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84 ひとりの時間

お読みいただきありがとうございます(*uωu*)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2200)


 時刻は朝の八時。


 私は顔半分、布団の中に入ったまま、しばらくゴロゴロとしていた。


 そうしているうちに、十分程経っただろうか? 溜息をつきながら、ゆっくりとベッドから起き上がった。


 そして、顔を洗いに寝室を出る。洗面台の鏡で寝惚け眼な自分の顔を見ながら、大きな欠伸(あくび)をしてしまう。


(ふあ~はぁぁ……)

「何だか、色々と考え過ぎちゃったぁ。はぁ~」


 今日は昨日まで開催されていた文化交流会の振替日で、授業は休み。なので、前日からの寝不足と疲れで、もう少し寝ていても(起きなくても)問題はないはずだった。が、しかし――ほとんど睡眠をとることなく、起きてしまったのだ。


 いや、正確には。

 布団の中でゴロゴロしてみたけれど結局、寝付けずに。もう諦めて起きるしかなかった……と、いうところである。


 蛇口から出る水はすっきりとしない気分だった今の月に、ちょうど良い冷たさ。顔を洗い、服を着替えてと、朝の準備を終える。

 それから毎日、毎朝のお楽しみ!

 美味しいコーヒーを入れるため、台所へと向かった。


「今日は……」

(時間もたっぷりあるし! 贅沢にホイップチョコのカフェモカにしよっかな♪)


 とにかくコーヒーが大好きな月。学園に来てからというもの、たくさんある豆の種類や、様々な入れ方を独学で覚えていた。そして、一ヵ月に一度は、中心の都へコーヒー豆の買い出しに行き、お店の方に教えてもらっている。そんな月の真剣なコーヒーへの愛と、熱意に。珈琲店の店主も、随分可愛がってくれて、喜んで丁寧に指導してくれるようになった。


(今や技術はプロ級か?! ほぼ毎日、ネルドリップで入れる程のこだわりなのですよぉ~)


「うん、うん!」


 トポトポ……ぽわぽわっ♡ チョコチョコ♪


 コーヒーが出来上がり、月はお気に入りの猫足ダイニングテーブルの可愛い椅子に腰掛ける。そして朝のユッタリ穏やか時間を、過ごし始めた。


 カップの中で美しく波打つコーヒーを見つめながら、一言。

「美味しい~……今日は一段と上手に出来たぁ! クリームも良い感じ」


 ホッとするひとときに浸りながら、ふと今日の予定を考えていた。


 それは昨日の帰り道、星と、メル・ティルに家まで送ってもらった時の事。



「星様、今日は色々とご迷惑をおかけしてしまいすみません。本当に、ありがとうございました。それに、お家まで送っていただいて」


 噴水広場から、のんびりと四人で歩き、帰り着いたのは夜の十一時半過ぎ。


「いや、こんなに遅くまで申し訳なかった。月は、あまりにもたくさんの事があり過ぎて疲れただろう。ゆっくりと休んでほしい」


「平気、平気です! でも……お心遣いありがとうございます!」

(星様もお疲れだろうに、本当、優しいなぁ)


「「つきつき~おやすみなたいのよぉ~」」


「メルル、ティル。二人も……今日は本当にありがとう」


 私は感謝の気持ちを伝えながら、頭をヨシヨシ~♪ すると、いつものように「キャッキャッ」と喜んでいる二人。しかし突然、真面目な顔である事をお願いされる。


「「ねぇーつっきぃ? オネガイがあるの~!」」


「えっ、急にどうしたの?」


 メル・ティルが、そんな風に言う事は滅多にない。私はとても心配になり、眉はハの字な表情で聞いていた。


 すると。

「「明日、あしょび来ていーい??」」


――エッ?

「んっと、もちろんいいけれど……それだけ?」


「うにゃっは~」「うにゅっふ~」


――――エ、エッ?


「どうも、そういうことらしいね」


 何か深刻な話でもあるのかと構えていた三日月であったが、二人から伝えられた予想外のお願いにふにゃっと、気が抜けてしまった。その表情を見てセルクは「ふふふっ」と笑い、楽しそうにしている。


「ま、まぁ、何事もなくて良かったです」

(あはは~。お二人さん、驚かさないでぇ)


「――えっと、三日月」


「は、はい? どうしましたか!?」


 今度はセルクが真剣な表情に変わり、質問を始めた。三日月は「今度こそ何かある」と、心の準備をしながらじっと耳を澄まし、聞いていた。


 すると――。


明日(あす)だが、ぜひ渡したい物があるんだ。メルティと一緒に僕も、来ていいかな?」


――エッ?


「も、もちろん! もちろん大丈夫ですよぉ」

(あっは~、またまたビックリしちゃった)


「ありがとう、急にごめんね」


「いえいえ! 何もなくて、良かったです」

(ふ~……ふにゅ~ん)


「あっはは、ごめんごめん。あぁ、でも……心配しないで。僕は、それを渡したらすぐに帰るから」


 そう言うと、星様はにっこりと笑った。



 約束の時間は、午後三時過ぎ。


「まだまだ時間あるなぁ。何していようかな……」

(のんびり本でも読んだりして、待っとくとか?)


 頭ではそう、楽しい事を考えられた。しかし、月は分かっていたのだ。

 辛い時や、淋しい時に。一人でいる事の苦しさを――。


(何だろう? この気持ち。一人でいる方が、私は好きなはずなのに)


 ……あれ? でも。

――本当に私、ひとりが“好き”なのかな?


 暇を持て余せば、きっと。昨日の事を、無意識に考えてしまうだろう。まだ解決していないたくさんの疑問や不安が、心の中を埋め尽くしていき、自分を()し潰してしまう。そんな感覚に陥るような気がしたのだった。


(ふぅ~……あっ! そうだ)

 どうしようかと悩んでいた三日月は、良い事を思いつく。


「こんなに早く起きちゃったし、()()でも作ろうかなッ」


――きっと、みんな喜ぶはずだぁ〜い♪


 少しでも『今日』という日を楽しくするために。月は、準備に取り掛かった。


いつもお読みいただきありがとうございます。

第三章の、はじまりはじまり~♪


これからも頑張って更新していきますので

今後ともよろしくお願いいたしますヾ(≧▽≦)ノ

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