表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女さんとの魔法な日常  作者: ゴマ麦茶柱
4/9

魔女さん家に来る

「ただいまー…」

 魔女見習いになって、初めて家に帰る。

 そして、なぜかさっきから罪悪感がする。

 ―「あ、もちろん魔法は私と心だけの秘密だよ?」

 やっぱり、秘密っていうのがなんかいけない気がするのかもしれない…。

 服の袖に隠した杖をチラッと見る。ただ綺麗に形が整っている木の枝ではない。恐らく、科学的に証明されもしていない魔法を扱える道具なのだ。

「おかえり~…あんた、何か綺麗な格好してるわねぇ」

「そ、そうかな?」

 多分、魔法で体と服を洗ってもらったからだ。

「夕飯はカレーね」

「わかった」

 私はそれよりも、早く自分の部屋に行きたい。

 階段を駆け上がって自分の部屋に入って戸を閉める。

「ふぅ…」

 息が上がった時みたいに半強制的にため息が出る。

 そして、杖を裾からスルッと取り出す。

 改めて杖を見つめると不思議な形をしている。

 模様を立体的に彫ったような形、でこぼこだが手には馴染むし尖っていたり刺さるようにはなっていない、ちゃんと整形してある。そして少し尖った先っぽ。

「よっ…」

 危ない危ない。危うくまた無意識に杖を振るところだった。

「どのタイミングで魔法を使えばいいのよ…」

 今のところ安全に使えそうなのは電気の魔法だけ。電気で何ができるって…携帯の充電くらい?

 ガチャ

「ねぇ、あんたにお客さん」

「ほわぁ⁈」

 杖を放り投げてしまった。幸い、ベッドに着地したので無傷。

「い、今行く…」

 えっと…誰だ?私にお客さん…?お客さんってことは友達じゃないのか?

 階段を下りて玄関の戸を開ける。

「やっ!いつぶりかな」

「…あっ!」

 移月さんだった。あの魔女姿じゃなくて私服だったので一瞬誰かわからなかった。

「忘れ物を届けに」

 そう言うと、人差し指を立ててそこに突如として魔女帽が現れ、被さる。

「いや、何で家の場所知ってるんですか!」

「千里眼」

「せんり…がん?」

「あ、お母さん」

 移月さんが私より奥を見つめたので、私も振り返るとお母さんが階段から降りてきていた。

「いつも娘がお世話になってます」

「いえいえ」

「良ければ上がっていってください」

「え、お母さ―」

「良いんですか?では、お言葉に甘えて…」

「移月さん、ちょっと…」

 靴を脱いで移月さんが我が家に入ってきた。

「あ、心。この棒、あんたのベッドの上に置いてあったけど、この棒なに?」

 母の手には私の杖が握られていた。まずい…。

「あ、それは…」

「あ~これ、私彫刻が趣味でして」

 移月さんが割って入るようにして話して、母の目の前で何かをするように手を一回降る。すると、模様が描かれた青白い円盤が母の目の前で現れてすぐ消えた。恐らく、魔法をかけたのだろう。

「あぁ…そうなんですか」

「心ちゃんもベッドに置いておかないでよ~」

「あ、はい」

 杖を母から取り戻して、二人で私の部屋に入る。

「杖は自分しかわからない場所にね」

「はい」

 優しく注意される。確かに危なかった。

「うん…さてと、女の子の部屋って感じだね~よっと」

 私のベッドに座った。

「私のベッド…」

「別にいいじゃん~減るもんでもないし~」

 確かに減るものは無いだろう。けど、そういう問題じゃない。もっと言うなら、損であることはそういうもん問題じゃない。

「さてと、せっかく家に来たんだし面白い事の二つや三つしたいよね」

「まぁ…」

 ここでちょっと続いた会話を延々とするよりはよっぽどマシだし、何より不毛なことはしない方が良いと思う。めんどくさいことになりそう。主にダル絡みという点で。

「せっかく魔法があるんだし、何か面白い物を見せてあげよう!」

「そっか」

 魔法があったか。何かボードゲームとかトランプの類しか思いつかなかったけど、それがあった。まぁ、リバーシとかすぐに飽きそうだから絶対にやらないけど。

「私の魔法って、何かと青っぽいでしょ」

「そうですね」

 杖を出現させたり、出した円盤の色は青色が多い気がする。

「あれは私の得意魔法がワープだからなの」

「ワープ…」

 瞬間移動するアレ?

「私をワープさせたり、物を取り寄せたりできるアレ。ワープが得意魔法になると青白い魔方陣になるっぽいの」

「魔方陣って何ですか?」

「あれよ、いつも出てくる丸いやつ」

 …あ~あの円盤か。

「けど心ちゃんにはないでしょ?」

「たしかに…」

「心ちゃんが使ってる杖って、私が魔法初心者の時使ってたやつなの」

 おさがりだったんだ。

「だから、杖自体に魔方陣を色づけたりデカい魔方陣を作れるほどの力は無いの」

 私は握っている杖を見つめ、移月さんの杖もよく見る。

「それに、心ちゃんは得意魔法がはっきりと表れてるわけじゃ無いしね」

「はっきりと…?」

 はっきりとはどういうことなのだろう。既に使ったことがある魔法に私の得意魔法があるのか?

「そ、多分だけど…最初に召還したあの弾丸」

 弾丸というワードだけであの時の情景が一瞬で浮かぶ。

「あれが心ちゃんの得意魔法なのかもしれない」

「え…っと…」

 弾丸を召喚させて飛ばす能力…。

「もっとかわいいの無いんですか?」

「か、かわいいの?」

 流石にそんな危なくてしかも武器になるものが得意魔法なのは嫌だし、かわいくない。

「お花を咲かせるとか人魚になれるとか…和風なのだと狐とか狸になれるとか一応、色々あるよ」

 なにそれかわいい。狐になるってめちゃかわいい。

「けど、今使うには得意魔法であるか、めちゃくちゃ難しいのを習得するしかないよ」

「えぇ…」

「しかも、狐のきの字も今のところ見てないから得意魔法である可能性は低いよ?しかも、なんなら得意魔法の可能性大の魔法が出ちゃったわけだし」

「じゃあ…」

「うん。銃弾飛ばすやつ(あれっぽい)よ」

「えぇぇ…」

 魔法っていうメルヘンファンタジーなんだからかわいいメルヘン魔法の一つや二つ得意技にしたかった…。

「まぁ、自力で得意魔法にした人もいたみたいだし頑張れ!」

「はい…」

 まぁ、使えないってわけじゃ無いし覚えればできるかもしれないし頑張ろ。

「それに、才能あるんだから…」

「え、今なんて」

 ぼそっと言った一言に耳が対応しきれず聞き逃してしまった。

「なんでもないよ~だ」

「なんですかぁもう」

「えへへ」

 この人が時折見せる無邪気な笑顔は本当に子供っぽい。

 金髪とちょっと高い身長。優しい言葉と口調でからかったりアドバイスしてくれたり注意してくれたり…本当にお姉さんっぽい。

 けど、この笑顔だけは違う。いつもを見ていたら絶対に想像できないだろう。

「ははっ、銃弾ぶっ放したくなったら言ってね」

「そんな時ありませんよ」

「そうかなぁ?私だって使う子っとないと思ってた魔法使ったことあるよ?あの人形とかそうだしね」

 あの人形…あぁ…あの洋館にいた…。って!

「あれ、移月さんが作ったんですか⁈」

「ははは……病んでた時にねぇ…」

 病むとあんな危険な怪物を作るのか…この人。

「それに、学生さんなら悩みが増える年頃でしょう?」

「無いわけじゃ無いですけど…」

「そ、だからもし荒れたいって時は言ってね。いっぱい撃たせてあげる!」

「ありがとうございます…」

 そんな時があるのか疑問だけど念のためご厚意は受け取っておく。


「本当はあんな危険な魔法使わせたくないんだけどね」


「え?」

「ううん。なんでもない」

 またも聞き逃してしまった。けど…言葉に落ち着いたようなしんみりとした感じがした。表情も少し暗い様な感じだった気がする。

「そうだ!何か教えてほしい魔法とかある?」

 その表情も言葉に詰まってた感情も、その一言とはっとした顏で面影すらなくなるほど消されて、もはや、そんな感じだったっけ。てか、何か言ってた?と思う程だ。

「覚えたい魔法ですか…」

 それなら、私は…。

「聞き直せる魔法が欲しいです」

最近Twitterにウマ娘関係の動画ばっかり上げてます。

はちみー作ったり、カード開封したり…。動画作るのも楽しいです。


さて、次回更新は少し先だと思います。9月の中盤くらいにかなぁと。

ではまた今度。


あと、今日私誕生日なので祝ってください…………ありがとう!みんな!ありがとう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ