外に方法が無いのだ。聖也の他にも何人か部屋に集められている。皆、必死だ。見知らぬ女が綱を使って下まで降り始めた。見ている方は今にも女が転落するのではないかと気が気ではない。女は途中で綱から手を離す。転落か。息を呑んだが、女はパラシュートをしているようだ。パラシュートはいつの間にかハングライダーに変わり、女は悠々と空を飛んでいる。聖也も女の視点で空を飛ぶ。これは映画的な視点だ。現実なら部屋の窓から次第に遠ざかっていく女の飛行姿を見送る形になるだろう。夢では、女の視点に合わせて自分も空を飛ぶ。空を飛ぶ女を迫力ある映像に収めるためには、カメラも空を飛ばなければならない。そうする内に自分が女と同一化するのだ。夢の中では空を飛ぶのは女であり、聖也自身でもある。建物にぶつかりそうになるが、ハングライダーを上手く操り、何とか衝突を避ける。

急に場面が変わる。古本をたくさんの人から集めて売ることになった。テレビ番組の企画か何かのようだ。予想以上に全国の視聴者から本が贈られてきた。古本はところ狭しと段ボールに詰められて倉庫に並んでいる。何万冊もありそうだ。販売もしている。本棚に並べられたものは購入出来るのだが、雑然と並んでいるため、どこに何があるのはさっぱり分からない。お客さんも困っている。このように、本が夢に出てくることはよくある。聖也自身が本好きだからだろう。広い図書館のカウンターに昔の友達が座っており、昔話に花が咲く…そんな夢を見たこともあった。一度、目が覚める。

学校の体育館だろうか。一番後ろに座っていた聖也が皆の持っている何かを回収しながら前まで歩いている。何を回収しようとしているのだろうか。よく見ると、板チョコレートである。皆の持っている板チョコを一枚一枚回収しているのだ。何故、板チョコなのかは謎である。前に進むにつれて板チョコの枚数が増えてきてだんだん持ちにくくなってくる。落とさないように慎重に集めるが、一番前の人の板チョコを回収しようとして全部落としてしまった。「あっ」と声を上げたところで目が覚める。他にも夢を見た記憶はあるのだが、内容までは思い出せない。文字にして記録しておけば、それをフックにして夢の情景をありありと思い出すことが出来るのだが、何も記録しなければ、目覚めて三〇分もすれば完全に忘れてしまう。記録せずに今でも覚えている夢というのはよほどインパクトの強い夢ぐらいのものだ。


夢二十一夜

五時頃に一度目が覚める。夢は見たと思うのだが、あまり覚えていない。いつものように夢の内容を振り返りながら会社近くの定食屋で朝食を食べることが無かったので、しばらく時間が経過すると夢の内容は完全に消えてしまった。そんなに突拍子も無い夢は見ていないと思う。比較的深い睡眠で、あまり夢を見ることも無かったかも知れない。


夢二十二夜

何度か目が覚めるが、記憶に残っている夢はあまり無い。自分自身も含めた会社の同僚の異動希望調査結果一覧を見ている夢は印象に残っている。一枚の紙に同僚がどんな部署に異動希望を出しているかが載っている。予想通りのものもあれば、意外なものもあり、驚いたところで目が覚めた。


夢二十三夜

八時過ぎに目が覚める。何度か断続的に目が覚める。夢の内容はほとんど思い出せない。唯一、会社の会議において何かの会計の決算報告書を提出した際、数値がきちんと出ておらず焦る、という夢は覚えている。夢は場面場面の記憶しか残っていない。寝ている間、例えば八時間睡眠なら八時間の間、整合性を持った一つのストーリーがずっと夢として展開される訳ではない。よく知られていることだが、睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に繰り返されると言われている。夢を見るのはレム睡眠の時だと言う。時間にすると何十分の世界だそうだ。夢が何時間も映画のように続く訳ではないのだ。その意味では、夢の記憶と言っても場面場面が断片的に残っているのも寧ろ当然なのかも知れない。仮に二〇分のレム睡眠の時でも、やはり二〇分間ずっと一つのストーリーに沿ってまるで映画のように夢が展開される訳ではないだろう。一つ一つの場面はせいぜい数分のような気がする。めまぐるしく場面が移り変わるし、視点も必ずしも自分が中心になっているとは限らない。プロ野球の試合を観客として観ていたのに、いつの間にか選手と一体化していることもある。気付いたら自分が選手になっているのである。最初から自分が選手としてプレーしているというよりは、選手の身体に自分の魂が入り込み、いつしか選手の身体を乗っ取るイメージだ。連想ゲームのように思いついたイメージが次々に具現化される。とは言うものの、夢の中で聖也がホームランを打ったり一六〇キロくらいの豪速球を投げたりはしない。あまりにも現実からかけ離れた夢はなかなか見ないし、見たくても見ることが出来ない。これはよくよく考えてみると不思議だ。夢自体は自分の脳内で作り出されたイメージのようなものに過ぎないのに、自分で内容をコントロールすることが出来ないのである。全くコントロール出来ない訳ではもちろんない。たまに夢の中で大活躍することもあるのだが、不思議とそんな時はこれが夢であることを夢の中の聖也は知っている。昼間の覚醒時でも「自分がこうだったら良いのに」「こんな別の人生もあったのではないか」と夢想というか妄想に取り憑かれることがある。この時は空想の世界でやりたい放題だ。実際には出来ないことも想像の世界に留まっている限りは許されるのである。そんな無法地帯のような世界が夢の中でも繰り広げられるかと言うと、これまで述べてきたようにそんなことは全く無いことがお分かり頂けるだろう。意外にせせこましい、日常生活と大して変わりの無い生活が夢の中にも反映されているのである。

場面が変わる瞬間というのはあるのだろうか。この瞬間だけは思い出せない。小さい頃、野球をして遊んでいたのに気付けば鬼ごっこになり、かくれんぼになり、サッカーになる。そんなイメージか。野球にいつの間にか飽きて鬼ごっこになる。鬼ごっこをしている間に野球のことはすっかり忘れてしまう。鬼ごっこに飽きたからと言ってまた野球に戻る訳ではなく、また新たな遊びが始まる。そんな小さい頃のめまぐるしい興味関心の移り変わりと夢の場面転換は似ているかも知れない。


夢二十四夜

夢の内容は全く思い出せない。昼の一二時近くまで寝てしまったこともあり、夢の記憶がほとんど消えてしまった。休みの日だからと言ってあまりに朝寝坊すると、メモでも取っておかないと夢の記憶はどんどん上書きされてしまい、遂には全ての内容を忘れてしまう。そう言えば、起床して三時間くらいは実は脳自体はまだ寝ている状態だという話も聞いたことがある。どの程度寝ているのか、三時間経てば完全に起きるものなのか、その辺りは個人差もあるだろうが、仮にそうだとすると、起床してすぐに車を運転するなどというのはよくよく考えると怖い気がする。何せ脳はまだ寝ているのだ。これでよく事故に遭わなかったものである。


夢二十五夜

二時頃、四時頃と断続的に目が覚めた。会社の健康診断を受ける夢は覚えている。実際に診断そのものを受ける訳ではなく、「さあ受けようか」というところで目が覚める。朝の早い段階で受けることも出来たらしく、ならばもっと早く受けたら良かったな、とがっかりしたところで夢の記憶は途切れている。会社の健康診断は大体昼間なのだ。昼間の受診だと、終わるまで基本的には食事が出来ないため、朝食抜きの空腹状態でずっと待っていないといけない。そのため、出来るならなるべく早く終わらせたいのが人情というものである。その辺りも夢に影響を与えたのだろうか。

一度目が覚めた後、次に見たのは大学の夢である。大学のキャンパスに立っている。大学は夢によく出てくる。大学院棟のそれぞれの専攻科の研究室も稀に夢に出てきて懐かしい。今も変わっていないのだろうか。実は数年前の夏、母校に仕事の関係で出掛けたのだが、この時は残念ながら時間があまり無かったため、大学院棟の建物には行けなかった。その時は土曜日だったので研究室に院生の数は少なかったかも知れないが、時間が全く無かった訳ではないのだから、こっそり院棟にも寄ってみれば良かったと今は少し後悔している。自分の卒業した大学以外の大学も夢にはたまに出てくる。どこの大学かはよく分からないが、かなり大きな大学が登場することが多い。母校の場合、学生時代の記憶通りという訳ではなく、ところどころで今の会社の建物が混在している。登場人物も会社の同僚が混ざっている。大学に入り、食堂に行く。食堂はほとんど学生時代のままである。食堂の奥に美術部の部室があるようだ。学生時代を思い出しても、自分の通っていた大学に美術部や美術のサークルのようなものは無かったような気がする。高校時代と記憶が混在しているのだろうか。そう言えば、校舎から食堂まで渡り廊下のような通路があったのだが、その横にアルバイト募集の案内が貼られており、学生時代はよくチェックしていた。たまに条件の良さそうなアルバイトがあると電話を掛けていた。今回は違うが、時々アルバイト募集をチェックする夢が出てくる。学生が何人か絵を描いている。全員、見知らぬ学生達である。何故かその場で着替えている男子学生もいる。夢の中の聖也は新入生らしく、美術部に入部したいようだ。うろうろと部屋を見渡すが、学生達は一心不乱に絵に取り組むか、お喋りをするかで聖也の存在は完全に無視されている。しばらくして、ようやく上級生らしき人が声を掛けてくれた。「あ、新入生です」「入部ですかね?」上級生も何故か丁寧語である。「先生、新入生です。入部希望みたいですけど…」美術部の顧問の教員を呼んでくれる。先生は高校時代の美術教師だ。どんな会話をしたかはあまり覚えていない。ただ、最近の若者の気質についてディスカッションしたのは覚えている。夢の中では大学一年生の筈なのだが、社会人となった今の自分の視点も時折混ざってしまうようだ。先生が何故か最近の若者について嘆き始めた。目の前で赤いドレスに着替えながら嘆いている。何故、赤いドレスなのかは分からない。その後、皆で集合写真を撮ることになった。撮影前のざわざわした雰囲気の中、目が覚めた。部員が描いた絵を運び出そうと部室と食堂の外を往復しているのが印象に残っている。顧問の美術教師が赤いドレス姿で集合写真に映った訳でもない。そもそもいつの間にか姿が消えている。この辺りは夢なので相変わらず夢の前後で整合性は無く、伏線も何も無い。


夢二十六夜

二時頃、四時頃と時々目が覚めた記憶がある。夢は断片的ではあるが、幾つか覚えている。旅行している夢はたまに見る。時刻は夜中か明け方のようだ。バスに乗車している。目的地に到着する時刻を確かめると、どうも間に合わないようだ。目的地はJRの駅らしい。こういうのは油断すると実際に起こりそうでなかなかリアルである。夢の中では他にも間に合わないメンバーがおり、結局駅前のビジネスホテルのような宿泊施設に泊まることにする。急に場面が変わる。一つ一つの場面はそんなに長くないのだ。子どもの頃によく行った商店街、特にアーケード街もたまに夢に見る。書店や定食屋がよく出てくるのも相変わらずだ。夢の中の聖也は特に目的も無く、アーケード街をぶらぶら歩いている。良さそうな店を探しているのだろうか。ただそれだけの夢だ。テレビ番組の食べ歩きレポか、と自分で自分に思わずツッコミを入れたくなる。一度、目が覚める。今度は自分の部屋か。場所ははっきりとは分からないが、くつろいでいるようだ。突然、会社の上司が現れる。「休みの日でも毎日、苦手科目を勉強しなさい」と注意される。慌てて数学の問題集か何かを広げる。学校を卒業して何年も経つのに、まだ夢の中では数学の問題に悪戦苦闘しているところで目が覚めた。数学に対する苦手意識が未だに消えないのは我ながら苦笑を禁じ得ない。


夢二十七夜

〇時頃、五時頃と目が覚める。車に乗ろうとしている。ハンドルまでの距離が少し遠い気がする。おまけに座席もえらく窮屈に感じる。アクセル、ブレーキが踏みにくく、運転し辛い。車に乗るのは諦めたところで目が覚めた。

もう一つの夢は職場の飲み会のようなシチュエーションで、意外に今の会社の同僚が多く登場していたのが印象に残っている。ここまで揃っているのは滅多に無い。そもそも職場の同僚が直接夢に出るのは稀なのだ。飲み会で何のメニューを注文するかでワイワイガヤガヤしている内に目が覚めてしまった。


夢二十八夜

三時三〇分頃に一度目が覚めた気がするが、夢の内容についてはあまり覚えていない。そんなに印象に残る夢は見ていないのか、完全に記憶からは消えている。目が覚めた時点でも印象がほとんど残っていないのだから、しばらく経つともう何も思い出せない。


夢二十九夜

聖也自身は夢を連想ゲームとして捉えている。連想がどういう方向に進むかは出たとこ勝負のところがある。夢の舞台が大学なら、自分の大学時代を思い出して様々な連想をする。何を連想するかはその時々によって違う。よく出てくるのはアルバイト募集の案内であったり、学食であったり、大学院棟の研究室であったりする。特に大学院棟の研究室というのは思い出深い場所だ。就職が決まった後、最後の日は一夜を過ごした。引っ越す時、安い単身用の宅配パックを利用したため、荷物が実際に新しい住所に届くまでに時間がかかった。県外だったため、余計である。確か、最短でも三日くらいかかったと記憶している。荷物を全て運び出しトラックに乗せてしまうと、アパートの部屋はがらんとした空間になった。布団もトラックに積んでしまったので、アパートで寝る訳にもいかない。かと言って貧乏学生である。ホテルに宿泊するのももったいない。そこで大学院棟の研究室のソファで一夜を過ごすことにしたのである。暖房はエアコンがあったため、ずっとつけたままにしてジャンパーを着込んで横になる。意外とすぐ寝られた記憶がある。地元を離れて大学に進学し、修士課程まで含めて六年を過ごした。最初は不安もあったがすぐに慣れた。六年も過ごした大学を離れるのは寂しさもあったが、同時に感慨深いものもあった。

朝、起床して研究室を出る。リュックサックを背負ってJRの始発に乗り込む。特急はもったいないので、各駅停車で六時間くらいかけて就職先の本社のある街まで行った。朝の五時くらいに出発してお昼の一二時過ぎに到着した。天気は良かったと思う。確か三月末だった。駅のすぐ近くのカプセルホテルに泊まった筈だ。一旦、荷物だけホテルのフロントに預け、午後からは本社や新しい社宅、市役所などの位置関係を確認した。JRも使いながらだったが、基本的には徒歩で移動した。夕方、ホテルにチェックインし、風呂に入った後はすぐに寝てしまった。翌日はホテルから本社まで直接歩き、そこで入社式に臨んだ。同期入社が数人だったか。辞めた人も中にはいるが、九年目の今もほとんどの同期は頑張って仕事を続けている。こうして振り返ってみるとあっという間の九年だった。入社式の後は新しい社宅までタクシーで向かい、その後で引っ越し業者が運んでくれた荷物を部屋まで搬入した。最初は風呂のガスが古くてしばらく使えなかった。電気も一部つかなかった気がする。築四〇年以上の古い社宅だった。疲労困憊ですぐに寝た。朝は市役所に行き、まずは住民票の登録を済ませた。その後、勤務地となる支社に向かった。全て自転車での移動だった。支社に到着し、その日は引き継ぎで一日が終わったと思う。新入社員研修等、最初の一週間くらいは慌ただしく月日が流れていった。


夢三十夜

覚えている夢は、高校か大学か。舞台は学園祭のようだ。聖也は部活かサークルか分からないが、何かの集まりで喫茶店のようなイベントをしている。抹茶を出すことにしたようだ。と言っても、市販の抹茶をただコップに入れて客に売りつけるという安易な販売形態である。価格設定は三〇〇円だ。メンバーは「高過ぎる。これで本当に売れるのか」と心配している。最初は三〇〇円にしてみて、売れ行きを見ながら値下げしてみるか、というところで目が覚めた。何となく楽しい雰囲気の夢だった。


夢三十一夜

二度寝、三度寝と繰り返したため、夢の記憶も薄れている。どちらかと言うと非日常的な内容の夢を見た気がする。覚えているのは、巨大なロボットとスペースシャトルのような宇宙船が互いにミサイルを撃ち合うという何とも子どもっぽい夢だ。自分の立ち位置はテレビの画面を通して撃ち合いを見ているような感覚ではあった。スペースシャトルの方が破壊され、粉々になったところで目が覚めた。

そう言えば、日常的な夢も見たのを思い出した。親を安心させるために今の貯金の総額を言い、更に個人型確定拠出年金にも入ったことを伝える夢だ。財形貯蓄、定期預金、定額預金、生命保険等々。なるべく使わずに貯めるようにしているので九年間でかなり貯金出来た。学生時代に借りていた奨学金も総額で二二五万円。無利子ではあったが、四〇万円程度返した時点で貯金に余裕が出来たので後は一括返済した。一五年かけて返済していく仕組みになっていたので本当だったら今もまだ毎月一万二五〇〇円ずつ返済していた筈だ。一括で返済してしまったので、奨学金とは完全に縁が切れてホッとしている。奨学金に関しては滞納している人も増えていると聞く。もちろん、色々とその人なりの事情があるのだろう。非正規雇用にある人は奨学金の返済までなかなか手が回らないとも聞く。聖也は何とか正社員として建築デザイン会社に就職出来たが、IT関連大手の契約社員という可能性もあった。会社の規模から言うと、IT関連大手の方が名前の通りが良かったが、何とか踏み留まって良かったと今は思っている。九年間、何とか正社員として勤務出来ているのも社長のお陰だ。

学生時代は年金もずっと学生納付特例で払ってなかったのだが、こちらも社会人になって五年目に一括で追納してしまった。いわゆる出世払いというやつである。まあ、別に会社で出世した訳でも何でも無いのだが、一括追納しても年末調整で五万円くらいは返ってくるし、翌年度の住民税がかなり安くなった。トータルでは一二万円くらいはリターンがあったので、学生納付特例で年金を払ってなかった人は就職後に一括で追納することをオススメしたい。急に真面目になってしまって何だが、年金や奨学金はある程度生活に余裕が出来たら一括で払ってしまった方が絶対に良いと思う。意外とまともなことを言ってしまってガッカリされた方もいるかも知れないが、借りたものはきちんと返す。払うべきものはきちんと払う。これが社会を構成していく上での大前提であり、社会人としての責務である。義務を果たさずして権利を主張することは何人も出来ないのだ。出来ない訳ではないが、主張したところで何の説得力も無いと言えよう。


夢三十二夜

〇時頃、五時頃と目が覚めた。自転車に乗っている。横には小学校時代に仲の良かった友達のO君がいる。一緒に並んでどこかに行こうとしている。地下道を通り、商店街に出た。何となく懐かしい感じがする。道に迷ったらしく、時々地図を確認している。ちょっとした冒険だ。そう言えば、このO君とは実際に自転車でかなり遠くまで一緒に遠出した経験がある。確か、途中で転校したクラスメイトのW君の引っ越し先に遊びに行ったのだ。W君は五年生くらいの時に聖也達の通う小学校に転校してきたのだ。最初の頃はあまり親しくなかった。W君は別のグループの友達と親しくしていたが、確かそのグループ内での人間関係はあまり上手く行ってなかった筈だ。そうだ。W君はテレビゲームが好きで、グループ内の友達からゲーム機を取られたと言って怒っていた。それに、五年生の時の集団宿泊研修でグループごとに劇をしたのだが、W君とは別グループだった。だんだん思い出してきた。その頃はW君とはほとんど親しくなかったのだ。多分、W君が最初にいたグループから聖也達のグループにいつの間にか近付いてきたのだ。そう言うと嫌な言い方だが、五年生の二学期くらいになるとすっかりW君は聖也達とばかり喋るようになっていた。

それまで住んでいたアパートから新築の一戸建てに引っ越していた。聖也自身はそんなにW君のことは好きではなかったと思う。寧ろ、最後の方は気まずくなって急な彼の転校にホッとさえした記憶がある。表面上は我慢して付き合っていたが、W君がいなくなって以降は実は気分的には落ち着いていた。六年生になったかなる前だったか。六年生の春頃に修学旅行に行ったが、その時はW君はいなかった筈である。とにかく急な話でびっくりしたのは覚えている。それでも残念とは思わなかった。寧ろ、O君の方が転校を残念がっていた。確かに教室では三人で話すことも多かったが、何となく聖也は話に入れない時があった。趣味が少し合わなかったからだろうか。今、思い返しても転校したW君には悪いことをしたな、という気持ちがある。もう遅いのだが、今だったらもう少し上手くお互いのことを思いやりながら良い関係を築けたかも知れない。聖也自身も気難しいというか、配慮が足りないところがあった。不必要に格好をつけてしまい、W君の気持ちを傷付けてしまった場面もあったように思う。

可能ならもう一度最初から三人でやり直せたらな、と思うのだが、もちろんそれは不可能な夢だ。せっかくO君と二人で自転車で引っ越し先まで訪ねたのに、W君との会話はあまり盛り上がらなかった。一緒にテレビゲームか何かをしながら、聖也が何気無く「時間が経つのは遅いな」と呟いて変な空気になったのは二〇年以上経った今でもよく覚えている。W君は明らかに苦笑いしていた。O君はひょっとしたら少し怒っていたかも知れない。二人とも優しいから直接は何も言わなかった。聖也自身は本当に時間が経つのが遅いと感じただけなのだが、きっとO君とW君の二人は聖也がつまらないと感じていると受け取っただろう。そこから先の記憶が無いので、多分帰ることになった気がする。「帰りたければ先に帰っても良いよ」とさえ言われたような気もしてきた。さすがにそれは失礼なので、もちろん「じゃあ、お先に」とはならなかったと思うが、本当に悪いことをした。O君はその後も一人でW君に会いに行っていた気もする。少なくとも、しばらく連絡は取り合っていたようだ。聖也はその日を最後にW君とは二度と会っていないし、電話も手紙も書いていない。当時だからメール等の連絡手段は無い。O君はW君と電話していたのだろうか。そう言えば、聖也もO君もW君も皆一人っ子だ。クラスの中では寧ろ珍しかったと思う。O君とW君は当時流行していたミニ四駆にハマッており、その辺りから仲良くなった気がする。聖也自身はミニ四駆は買ってもらえなかったので、二人のミニ四駆を見せてもらうくらいだった。最後の方は思い切って近所のプラモデル屋さんでミニ四駆を買ったと思うが、実際に組み立ててくれたのはO君とW君だった。改造に関してはW君が得意で、色々と教えてもらったのを覚えている。W君の家にはミニ四駆を実際に走らせることの出来るサーキットコースのようなものまであった。もちろん、本格的なものではなく、かなり小さいコースではあったが、W君くらいしかコースを持っている友達はいなかったので、ミニ四駆を走らせる時は大抵W君の家に行っていたと思う。

一旦、目が覚める。他にうっすらと覚えているのは、中東かどこかで戦争をしている場面だ。ひょっとしたら聖也はテレビの画面を通して戦争を見ているのかも知れない。ただ見ているだけだったが、リアルに感じた。他に、太陽が爆発を起こしている夢も見た。これも、あくまでもテレビのようなモニターを通して見ていたように思う。何が何だかよく分からない夢だが、「これから地球はどうなるんだろう」と不安に思ったのだけはよく覚えている。


夢三十三夜

〇時頃、二時頃と断続的に目が覚める。眠りが少し浅い感じがする。今回はあまり良い夢ではなかった。会社の同僚か支社のあまり会わない社員か。微かに見たことのある顔だ。理由は分からないが、聖也の仕事の進め方に注文をつけてきた。今一つよく分からないが、聖也のやり方は全体的に中途半端なのだという。具体的には覚えていないが、聖也が実際には言ってもないことを実例として挙げ、「こういう言い方は良くない」等と責められたので、「そんな言い方はしてない」と反論する。どっちでも良いじゃないか、という気もするが、夢の中ではかなりカッとなっていたように思う。実際にそんな場面に出くわしたら、今だったらもう少し柔らかく反論するだろうが、夢の中では相当感情的になっていた。

イライラした気持ちでゴミ袋だと思うのだが、燃えるゴミを出そうとしたら「袋の持ち方が悪い、そんな持ち方ではビニールが千切れる」と見知らぬ男に注意される。そのくらい良いじゃないか、と更にイライラしたところで目が覚めた。とにかく嫌な気分になった夢だった。

もう一つ覚えているのは、映画の影響か。街をヘビメタ系の若者達がやたら破壊していく夢だ。テロのような感じでビルが爆破されていく。聖也の立ち位置としては相変わらずテレビ番組の画面を見るようなイメージだ。時には画面の中に登場人物として入り込んだり、登場人物そのものになることもある。口笛を吹きながらビルを爆破していく若者の顔がアップになったところで目が覚めた。ただ、こういう夢は明らかに「これは夢だな」「現実じゃないな」というのが分かる。自分である程度コントロール出来る夢というのがある。恐らく、覚醒に近付いている段階で見る夢なのだろう。もう少し深い夢なら、ビルの爆破までは行かなかったと思う。ヘビメタ系の若者が集まる不穏な空気は感じても、さすがにそれ以上のことが起こるのは如何にも映画的というか、現実からはどんどん離れていく感じがする。もっとも、実際にテロが起これば夢の中でも圧倒的なリアルさを持って迫ってくるとは思うが、今の段階ではそこまでではない。


夢三十四夜

四時頃に一旦目が覚めるが、逆に言うとそれまでは一度も目が覚めない比較的深い眠りであった。二一時を少し過ぎた頃に寝たので、七時間くらいはずっと寝ていたことになる。途中で目が覚めない眠りは健康に良い。満足感がある。最近は三時間間隔で目が覚めてしまうことが多いので、何となく気分が良い。ただ、深い眠りだったため、夢の内容はほとんど覚えていない。夢を見てない筈は無いと思うのだが、起床した時点で早くも思い出せなくなってしまった。


夢三十五夜

時間ははっきりとは分からないが、恐らく〇時頃、一時頃、二時五〇分頃と何度か目が覚めた気がする。眠りが何となく浅い感じがする。コンサートホールのような広い会場にいる。客席に座っている。夢の中の聖也は、この会場に寝泊まりしているようだ。このように、駅の待合室や公園等で寝泊まりしている夢はたまに見る。台風や地震等で避難しているイメージだろうか。それともホームレスのイメージだろうか。大学時代に親しかった友人のK君が夢に出てきた。大学時代の友人が夢に出てくるのはほとんど初めてである。何か手紙のようなものを貰った。内容までは覚えていない。ひょっとしたら「いつまでもこんな生活は出来ない」「社会復帰した方が良い」という感じの戒めの手紙だったかも知れない。手紙を貰ってもあまり嬉しくなかったのは覚えている。

夢のエピソードの一つ一つは短い。そこまで非日常的なことは起こらないが、だからと言って完全な日常でもない。少しズレた日常、というのが感覚的には近い感じがする。小説の世界、漫画の世界には「少し不思議」というジャンルというか、内容の作品があるが、作者はひょっとしたら夢にインスピレーションを受けているのかな、と感じることもある。夢そのものが作品にはなかなかならないとは思うが、一つのきっかけにはなる気がする。


夢三十六夜

一時頃、四時頃と時折目が覚める。夢は幾つか見た。大学時代のサークルの部長だったB先輩が夢に出てきた。大学時代の友達や先輩、後輩が夢に出てくるのは珍しいと思っていたのだが、こうして夢の記録を取ってみると意外と出てきているのが分かる。或いは社会人になって出てくるようになったのか。大学の講義に出ている。何の講義かまでは分からない。同じ講義にB先輩がいる。B先輩は本当だったら卒業しているのだが、留年しているのか。確か、現実のB先輩も留年したか結局卒業出来なかった筈だ。その辺りも夢に影響を与えているのかも知れない。夢の中でも特に会話はしていないが、「あ、B先輩だ」「哀れなもんだな」と思ったのは覚えている。

もう一つの夢は、最近再び見直してみた映画か何かの影響か。見たことの無い虫に襲われる夢だった。慌てて足で払い除けようとしたら実際の足も動いたらしく、その勢いで目が覚めた。しばらく心臓の鼓動が感じられた。明らかに心拍数は上がっていただろう。虫が出てくる夢は結構見る。


夢三十七夜

朝から忙しくしていたこともあり、残念ながらあまり夢の内容までは覚えていない。すぐに記録を取れば良かったのだが、そんな余裕も無かった。覚えているのは、交通事故に遭う直前の夢だ。車に乗っている。何故かバックで進んでいる。随分と雑な運転をしている。明らかにスピードの出し過ぎだ。ブレーキをかけようとするが、いくら強く踏んでも車は加速する一方である。危ない、このままでは衝突する、というところで目が覚めた。


夢三十八夜

夢はあまり記憶に無いが、書店に行き、コミックを立ち読みしている夢は覚えている。面白いのは書店にもいるし、読んでいるコミックの内容もきちんと脳内に再生されるところだ。コミックから目を離すときちんと書店の風景に戻る。新刊を並べる店員さんを避けるところまではっきりと分かった。コミックの内容は覚えていないが、頭の中で作り出したストーリーであることは間違いない。ただ、もし聖也が漫画家で、夢の中に出てきたコミックのストーリーをそのまま実際に描いたとしても、恐らくちっとも面白くないだろう。


夢三十九夜

〇時頃、二時頃、目覚ましが鳴る直前頃と目が覚める。たくさん夢を見たのは覚えているが、内容の一つ一つをそこまで詳しく覚えている訳ではない。眠りはやはり浅い感じはする。

覚えている夢は、同窓会のお知らせか。中学校の時のクラスメイトの女性からUSBが郵送されてくる。パソコンで開くと同窓会のお知らせデータが入っているらしいが、セキュリティが心配なので開くことはしない。どのみち同窓会も出ないしな…と放っておく夢だ。さっぱり夢の意味は分からないが、中学校のクラスメイトが名前だけとは言え、夢に出てくるのは珍しい。会いたいかと言うと、それはどうだろう、というのが正直なところだが。それにしても高校時代の三年間に出会った友達はほとんど夢に出てこないのはどうしたことか。あまり良い思い出が無いからか。不思議と言えば不思議である。


夢四十夜

〇時頃、五時頃と目が覚める。夢は幾つか見た。会社の同僚がいる。前も夢に出てきた女性社員だ。そんなに好きなタイプの女性でもないのに、不思議と言えば不思議である。何故かウチの会社の入社試験の面接官…にツッコミを入れる立場にいる。それも面接の最中に、だ。入社希望の学生だろうか。面接に答えられずあたふたしている。面接官が厳しい意見を言うと、すかさず同僚が面接官にツッコミを入れる。具体的にどういうツッコミかは覚えていないが、面接の最中である。却って、この学生の不利益になるのではないかと、見ているこちらは気が気ではない。最終的に面接がどのような結果になったかは夢の記憶が途切れている。

一度目が覚める。国語のワークブックを開いている。問題を解いている。宿題なのか。何かの絵が描かれている。「この絵を見て俳句か短歌を作りなさい」という問題が出題されている。こんなの正解が分かる訳ないじゃないか、と不満に思いながら取り敢えず解く。試しに模範解答を見てみると、案の定「分かるかよ」と言いたくなるような答えが書いてあった。

他に覚えているのは、授業中か。見知らぬ中年教師が生徒を指名して何かを答えさせていくが、寝ていた男子生徒が反抗的な態度で返事をして周囲の生徒が笑う、という夢も見た。反抗的というよりは笑いを取ろうとしているのか。いずれにせよ、実際に日本各地の教室で起こっていそうで嫌な気分になる。


夢四十一夜

比較的早めに就寝したが、〇時頃、四時頃と目が覚める。

最近はあまり小学校時代の友達が夢に出てこなくなった。会社の同僚、上司といった身近な人がよく出てくる気がする。それか見知らぬ人か。普段はそんなに殊更意識していない人がひょっこり出てくることもある。会うと気まずい人の場合、夢の中で会ってもやはり気まずいままだ。

今日の夢の記憶はうっすらとしか残っていない。会社の同僚が出てきて日常とあまり変わらない夢だったような気がする。

ただ、あまり良い夢ではなかったと思う。小学校時代の古い友達が出てくる方が良い夢の確率が高い。何となく懐かしい感じがする。会社の同僚や上司が出てきても日常と大して変わらない。少し夜は寒くなってきた感じがするし、最近途中でよく目が覚める。そろそろもう少し厚着して寝た方が良いかも知れない。


夢四十二夜

二時頃、五時頃と大体三時間置きに目が覚める。社長らしき人物と面接している夢を見る。比較的和やかに進んだが、最後に異動希望を訊かれて特に無いと返答すると、「本当に無いのか」「悩んでいるのではないのか」と繰り返し訊かれた。今の支社で特に問題は無い、と返したところで目が覚めた。何かを暗示しているのだろうか。それにしても最近夢に出てくるのは会社の上司や同僚ばかりだ。夢も現実もあまり変わらないため、どうも心が休まらない。


夢四十三夜

一時過ぎに目が覚める。やはり会社の同僚とおぼしき社員が出てくる。顧客へのアンケート調査を実施したのだが、聖也の作った調査項目が気に入らなかったらしく、クレームめいたことを言われた。現実だったらもう少し柔らかく反論したと思うのだが、夢の中では結構感情的になっていた。

何かのプロジェクトを進めようとしているが、上手く進まずに一度最初からやり直す。記憶が漠然としているが、そんな夢も見た気がする。


夢四十四夜

遠出をする予定があったため、休みの日ではあったが朝から慌ただしかった。夢は見たと思うのだが、全くと言って良いほど記憶に無い。途中で目が覚めたかどうかも曖昧だ。比較的眠りが深かった気はするが、はっきりとは覚えていない。ただ秋に入り、あまり寝苦しくなくなったので睡眠の質は夏場よりは良くなりつつあるだろう。夏はどうしても寝苦しく、途中でよく目が覚める。エアコンを除湿にしてつけたままにして寝るのだが、それでも寝汗をかくのが常だった。以前はエアコン無し、扇風機のみで寝ていた。今では考えられない。就職して最初の三年間は扇風機のみだったのだ。おまけに自転車通勤だった。雨の日も雪の日もだ。嵐の日等は社宅と会社の往復だけでへとへとになっていた。本当に馬鹿なことをしたものである。車が無いと地方ではどうしても行動範囲が狭くなってしまう。自転車しか無い男は結婚相手としても駄目だと悟り、今では車通勤になった。前述した通り丸六年以上になるが、もう車は手放せない。特に転勤先の支社のある街はより不便な街であり、自転車通勤はちょっと考えられない。社宅と会社の往復だけなら可能かも知れないが、出張などの際は不便極まりないと言えよう。


夢四十五夜

休みの日ではあったが、八時過ぎには目が覚めた。前日は遠出したため、二〇時頃には就寝したのだ。休みの日に遠出するのもなかなか良いものである。何回か途中で目が覚めた記憶もあるが、比較的眠りの質は高かった気がする。秋になると気候が過ごしやすくなり、出掛けるにしても寝るにしても一番良い季節かも知れない。夢の内容はあまり覚えていない。幾つか見たのは覚えているのだが、起床時にはすっかり忘れてしまった。記憶のフックとなるようなメモを取っておかないと夢の記憶は何も残らない。こういう記憶は別に残らなくて良いものかも知れないが、何となく勿体無い。


夢四十六夜

二時過ぎに一度目が覚めた。あまり詳しくは覚えていないが、ビニール袋に入った蟹を持っている夢はよく覚えている。蟹はまだ生きており、暴れるように手足を動かしている。ハサミに指が鋏まれそうで恐る恐るビニール袋を持ち直すところで目が覚めた。

もう一つ覚えているのは、見知らぬ女性と卓球する夢だ。夢の中では聖也の方が実力があるようで、ラリーのスピードで押し込んでいる。女性は苦笑いしている。ただそれだけの夢だが、卓球の夢はたまに見る。


夢四十七夜

〇時頃、二時頃と断続的に目が覚める。眠りが浅い感じがする。夢は色々と見た記憶はあるのだが、内容ははっきりとは覚えていない。実家に帰省しようとしている。飛行機で空港からバスに乗り換える。雨脚が強く、道路がかなり冠水している。帰省したは良いが、帰省先から戻れなくなってしまうのも困る。結局、実家には帰らずに空港に引き返すという意表をついた行動に出たところで目が覚める。駅や空港といった場所はたまに夢に出てくる。特に大きな駅の構内で時刻表を見たり、乗り換えのホームを探したりする夢が多い。無人駅や小さな駅はあまり出てこない。


夢四十八夜

一度くらいは途中で目が覚めた気もするが、昨夜とは対照的に眠りの質が深い感じがする。休み明けというのは何となく身体が重いものであるが、数日経過するとかなり改善される。休み明けは海外旅行での時差ぼけに近い状態であると言う。要は休日の寝過ぎで体内時計が狂っているのだ。休日の寝過ぎを防げば良いのかも知れないが、なかなかこれは難しい。ついつい昼頃まで寝てしまう。夢の記憶はほとんど無い。実際、あまり夢を見ていないのかも知れない。


夢四十九夜

三時頃に一度目が覚めたが、比較的眠りの質は深かった気がする。火曜日はやや時差ぼけ状態だったが、木曜日になって少しは改善されたかな、という感じだ。夢の記憶はほとんど無い。見ていない訳ではないと思うのだが、全く思い出せない。


夢五十夜

お昼の一二時頃まで寝てしまった。バッティングセンターに行く夢は覚えている。現実でも多分、小学校以来行ってない筈だ。久々なので、かなりへっぴり腰である。最初の何球かはかすりもせず、無様に空振りする。やがてコツを掴んだのか、ヒットが出るようになる。それどころかホームランのような大きな当たりも出始めた。ただそれだけの夢だったが、大きな当たりが出た時の爽快感はやはり強いものがあった。


夢五十一夜

九時過ぎに目が覚める。温泉に入っていたようで、身体を拭いて全裸のままエレベーターに乗り込む。エレベーターには既に二人の年配の男が乗っている。二人は普段着を着ているが、聖也だけ全裸である。明らかにこのシチュエーションはおかしいのだが、乗ってしまったものは仕方ない。やがて目的階に到着する。何故か駅の改札のようだ。ただし、幸いというか、無人である。全裸のまま改札を抜けてトイレに駆け込んだところで目が覚めた。何故か駅の構内アナウンスはスピッツの「空も飛べるはず」だったのは覚えている。夢の中でも音楽が流れていた。そう言えば初めて聴く音楽のサビの部分が気に入るも、しばらく経つとメロディが思い出せなくなる、ということがよくある。何回も聴くと覚えるのだが、ヒット曲でもない限り、そんなに何回も聴く機会が無い。そうかと言ってわざわざインターネット等で検索するのも面倒で、放っておく内に完全に忘れてしまうのだが、そういった「ちょっと気になる曲」のメロディがある時、突然夢の中に流れてくることがたまにある。「あっ!あの曲のサビはこういうメロディだったな!」と思い出す。目が覚めると、それまですっかり忘れていた曲が再び歌えるようになっている…。こういった経験もごく稀にだが、したことがある。これも考えてみると不思議である。曲のメロディ自体は完全に忘れている筈なのに、夢の中で再生されて「あっ!そうだった。こんなメロディだった」と思い出すのだ。実際に日常生活の中でふと思い出すことはほとんど無いのだが、何故か夢の中で流れることによって思い出すのである。脳のどこかに刻み込まれていた記憶がふとしたきっかけで夢に出てくるのだろうか。記憶というのは実に不思議で、掴み所の無いものである。忘れているメロディでも、何かの拍子に再び耳にしたとする。「忘れていたこと」自体は覚えているのだ。再び耳にすることで「そうそう。こんな曲だったな」と思い出す。何回も繰り返すともう忘れなくなる。

夢自体を一つの啓示として捉えることもたまにある。予備校時代だが、浪人生向けの参考書のような本が売り切れており、どうしても欲しかったのだが、だからと言って注文する程ではない。その内、あったら買おうかな、と思っている時、夢を見る。少し実家からは離れたところに位置している別の書店が突然夢に出てくる。そう言えば、あそこの書店はまだ確認してなかったな、と思い出す。ダメ元で行ってみると、嬉しいことに欲しかった本が置いてある…。そんな経験もしたことがある。小さい話かも知れないが、夢のお陰である。この夢を見なければ、また、この夢に従わなければ、欲しかった本には巡り会えなかったに違いない。少し遠い場所に位置している書店の存在はこれまでほとんど意識したことがなかったのだ。何故、夢に出てきたのだろう。更に、これまで探し求めていても見つからなかった本が、そこにはあったのだ。『浪人しなくて何が人生だ!』みたいなタイトルの小さい本だったと思う。河合塾の講師の先生が書かれた本だった。


夢五十二夜

早めに就寝したこともあり、比較的すっきりとした目覚めだった。ゼリーを食べる夢は覚えている。夢の中の食べ物はやはり味がしない。一瞬だけ甘味を感じるが、次第に何も味がしなくなり、ゼリー自体もどんどん食べにくくなっていく。味覚は夢の中で再現しにくいのだろう。


夢五十三夜

五時過ぎに一度目が覚めるが、逆に言うとそれまでは一度も目が覚めない深い眠りだった。車に乗っている。久々に定食屋に行くようだ。駐車場が変わっている。車を停める位置が今までは横一列だったのが、縦一列になっている。かなり停めにくい。おまけに、真ん中の列には自転車が停まっている。奥に行けば行く程、停めにくいし出にくい。立ち往生しているところで目が覚めた。


夢五十四夜

やはり五時過ぎに一度目が覚めるが、七時間くらいは睡眠が途切れることもなかった。秋になると睡眠の質が良くなると言えよう。何故か地元で甲子園の準決勝が行われている。場所が甲子園球場ではないのでその試合を甲子園と呼ぶのは相応しくないのだが、まあそこは夢である。準決勝に進んだのは埼玉県代表とどこかの高校のようである。埼玉県代表は今夏の全国制覇を果たした高校であるため、夢も影響を受けたのだろう。更にもう一試合は北海道代表と沖縄代表の高校が対戦するようだ。ピッチャーとバッターのそれぞれのパフォーマンス合戦が盛り上がっている。ピッチャーはマウンドで天を仰ぐように胸を反らし、そのまま仰向けになってひっくり返ってしまいそうだ。そんなピッチャーを見て観客がどよめく。

急に場面が変わる。球場からの帰りなのか。自転車に乗っている。自転車停める駐輪場のような場所を探しているようだ。本当はそこには停めてはいけないようだが、そこしか無いのか。どこかの学校のグラウンドに自転車を停めたところで目が覚める。


夢五十五夜

三時頃、一度目が覚める。やや眠りが浅い感じがする。鉄道レールに沿って四つん這いになって進む女がいる。聖也自身の目はカメラとなって後ろから前から女を写している。途中で暴漢に襲われるが、いきなり現れたロボットが撃退する。ロボットは小さい頃にテレビで見た特撮に出てくるような格好をしている。撃退中は明らかに「これは夢だな」と見ていて分かった。あまりに非現実的な場合は、すぐに夢だと分かるのだ。ところが、また現実的な夢に戻る。こういうケースは珍しい。ロボットに助けられた女、というよりは女は聖也自身でもあるのだが、そのまま四つん這いで前に進む内に閉鎖された駅の構内に辿り着く。よく分からないが、この駅は今は使われていないらしい。駅に着くと、何故か会社の総務の同僚がいる。何かを説明している。新しい電化製品の使い方のようだ。だが、スイッチが入ってない。スイッチは別の電化製品と繋がっているので、押してもつかないのだ。どういうメカニズムなのかはよく分からないが、スイッチの意味が無いのだけは確かなようである。急に場面が変わる。実家に戻っているが、誰も歓待してくれない。見知らぬ女性がいる。よく見ると出産した従姉妹のようだ。随分おばさんに見える。実際の従姉妹とはもう一〇年以上会っていない。従姉妹は聖也を無視してさっさと奥へ行ってしまった。


夢五十六夜

三時頃に一度目が覚める。見知らぬ女、と言ってもまだ一〇代か。何故か羽根がある。この女の子は鳥のように空を飛べるようだ。聖也の会社に勤めている。転勤するらしいが、空を飛べる範囲内で行く支社が決まるらしい。父親も同様に空を飛べるので、少し遠いが自宅から通える範囲の支社に転勤するようである。聖也自身も転勤の経験談を女の子にアドバイスしている。引っ越し先の街が不便なことを面白おかしく伝えると随分受けていた。自分で言いながら、そんなにおかしいかな、と幾分不思議に思う。


夢五十七夜

三時前後くらいに一度目が覚める。映画か何かの影響か。映画の一場面のような夢を見た。見知らぬ少年が象を倒そうとしている。後ろから馬乗りになって襲っている。もちろん、本来は人間一人、素手で象を倒すことなど不可能なのだが、そこは夢である。象は激しく抵抗し、遂には反撃してきた。いつの間にか象は怪物のようになり、人間を襲い始める。目についた人間を片っ端から襲っている。会社の同僚らしき男性社員が運悪く捕まった。足を怪物に踏まれ、絶叫している。聖也自身はカメラとなって淡々とその光景を映し出している。だが、夢から覚めるとかなりドキドキしていた。象を怒らせて怪物化させた少年はその後は全く登場しない。夢なのでストーリーに整合性は全く無いのだ。場面だけが断続的に続き、オチも無く唐突に切れる。


夢五十八夜

坂道を自転車で降りる。かなりスピードが出ているのでブレーキで調節しようとするが、全く効かない。一旦、自転車から降りて押して歩くことにする。自転車のブレーキが効かない夢はたまに見る。そのまま川沿いの道を歩く。いつの間にか単なる徒歩に変わっている。自転車は捨ててしまったのか。川沿いの道は実家の近くに実際にある。その記憶が夢にも影響しているのだろう。そのまま真っ直ぐ進むと、見知らぬ住宅街に出た。何処に行こうとしているのか自分でもよく分からない。道に迷ったようである。立ち止まって思案しているところまでは覚えているが、その後の記憶は無い。


夢五十九夜

二度程途中で目が覚めた気もするが、時刻は覚えていない。汲み取り式のトイレが出てきた夢は覚えている。ただ、それだけの夢だ。祖父母の家にあったのだ。時々、夢に出てくるのが不思議である。余程、印象に残っているのだろうか。それ以外にも幾つか夢を見た筈なのだが、後は覚えていない。


夢六十夜

三時過ぎに一度目が覚める。比較的眠りの質は深い気がする。空を飛ぶ夢は覚えている。空を飛ぶというよりは体がふわふわと宙に浮かび、少しずつ上昇していく感じだ。ホテルのような建物にいるが、窓から脱出して外に出る。そのまま空を飛びながら街を眺める。ストーリーらしいストーリーは無いが、空を飛んでいる時は「これは夢だな」と何となく分かる。ある程度、夢の内容も自分でコントロール出来る感じである。壁のようなものにぶつかりそうになっても「そのまま通り抜けてしまえるな」と思えば本当に通り抜けてしまう。夢と妄想の間くらいの感覚だ。自分である程度コントロール出来る夢というのは、しかし逆説的ではあるが、あまり夢としては面白くない。半分くらいは覚醒しているからだろうか。自分で何でも出来る世界は意外とつまらないのかも知れない。


夢六十一夜

早めに就寝したが、途中で目覚めることもほとんど無い深い眠りであった。仕事終わりか。夜、自転車でかなり遠出している。現実的にはそんなに短時間では着かないと思うが、隣街にある公民館のような施設に到着する。本来、この手の施設の場合、夜中は閉まっているのが相場であるが、夢の中では開いているのだ。大浴場まで併設されている。入浴も出来るようだ。脱衣場のロッカーが大きめの冷蔵庫のようなサイズで壁面にぎっしりと並んでいる。着替えていると、見知らぬ中年の男性に何事か話し掛けられる。軽く相槌を打ちながらしばし談笑する。入浴後、ホールのような場所で宿題なのか予習なのか。よく分からないが、ノートを開いて勉強を始める。就職してからも勉強する夢はずっと見続けている。肝心の勉強そのものの内容は夢の中でははっきりしないのだが、今回は数学のワークだったような気がする。大抵は数学か国語である。英語はなかなか夢には出てこない。何人か同じように勉強している社会人がいる。少し遠いが、これから毎日通うかな、と思ったところで目が覚めた。


夢六十二夜

夢の内容はあまりハッキリとは覚えていないが、実家に帰省している夢は微かに覚えている。実家の自分の部屋にいるが、そろそろ戻ろうとしているようだ。時間を気にしているが、JRの時刻表を気にしているのか。ただそれだけの夢である。荷物をまとめるのに些か時間を使っている内に目が覚めた。


夢六十三夜

バスに乗っている。学生の団体旅行なのか。乗客は一様に皆若い。もうすぐ旅も終わりのようで、一人一人最後のスピーチをしている。理由はよく分からないが、前に座っていた若い女子学生がスピーチの途中で泣き始める。感極まったのか。他の女子学生も影響されて涙を流している者もいる。そんなに旅が良かったのか。残念ながら旅そのものの内容は夢に出てきていないため、聖也一人感動が共有出来ない。スピーチの後、何故か一人ずつ前に出る。高校時代の担任らしき男性教員がいる。場所はいつの間にか教室のような部屋になっている。バスからは降りたのか。教卓には電話が設置されている。一人ずつどこかに電話を掛けている。聖也自身は一番最後に電話を掛けることになった。何故か病院の予約を取ろうとしている。希望の日時に上手く予約が入らず、中途半端なところで電話を切る。担任の先生が「私的な電話はしないように」と全体に向けて注意を促している。聖也に対する注意の意味もあるのだろうか。本当は別の病院にも電話を掛けたかったのだが時間も無いため、断念する。いつの間にか実家の自分の部屋にいる。帰省しているのか。帰りのJRの時刻表を気にしている。当初予定していた時刻通りに駅に向かわなくても次の発車を待つか、と思い直したところで目が覚める。


夢六十四夜

前に住んでいた社宅らしき建物が遂に夢に出てきた。「遂に」と言うのもおかしな感じだが、今住んでいる社宅はまだ夢に出てきていない。リアルタイムで進行していることはあまり夢には出ないのだ。次の社宅に引っ越せば、今の社宅もいつかは夢に出てくるかも知れない。社宅に住む社員とその家族皆で朝の一斉清掃活動をしている。聖也自身は部屋自体は引っ越しているようだ。実際には住んでいない前の社宅周辺の清掃活動に参加しているらしい。途中で抜けて何処かに行こうとするが、他の社員から「あれ、どうしたんですか」と言われないか冷や冷やしている内に目が覚めた。前の社宅は古かったが、その印象がやはり強いのだろうか、夢の中の社宅はボロボロでとても人が住めるような状態ではなかった。


夢六十五夜

五時過ぎ、自然に目が覚める。寝起きが良い感じがする。ハッキリとは分からないが、恐らくは祖母の葬儀に出ている。何故か友達と一緒だ。参列者が思ったより少ない。ただ、それだけの夢だ。参列者一覧がプリントになって壁に貼り出されていたのは覚えている。

この一週間くらいは慢性的な腰痛や偏頭痛がほとんど消えている。冬が近くなると、歩く度に頭痛がしたり、腰の辺りが重く感じたりした。今はそれがほとんど無い。身体が全体的にキュッと引き締まっている感じがする。そのまま一点に収縮してしまいそうだ。その割に肌自体は潤っているというか、何か水分で満たされている感じがする。いつもは肌が乾いた感じになるのだ。更に慢性的な腰痛が消え、歩く時も歩きやすい。冬場は背中に鉛が入っているような重い気だるさのような感覚がずっとあった。とにかく、すぐにだるくなってしまうのだ。前向きな思考が出てこなくなり、すぐしんどくなる。今はそれが無い。寝つきは悪くなったが、寝起きが前より良い印象がある。もちろん、全て気のせいかも知れない。だが、気のせいだとしても今はすこぶる体調が良い。こんなに前向きになれるとは驚きである。腰の辺りが重いと、何事も行動するのが億劫になる。一つ一つは本当に些細なことなのだ。休みの日、洗濯物が溜まっている。そろそろまとめて洗濯しておいた方が良いのだが、なかなか行動に移せない。とにかく動くのが億劫だ。髭が伸びている。剃った方が良いのだが、どうしても面倒だ。葉書をポストに投函しなければならないのに、何となく億劫になって先送りしてしまう…。こういったことが積み重なると、自己嫌悪にも陥るし、悪い循環の中に入ってしまう。寒くなると尚更だ。これらが一気に解決出来るだけでなく、行動的になり、自分にも自信が持てるようになる。主体的に行動出来るようになる。

慢性的な腰痛をほとんど感じなくなった。偏頭痛もあまり感じられない。ただし、日によって偏頭痛は少し残っている。昨年程ではないが、時折頭の奥が重く感じることはある。腰の痛みはそれに比べるとあまり無いので、ありがたい。休みの日など、慢性的な偏頭痛と腰痛のダブル・パンチに襲われることがある。洗濯物が溜まっていても寒いし、動くのが億劫である。電球が切れていても近所の電気屋に行くのがどうも気だるい。何とか文字通り重い腰を上げて電気屋に行っても、店員に説明するのが面倒くさい。一刻も早く家に帰りたい。とにかく腰が痛く、だからと言って横になっていても痛みはそれほど和らがない。昨年は年間を通してそんな感じであった。今年はそれがほとんど無い。特にこの二週間は動きやすい。今日は一九時過ぎに寝て、六時頃に起床している。一一時間くらい寝ている訳だ。一度も目覚めていない。


夢六十六夜

途中で目覚めることの無い、比較的深い眠りであった。実家に戻っている。時刻は夕方くらいか。少し蒸し暑い。温水プールに行こうとしているが、外は雨が降り始めている。「何故か」と言うべきか。「やはり」と言うべきか。移動手段は自転車のようだ。雨が降っているため、温水プールに行くのは断念する。それどころか、急に思いついて「社宅の方に戻るか」と帰る準備を始める。実家に帰っているが、すぐに社宅に戻ろうとする夢ばかり見ている。実家に帰りたいのか、帰りたくないのかさっぱり分からない。社宅に戻ろうと着替えや荷物をまとめていると、テレビで将棋の対局番組をやっている。若手の棋士とベテランの棋士の対局のようだ。実際の対局前のトークの部分を見ている内に目が覚めた。


夢六十七夜

会社の同僚がいる。聖也にとってはあまり馴染みの無い街を案内されている。その街は今、お祭りをやっているようだ。地元の高校生が神輿を担いで何やら楽しそうに踊っている。見知らぬ会社の中に入る。案内していた同僚が急に走り出した。急がないと会社が閉まってしまうと言う。慌てて聖也も後を追う。階段をどんどん降りていく。同僚の後ろ姿を見失いそうになる。このまま間に合わず会社に閉じ込められてしまうのか、と思ったところで目が覚めた。


夢六十八夜

五時頃、一度目が覚める。支社は違うが、同じ会社の同僚女性にメールを送ろうとしている。ウチの社内メールの場合、名字と名前がアドレスとして使われている。ふと見ると、同僚のアドレスの綴りが変わっている。結婚したのか。明らかに名字の部分が新しくなっているのだ。そこまで気になっていた女性社員ではなかったが、一瞬動揺してしまう。ただそれだけの夢だったが、目が覚めると何故かホッとしてしまった。

もう一つの夢も会社の別の同僚にメールを送る夢だ。メール本文の内容は覚えていないが、何となく愉快な気持ちになったのだけは覚えている。こちらも、ただそれだけの夢である。


夢六十九夜

狭い教室のようなところに座っている。机と椅子がところ狭しと並んでいる。一緒に座っているのは全員で四〇人くらいか。聖也だけ先に帰ることにしたようだが、何故かドアが椅子で埋まって出られない。カンフーの掛け声のような奇声を発してドアを蹴破って外に出たところで目が覚めた。

もう一つ覚えているのは、大学の情報処理室か。パソコンが並んだ部屋にいる。内容までは分からないが、何かの講義を受講している。学生時代に戻ったかのような錯覚に陥った。時たま、大学時代の夢を見ることがある。大学時代に大学の夢を見ることはほとんど無かったと思うのだが、社会人になって急に見るようになったのは不思議である。


夢七十夜

どこかの学校にいる。小学校か中学校か高校かは分からない。場所は体育館らしい。松葉杖をついている少年がいる。周りの子ども達が走り回っているのを尻目に淡々とどこかに歩いている。体育館は騒がしい。そのまま校庭に出たところで目が覚めた。


夢七十一夜

高校か。関西弁を話す中年男性教員が漢文の授業をしている。軽妙なトークで場を盛り上げている。わざと漢字を間違えて板書し、「何も考えずに機械的にノートに写してはいけない」と全体に向けて注意を促している。急に場面が変わる。数学のワークか。計算問題がたくさん掲載されている。最初の方の問題を解こうとして全く歯が立たないことに気付き、愕然としたところで目が覚めた。


夢七十二夜

二時三〇分頃、五時頃に目が覚める。会社の同僚女性社員か。子どもが産まれたものの、子育てが上手く行かないらしい。涙を流して何やら訴えている。かなり感情的になっており、周囲の社員が落ち着くように宥めている。現実のこの同僚はまだ結婚していないが、夢の中では既に母親になっているようだ。聖也が少し茶化したような慰め方をしたため、余計に泣き出してしまった。余計なことをしたかな、と困惑してしまう。急に場面が変わる。祖父母の家か。大勢の社員が一緒に泊まっている。ただそれだけの夢である。祖父母の家は確かに広いが、そんなに大勢が泊まれる訳ではない。もう下手すると二〇年くらい行ってないし、祖父母も既に他界しているが、それでも何故かたまに祖父母の家は夢に出てくるのが不思議だ。急に場面が変わる。テレビ番組を見ている。バラエティーのようだ。よくは分からないが、ゲストの芸人がギター漫談をしている。思わず声を上げて笑ってしまった。自分の笑い声で目が覚める。明らかに夢の中で笑っていた。


夢七十三夜

転勤する前に住んでいた街にいる。夢の中の聖也はまた最初の勤務地に戻ることになったようである。今の支社がある勤務地は二年しかいなかった計算になる。転勤の挨拶スピーチをしている。全く面白いことは言ってないが、他の転勤した同僚は面白おかしく自己紹介している。中には子連れの女性社員もいる。それだけの夢であるが、妙なリアルさはあった。


夢七十四夜

街頭演説か。どこかの小学校のグラウンドで誰かが演説している。よく見ると明らかに首相である。この近所の小学生の中で少年野球チームに入っている子の保護者に向けた演説内容となっている。一国の首相が話す演説としては随分ローカルな話題であるが、少年野球の運営には金がかかる旨を力説している。


夢七十五夜

三時頃、一度目が覚める。若い母親が工場のようなところを案内されている。案内しているのは受付の女性だ。何か地図のようなものを母親に渡した。母親は渡された地図を持って子どもと二人で青森まで歩くという。道中、怪しい初老の男に襲われそうになるが、母親と子どもは姿を消すことが出来るらしく、男の襲撃をかわしたところで目が覚めた。

もう一つの夢は場所は病院か。いきなり看護師に腕を掴まれ、血圧の検査を受けている。研究の一環だと説明されたが、何の研究なのかさっぱり分からない。それだけの夢だ。


夢七十六夜

三時三〇分頃に一度目が覚める。赤ずきんちゃんの本当の原作があるのだと言う。従来、知られているストーリーとは全く違い、本当の原作では巨大な蛸に赤ずきんちゃんが襲われるらしい。狼はラスト近くまで登場しない。そういったストーリーがアニメーションになっている。何だか相変わらずよく分からない夢だが「へぇ、実際の原作はそうなっていたのか」と妙に感心してしまった。


夢七十七夜

会社の同僚女性社員二人が何やら会話をしている。社内でテストがあったようだ。問題はよく分からないが、英語や数学といったお馴染みの試験だと思われる。「七割くらい取れないといけなかったのに」と反省会をしている。聖也自身は二〇人中一三位と書かれた成績表を隠すようにバッグに入れている。五割を切った成績に青ざめているところで目が覚める。

もう一つの夢は、久々に小学校時代の友達が出てきた。見た目も小学校時代と全く変わっていない。映画の話をしている。昔の映画が題名を変えてリメイクされたらしい。前半はばっさりカットされており、一見したところリメイクされたとすぐに分からない。昔の映画をよく知る会社の上司が出てきて作品の解説をしている。「へぇ」と思いながら聞いているところまでは覚えている。急に場面が変わる。場所は大学時代の図書館か。夕方の時間になると入館カードが無いと入れないのだが、財布の中に入れていたカードをよく見ると近所の電気屋の会員カードである。それを見た中学時代の友達が大笑いしている。ただそれだけの他愛の無い夢だ。


夢七十八夜

会社の男性先輩社員か。路上で何故かカラオケを歌っている。周囲の通行人は苦笑いしながら見ている。聖也自身も「止めた方が良いのかな」と内心思いながら結局素通りしてしまう。そのまま何故かスケート選手のようなスタイルで走る。よく見ると道路もスケートリンクのようである。靴もいつの間にかスケートシューズになっている。なかなか前に進まないところで目が覚めた。前半のカラオケしている先輩社員と後半のストーリーの繋がりは何も無い。


夢七十九夜

夢はほとんど覚えていない。小学校時代の友達の家か。微かに見覚えのある家だ。無断で中に入り、押し入れを何やらチェックしている。友達は怪訝そうに見ている。ただそれだけの夢ではあるが、「一体何がしたいのやら」と思ってしまった。


夢八十夜

四時頃、一度目が覚める。場所は大学のキャンパスのように見える。学園祭をしているようだ。聖也は自転車に乗っている。相変わらず夢の中の自転車はブレーキが効かない。途中で自転車を降りて歩く。学園祭ではカラオケ大会のようなコンテストをしている。通常、この手の学内のコンテストは学生が出場するものだが、夢の中では社会人や芸能人崩れも参加している。何年も挑戦しているらしい女性フリーアナウンサーがいるが、エントリーが間に合わなかったのか今大会は出場しなかったらしい。毎回、二位や三位ばかりでなかなか優勝出来ないことを嘆いている。

急に場面が変わる。と言っても、場所はやはり大学のキャンパスのようだ。トイレを探している。ところが、出てくるトイレというトイレは全て破壊されている。これでは安心して用が足せない。ウチの会社の警備員が何故か見回っている。男子学生二人が逃走を図っている。あの二人が犯人なのか。警備員が罵声を浴びせながら追いかけているところで目が覚めた。

一度目が覚めた後、更に夢を見る。市民会館とかコンサートホールとかそんな感じの施設か。客席にいる。モニターには客席が写し出されており、子どもが走り回っている映像を何故か皆で見ている。ただそれだけの夢である。


夢八十一夜

どこかの駅か。駅も夢によく出てくる。自転車に乗って行こうとしている。少し遠いところにあるようだ。無理にその駅に行かなくても良いのでは、と思ったところで記憶が途切れている。

急に場面が変わる。場面は狭い教室のようだ。小学校、中学校、高校のどれかは分からない。斜め前の机の上に化学のテスト用紙が置かれている。「誰のテストだろう」と思いながらもそのままにしていると、後ろから「私のテストだ」と見知らぬ中年女性が申し出たところで目が覚める。


夢八十二夜

一度も目覚めることの無い深い眠りであった。化学か何かの授業か。班ごとに分かれて何かの調べ学習をしている。小学校時代の友人もいれば、会社の同僚もいる。出てくる登場人物はこれまで出会った人が時系列もバラバラで混ざって出てくるのだ。何を調べようとしているのかはよく分からないが、聖也の所属している班は活動に行き詰まってしまい、何となくただのお喋りタイムになってしまっている。それに気付いたのか、担当の教員がヒントをくれる。慌てて聖也の班のメンバーはそのヒントをノートにメモしていく。しばらくすると班ごとに場所を移動することになった。場所は何となく旅館のような部屋に変わっている。高校時代、予備校時代の友人が初めて出てきた。当たり前と言えば当たり前だが、友人はその当時の姿のままだ。先に帰宅するようだ。「じゃあ」と軽く手を挙げて去っていく。そこから後の夢の記憶は無い。


夢八十三夜

二時四〇分頃、一度目が覚める。会社の上司と喫茶店のようなところにいる。夢の中の聖也はまだ学生のような立場らしい。「就職活動はどうするのか」と問われて言葉に詰まっている。「まだ決まっていないのなら印刷会社で良いところがある」と紹介される。何故、印刷会社なのかはよく分からないが、「ありがたい」とホッとする。

急に場面が変わる。コンサートホールのような客席に座っている。見知らぬ女性が客にお菓子を配り始めた。よく分からないが、取り敢えず貰って食べる。それだけで、それ以降の夢の記憶は無い。


夢八十四夜

夢は結構見た筈なのだが、かなり忘れてしまった。何か大きな板のようなものを大勢で運び、倉庫に押し込む夢は覚えている。強く押し込み過ぎてしまい、これは大丈夫か…と思ったところで記憶は途切れている。

ラグビーかアメフトの試合か。開始と同時に大量の蝙蝠が飛び始め、試合が成り立たなくなる。最初はテレビ画面を通して見ていたのだが、いつの間にか聖也自身も現場のスタジアムにいる。蝙蝠が飛び去った後、スタジアムは大混乱に陥っていた。

急に場面が変わる。狭い道を歩いている。向こうから車が来る。咄嗟に川に飛び込む。予想していたよりも川が深く、腰まで浸かってしまう。ずぶ濡れになったところで目が覚める。「夢で良かった」とかなりホッとした。


夢八十五夜

覚えているのは坂道を自転車で降りている夢だ。途中で雨が降ってきたため、「よく考えると車があったな」と思い直し、車にしようとアパートに戻るところで目が覚めた。


夢八十六夜

二〇時過ぎに就寝し、そこから一度も途中で目が覚めることの無い深い眠りであった。その分、夢の内容はほとんど記憶に無い。朝食に何を食べたかどうしても思い出せない、という夢は覚えている。後は体育館のようなところに大勢が集まっている夢だ。ただそれだけの夢である。


夢八十七夜

夢はあまり覚えていない。何故かアメリカ大統領選の現場にいる夢は覚えている。小さな体育館のようなステージで開票作業をしているのが印象的であった。


夢八十八夜

雨の中、野球の試合をしている。何故か試合の途中でバスに乗り、どこかに移動する。バスの中で女性監督が突然「試合の続きはこのバスの中でする」と宣言してボールを投げ始めた。その球を三球連続でホームランにしたところで目が覚める。


夢八十九夜

四時三〇分頃に一度目が覚める。どちらかというと深い眠りであった。そのため、あまり夢も見ていない気がする。二〇時過ぎには就寝したため、八時間以上はずっと寝ていた。

物置小屋のようなところで寝泊まりしている無職男性が出てくる夢は覚えている。夏は暑く、冬は寒い環境だ。時折、外に出歩いているらしいが、男性の父親はそのことを知らないようだ。ただそれだけの夢である。


夢九十夜

多くの夢を見たと思うが、覚えているのはごく僅かだ。学校の体育館のようなところにいたが、休み時間になったらしく一旦何故か実家に帰る。本来、学校から実家はそんなに短時間では戻ることが出来ないのだが、そこは夢である。休み時間がそろそろ終わるかという時間帯になってようやく学校に戻ろうとする。残り時間は二分しかない。たとえ車でも戻れない時間だ。遅刻を覚悟しながら敢えてゆっくり進むところで目が覚める。


夢九十一夜

中学時代に合唱コンクールという行事があったが、その影響か。聖也自身は何故かピアノ伴奏を担当している。本番ではアドリブも交えながら何かの曲を格好をつけて弾いている。実際はピアノなど弾けなかったので、妙な夢と言えば妙な夢であると言えよう。


夢九十二夜

体育祭か運動会か。リレーのアンカーとしてバトンを受け取り、後方から猛スピードで追い抜きそのままゴールする。更に、ソフトボール大会でも逆転のホームランを打つという何だか小学生が憧れるようなシチュエーションの夢だ。実際の聖也はスポーツも当然出来なかったが、だからと言って小学生の頃はそんな夢は見なかったと思う。生々し過ぎて逆にそういう夢は見にくいのだろう。今だったら、例えば会社で営業の一位になって優秀社員賞みたいな感じで社内表彰される夢か。確かに、ちょっと生々し過ぎて夢に見ることは無さそうである。あまりに現実に近いと夢に出にくいのかも知れない。会社を退職したらその内夢に出てくるようになるのだろう。


夢九十三夜

小学生の時、国語の教科書に『ごんぎつね』という童話が掲載されていた。最後は猟銃で人間に撃たれる話だ。明確には書かれていないが、恐らくはごんぎつねの死を暗示してこの話は終わる。小学校の担任は『その後のごんぎつね』という題で聖也達に作文というか創作童話を書かせようとした。本来、こういうのは好きな筈だがその時の聖也にははまらなかったようで、あまり真剣には創作に取り組まなかったと思う。そんな後悔が夢に反映されたのだろうか。今まですっかり忘れていた『その後のごんぎつね』を真剣に書くという夢を見た。どんな創作内容だったかは今一つ覚えていない。小学校時代の友達が久々にたくさん夢に出てきた。顔や見た目はあの頃のままだ。夢の中で聖也の国語の教科書に挟んであった自習プリントを広げて見ている友達の姿はよく覚えている。


夢九十四夜

温泉施設のようなところにいる。偶然、前の事業所の同僚とバッタリ出会う。同僚も最近転勤したらしい。簡単にお互いの近況報告をし合う。中学校時代の友達も出てきた。高校は別だったのでその後はずっと会っていないが、部活も同じ卓球だったのだ。何を話したかは覚えていない。急に場面が変わる。バスかタクシーでどこかに遠出することになった。ところが今一つ集合場所がよく分からない。会社の同僚の多くは今回参加しないらしく、誰に尋ねれば良いかが分からずに四苦八苦するところで目が覚めた。


夢九十五夜

海にいる。昔、使われていたらしい船の残骸がある。もう一度航海出来るだろうか。試しに海に浮かべてみることにする。不安定ではあるが、まだ使えそうだ。ホッとしていると、突然船が動き出す。かなりのスピードだ。よく見ると船はいつの間にか鹿に変わっているではないか。上手く鹿を捕まえることが出来ず、何度チャレンジしても逃がしてしまう。何度目かのチャレンジで、ようやく捕まえることに成功する。


夢九十六夜

大学時代、一般教養科目で近代文学を教えて頂いた教授に久々にお会いする。教授の授業は板書が多く、ノートを取るのが大変だった思い出を伝える。教授は何故か苦笑いしている。急に場面が変わる。ニュース番組を見ている。場所はアメリカか。裸の男女の集団がいる。何かのパフォーマンスのようだが、具体的には分からない。政府に対して何等かの抗議をしているように見える。


夢九十七夜

社内勉強会のような会合で発表している。発表内容はよく分からないが、何故かアンパンマンの主題歌を朗読している。メロディーは無視して歌詞だけを詩のように朗読しているだけだ。そこから何か見えてくるものがあるのかどうかよく分からないが、同期の社員を指名して朗読をお願いしたりもしている。同期は何故かメロディーに合わせて歌い始めるところで目が覚めた。


夢九十八夜

駅の構内にいる。受験シーズンということもあり、受験生が多数乗車している。プラットホームにて、何故か空の弁当箱を回収して燃えるゴミのボックスに入れる仕事をしている。ボックスが見当たらず、しばらく探したが諦めて駅員さんに手渡すところで目が覚める。


夢九十九夜

体育館にいる。部活か。バレーボールの練習をしている。コーチ気取りで練習を見てあげている。スパイクの打ち方を指導している。現実ならばそんな指導力は無いのだが、夢の中では大活躍だ。


夢百夜

大きな世界地図をマジックペンでなぞっている。ただそれだけの夢である。「自分の領土はここからここまでだ」と線引きしたかったのだろうか。


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